巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

2017-01-01から1年間の記事一覧

人は聖書的男性像を「見る」ことによって変えられる

聖書的男性像(biblical manhood)というのは一体どのようなものなのでしょうか。それは現実に存在するものなのでしょうか。 百聞は一見にしかずということわざがありますが、確かに百回抽象的概念を聞くよりも、一度、その概念を具現化しているような実体な…

聖書ヘブライ語について(by ウィリアム・バリック)

目次 ヘブライ語の性質と歴史 1.セム語族(アフロ・アジア語族)の言語について 2.セム語族の語派 3.セム語族(アフロ・アジア語族)の図表 4.その他のポイント ヘブライ語発音の分類 5.ラビ文学 ミドラーシュ タルムード

いかに読書すべきか(三木清)

目次(見出しは読みやすさを考え、管理人が任意に作成しました。) 1.読書の習慣を作ることの大切さ 2.技術としての読書 3.多読および濫読について 4.専門を有すこと 5.何を読むべきか 6.古典について 7.原典を読むことの大切さ 8.原書を読…

「まことに、あなたは、私のたましいをよみに捨ておかず。」ーー墓の彼方を眺望しつつ詩篇16篇8-11節を歌う。

どのくらい前になるのかは分かりませんが、エジプト中部のベニ・スエフ(بني سويف)近郊の小さな町で世界最古の詩篇(歌)集(Psalter;詩篇、聖詠)が発見されたそうです(紀元4世紀)。ではその町のどこで発見されたのかというと、ある年若い娘さんのお墓…

和らげられた風(by ジョン・マクダフ)

John MacDuff, The Wind Tempered, 1879(抄訳) 「これこそが安息である。疲れた者に安息を与えよ。これこそ憩いの場だ。」(イザヤ28:12) 「主は東風の日に、ご自身の激しい風を抑えて〔restrains〕彼らを移しやられた。」(イザヤ27:8、英訳か…

神を知り、人を知るという営みについて

神を知り、人を知るという営みは〈自然的に〉為され得るものなのでしょうか。また、この現代社会の中で、神と人を〈自然的に〉知っていくことはそもそも可能なのでしょうか。そしてもしもそれが可能であるならば、それはどこで、どのようにして可能とされる…

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その⑯ 意味と指示(reference)との間の根拠なき連結(by D・A・カーソン)

D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) 小見出し 意味と指示について 事の核心点:文脈に対処する

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その⑮ 言語資料の際立った特徴点を、根拠なく軽視する(by D・A・カーソン)

D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) "to justify"(義とする)という意味で、パウロがδικαιόωを用いており、"justification"(義認)という意味でしばしば δικαιοσύνηを用いているという理由で、多くの学…

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その⑭ ギリシャ語新約聖書のセム語的背景に関する諸問題(by D・A・カーソン)

使徒パウロ D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) この表題の下には、おそらく一グループとして括ることのできる、数多くの困難な問題および、それに付随する数々の誤謬が潜んでいます。

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その⑬ 拡大された意味領域を、根拠なく採用する(by D・A・カーソン)

積み荷しすぎて苦しいよぉ~。 D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) 本ケースにおける誤謬の原因は、ある特定の文脈における単語の意味が、文脈それ自体の許容範囲よりもずっと広いと思い込み、また、おそ…

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その⑫ 意味領域に対する根拠なき制限(by D・A・カーソン)

広域的ひろがり・・・ D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) 小見出し 単語のトータルな意味領域の広さ boardの事例 広大な意味領域をもつεἰμί "This is my body" ヨハネ1:1「ことばは神であった」

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その⑪ 「あれかこれか?」:根拠なき意味の選言/分離および制限(by D・A・カーソン)

あれか、これか D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) 小見出し 意味の選言/分離(semantic disjunction)とは ヨハネ17:11のκαθώςについて

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その⑩ えり好み的、かつ偏向した立証資料の使用(by D・A・カーソン)

D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) 小見出し 自分が主張したいことを、えり好み的な資料使用により訴える トーマス・H・グルームのキリスト教教育論と、彼の陥っている複数の落とし穴

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その⑨ シノニム(同義語)と成分分析に関する諸問題(by D・A・カーソン)

D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) 小見出し 同義性(synonymy)と等価性(equivalence)の区別がなされていない なぜこれが問題となるのか? なぜシノニム(同義語)の扱いがこれほど難しいのか 意味的…

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その⑧ 専門的な意味に関する誤った諸前提(by D・A・カーソン)

D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) 小見出し 「専門的な意味」 "baptism in the Spirit" 大宣教命令の中のπάντα τὰ ἔθνη(all nations)という句は、イスラエルを排除している??

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その⑦ 言語と精神構造(メンタリティー)を連関させようとする(by D・A・カーソン)

情報源 D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) 小見出し ヘブライ的思考とギリシャ的思考? 『Theological Dictionary of the New Testament(キッテル新約聖書神学辞典)』の根本問題

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その⑥ 動詞のパラレル化マニア(by D・A・カーソン)

D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) 小見出し パラレル化マニアとはどんな人? C・H・トッドとルドルフ・ブルトマン

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その⑤ 背景資料への不注意な依拠(by D・A・カーソン)

ὕδωρ D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) 小見出し ヨハネ3:5のὓδατος καίについてーー私の過去の誤解釈 マタイ5:1の「山;ὄρος」とルカ6:17の「平らな所;πεδινός」 過去の失敗からの教訓

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その④ 未知の、もしくはありそうもない意味に訴える(by D・A・カーソン)

Θέλω δὲ ὑμᾶς εἰδέναι ὅτι παντὸς ἀνδρὸς ἡ κεφαλὴ ὁ Χριστός ἐστιν, κεφαλὴ δὲ γυναικὸς ὁ ἀνήρ, κεφαλὴ δὲ τοῦ Χριστοῦ ὁ Θεός. (1コリント11:3) D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) 小見出し Κε…

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その③ 意味の廃用(by D・A・カーソン)

D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) 小見出し 意味の廃用(Semantic obsolescence)とは? μάρτυς の意味の変遷 Κεφαλή(ケファレー)=源??

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その② 意味のアナクロニズム(by D・A・カーソン)

οὐ γὰρ ἐπαισχύνομαι τὸ εὐαγγέλιον· δύναμις γὰρ Θεοῦ ἐστιν εἰς σωτηρίαν παντὶ τῷ πιστεύοντι...(ローマ1:16a) D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) 小見出し 意味のアナクロニズムとは? 神のδύναμ…

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その① 語根にかかわる誤謬(by D・A・カーソン)

小見出し はじめに 1.語根にかかわる誤謬(The root fallacy) ὑπηρέτης(しもべ)の基本的意味は、「船やボートを漕ぐ人」?? ἀπόστολος(使徒) μονογενής ἀγαπάωとφιλέω 3つの但し書き

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:【目次】と【プロローグ】(by D・A・カーソン)

D・A・カーソン、トリニティー神学校、新約学 D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) 目次 プロローグ 釈義的誤謬の蔓延 批判的釈義(critical exegesis)の大切さ よく「聞く」 なぜ私たちの間にこれほどま…

バイリンガリズムと新約聖書ギリシャ語の特徴(by モイセス・シルヴァ)〔英文〕

モイセス・シルヴァ。1945年生まれ。ウェストミンスター神学校(1981-1996)、ゴードン・コーンウェル神学校(1996-2000)で聖書学を教鞭。NASB(新米国標準訳聖書)およびESV(英語標準訳聖書)の翻訳委員。 Moisés Silva, "B…

詩篇歌のベーシックな旋律(tune)を覚え、複雑な時代に、シンプルに神とつながりましょう!

家の中にいる時だけでなく、コンパクトな詩篇歌一冊を手に携え、公園や海辺、山の頂で神のことばを歌い、神に賛美を捧げるひとときは、信仰者にとってなんという喜び、そしてやすらぎでしょうか。 情報コメンテーターのニコラス・カー氏が2011年に出版し…

主よ、あなたの恵みは天にあり、あなたの真実は雲にまで及びます。

神のことばが私たちの内で祈りとなり、御霊によって湧き出でる賛美となりますように。聖徒の魂と口から告白される神の偉大さと栄光が、全世界を満たしますように!

新約聖書の言語(by ダニエル・B・ウォーレス)

目次 はじめに ギリシャ語の諸段階〔通時的〕 1.ホメロス以前(BC1000まで) 2.諸方言の時代、ないしは古典期時代(BC1000~BC330) 3.コイネー・ギリシャ語(BC330-AD330) 4.ビザンティン(もしくは中世)ギリシャ語(AD330…

「新約聖書はどのように旧約を用いているのか?」詳細文献目録(G・K・ビール著『Handbook on the New Testament Use of the Old Testament: Exegesis and Interpretation』より)

目次 はじめに さまざまな旧約聖書のバージョンを、新約聖書の中の旧約引用や引喩と比較する際に有益な文献 新約聖書の中での旧約使用に関するさまざまな側面に関する著述や論文 福音書および使徒の働きに関する著述や論文 福音書および使徒の働き一般 マタ…

新約聖書はどのように旧約を用いているのか?(by E・アール・エリス)

目次 新約聖書解釈における諸前提 1.概要 2.歴史としての救済 3.予型論(Typology) 4.その他の諸前提 この章の文献目録

讃歌の紅葉とハーモニー

ある日の早朝、何か特別礼拝があったのでしょう、近くの正教会から典礼音楽が流れてきていました。窓辺でぼんやりその旋律を聞いていると、ちょうどそこに知り合いのアメリカ人宣教師が通りかかりました。"Hey, what do you think of that song?"と正教会の…