巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

神の主権と人間の自由意志についての考察

驚くばかりの恵みなりき――「恵み」再発見の旅

出典 昨日の説教箇所は第二コリント12章の「わたしの恵みはあなたに十分である」という箇所でした。私の通っている修道会所属のギリシア正教会では、説教は領聖(聖体拝領、聖餐)の直前になされます。

ニワトリはどうして道を横切ったの?〔プロテスタント・愉快なジョーク篇〕

ニワトリがなぜ道を横切ったのか、――彼のその動機がいちいち問いただされない世界を僕は夢見ている。

神の世界内在と恩恵―トマス・アクィナス恩恵論の全体像―(桑原 直巳氏)

「哲学・思想論集」44巻158(1)-142(17) 引用元 目次 【1】 はじめに 【2】 トマスにおける「恩恵 gratia」 【3】 性向概念の枠組みにおける恩恵-霊性的倫理 (一)性向的賜物としての恩恵 (二)注賦的諸性向の理論 【4】 恩恵の結果 (一)「不敬虔な者…

人間にとっての究極目的は何だろう?――『ピューリタンの祈り』と『フィロカリア』と

1 人生の目的問1 人間のおもな、最高の目的は、何であるか。答 人間のおもな、最高の目的は、神の栄光をあらわし、永遠に神を全く喜ぶことである。ウェストミンスター大教理問答 「神、至福な本性、すべての完全性を超える完全性、すべての善と美の創造主…

キリスト論的無誤性(by セラフィム・ハミルトン)

目次 聖書論とキリスト論 神的エネルゲイアーー「ロゴイ(logoi )」 シネルギア(協働;synergy)に関する正教理解 神のエネルゲイアと終末(eschaton) 聖書の霊感 聖書の歴史的信憑性 第一番目の欠陥――神の包括的摂理に関する理解不足 第二番目の欠陥――万…

プロテスタント救済論について(ジョサイア・トレンハム長司祭)

Archpriest Josiah Trenham, Rock and Sand : An Orthodox Appraisal of the Protestant Reformers and Their Teaching, 2015. Chapter II Heresies of Protestantism(抄訳) それでは今度は、救いに関するプロテスタント教義に注目していくことにしましょ…

列車の中の神学——マルチ信仰談義【シリーズ① 永遠の刑罰について】(by マイケル・ロフトン)

Michael Lofton, Theology on a Train: A Multi-Faith Dialogue, Jan, 2019(拙訳) キャストと設定 永遠の刑罰について

神の主権と伝統諸教会の「暴力・戦争」の歴史をめぐってーー保守メノナイト派ディーン・テーラー師とのディスカッション

出典 保守メノナイト/フッタライトのディーン・テーラー師一家が昨日、アテネに来られ、良い交わりとディスカッションの時を持つことができました。

ボブ・デウェイ師の「解放のミニストリー」批評のものさしは果して十全だろうか?【過去記事に対するクリティカルな考察】

目次 ボブ・デウェイ著「なぜ『解放のミニストリー』によって人々はかえって束縛されるようになるのかーー『霊の戦い』という世界観に対する警告」の記事を再考する 2019年7月3日追記 カトリック教会のエクソシズム伝統について 正教会のエクソシズム…

中世キリスト教世界観とその変遷(by ロッド・ドレアー)

目次 中世キリスト教の世界観 形而上学的実在論(metaphysical realism) オッカムと唯名論(nominalism) 漸進的変化

分からないながらも最善を尽くそうと思う。

出典 目次 「あなたは悪魔の罠に陥っている。」 「聖霊が、あなたや私をそれぞれふさわしい所に置いてくださいます。」 聖霊は「真理の霊」 フォーラムでの体験 おわりに

セオトコスーー真の自由への導針(by ヨルゴス・カプサニス掌院、アトス山修道士)

アトス山(Ἅγιον Ὄρος)修道院群 ヨルゴス・カプサニス掌院(写真右)。アトス山グレゴリウー修道院元院長。2014年召天。出典

ルターと自然法(by ティモシー・ゴードン)

Dr. Timothy Gordon, Ph.L., J.D., M.A. 目次 はじめにーー主意主義をめぐるカトリシズムとプロテスタンティズムの世界観の違い ルターは人間自由の擁護者なのだろうか? そもそも「プロテスタント自然法」というものは存在するのか否か ルター、唯名論、主…

トマス・アクィナスとトリエント公会議(by ブライアン・クロス、マウント・マースィー大学)

トリエント公会議(Concilium Tridentinum)は教皇パウルス3世 によって1545年3月15日にトリエント(現在のイタリア領トレント )で召集され、1563年12月4日にピウス4世のもとで第25総会を最後に終了したカトリック教会の公会議。(出典) …

正統性(正説)がオプショナルなものとなる時(by フランシス・J. ベックウィズ、ベイラー大学)

フランシス・J・ベックウィズ(元福音主義神学会会長、現ベイラー大学宗教学教授)testimony Francis J. Beckwith, Neuhaus’ Law and Beckwith’s Law(拙訳) キリスト教誌 First Things の創刊者である故リチャード・ノイハウスが次のような金言を遺してい…

キリストの栄光あるからだとしての教会と宇宙(by オリヴィエ・クレマン、パリ聖セルギイ正教神学院)

終末論的な舟を象徴する聖堂の中央(中堂)は、ドームでおおわれている。このドームは、新たな創造、キリストによって創造主と結び付いた宇宙をあらわしている。(出典) 目次 著者について キリストの栄光あるからだーー真の再創造 正教会の宇宙論 神のエネ…

「正統性」について(by G・K・チェスタトン)

G.K. Chesterton (1874-1936) G.K. Chesterton, The Paradoxes of Christianity(抄訳) 人々は〈正統性〉をなにか、重々しく、単調で、安全なものであるかのように語るという愚習に陥ってしまっている。しかし、〈正統性〉ほど、危険多く且つエキサイティン…

「恩寵と自由意志」という問題におけるトマス・アクィナスの立場について

トマス・アクィナス(1225-1274) 山本芳久著『トマス・アクィナスーー理性と神秘』(岩波書店)より一部抜粋(強調はブログ管理人によります。) 目次 「宗教改革」という補助線 ペラギウスの立場 トマスの立場ーー恩寵と自由意志との協働 トマス…

変形された伝統ーーアウグスティヌスのローマ書解釈について(by デイビッド・ベントリー・ハート)

聖アウグスティヌス(354-430)

私の辿ってきた道ーージョシュア・リム神学生の真理探究記【前篇】

あなたの真理のうちに私を導き、私を教えてください。詩篇25:5a(出典) 目次 熱心なバプテスト信者になる 孤立した教会構造に疑問を感じ始める 古典的神学書を熱心に読み始める なぜかカール・バルトの『教会教義学』を読了しようと決意する 信条告白主…

教団教派を「選ぶ」ことについて

出典 目次 選びか導きか 留学中の思い出 セクト主義/教派主義 パラドックス それではどこの教団教派を選べばいいのだろう? 神によって立てられた権威に信頼することによって得られる助け おわりに

神へのあこがれ(A・W・トーザーの信仰詩およびエッセー集)

出典 目次 信仰詩集 わが魂は汝を仰がんと切望し、ちりの中から汝に向かって叫んでいます 主よ、汝の御声に耳を傾けることを教えてください 神を切に慕い求めて 主よ、私たちのジレンマはなんと大きいことでしょう! エッセー集 『神へのあこがれ(The Pursu…

「私の主人には神様からの召命がありません。そんな夫にどうやって従っていけるというのでしょう?」ーーエープリル・カスィディ姉の奮闘記【総集編】

出典 目次 はじめにーーエープリル・カスィディ姉妹について 「私の主人には神様からの召命がありません。そんな夫にどうやって従っていけるというのでしょう?」 「ああ、主人がもっと私と一緒に祈ってくれたらいいのに、、、」 私たち姉妹の「Ministry」の…

教会的理神論(ecclesial deism)かぁ。う~ん、その論点は分かるけど、、でも、、【プロテスタンティズムと歴史観】

可視的教会の過去・現在・未来をどうみればいいのだろう。(出典) 元改革派で現在カトリックのブライアン・クロス教授は、モルモン教やプロテスタンティズム等に典型的にみられる歴史観および教会観のことを「教会的理神論 ecclesial deism」と呼んでおられ…

「ペンテコステ運動」とカトリック世界観【元アッセブリーズ・オブ・ゴッド教団ブレント・スタッブス師の証し】

目次 「古代教会理解への《橋渡し》となったわがペンテコステ信仰に感謝!」ーー元アッセブリーズ・オブ・ゴッド教団ブレント・スタッブス師の証し はじめに 生い立ち ミニストリーへの召し オーラル・ロバーツ大学へ進学 信仰の動揺 「大いなる背教」という…

真理とは何か?ーーマークス・グローダイ師の探求と苦悩、そして人生の道程【その1】

目次 牧会職に就いて わが要塞の破れ いかにして知ることができるのだろう? 僕の解釈ははたして正しいのだろうか。 礼拝の形式や内容について 「主人は天国に行くのでしょうか?」ーーカルヴァン主義と予定説

人間の叫びーーアルフレッド・テニソンの信仰詩

出典 目次 人間の叫び 砕けよ、砕けよ、砕けよ 「追憶の詩」へのプロローグ

ユスティノスのストア哲学批判(水落健治氏、明治学院大学)【初代教会とギリシア哲学】

ストア哲学の流れ(出典) 目次 はじめに ユスティノスとは誰か? 『ユダヤ人トリュフォンとの対話』1.4 批判の対象ーー三種類の区分 ①セネカの主張 ②ストア派の主張 ③中期プラトン派の主張 ユスティノスの批判 古ストア派、中期ストア派、新ストア派

二つのナラティブの間でーー福音派弁証家ハンク・ハングラフ氏の東方正教会転向に関しての所感

有名な福音派弁証サイトであるChristian Research Institure(キリスト教リサーチ研究所)主幹で、長年、福音主義教会で弁証の働きをしてこられたハンク・ハングラフ師(Hank Hanegraaff;68歳)が、昨年、東方正教会に転向されました。

「そもそも聖書の解釈の仕方など学ぶ必要あるの?」(D・A・カーソン、トリニティー神学校)

目次 はじめに できる限り良心的に、聖書のバランスを計り、歴史的/神学的「あれかこれか」的分裂への屈服を避ける。 聖書のある部分におけるアンチテーゼ的性質(特にイエスの説教のある部分)はレトリックなものであり、絶対的でものではないことを認識す…