巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

2016-12-01から1ヶ月間の記事一覧

ケファレー(かしら、"head")をめぐるジェンダー論争―福音主義フェミニズムに対する応答⑥:リチャード・S・セルヴィン氏の論への反証〔英文〕

祈り イエスさま、あなたは教会のかしら(ケファレー; kephale)であられます。そして、かしらであられるあなたは権威、力、富、知恵、権勢、誉れ、栄光で輝き、全地を治めておられます。現在、暗闇の勢力が、あなたのこのかしら性、あなたの栄光あるご権威…

「イエスが男性たちだけを12使徒に任命されたのは、当時の文化的拘束ゆえです。」という主張はどうでしょうか。

目次 対等主義者側の主張:イエスが男性たちだけを使徒に任命したのは、ただ単に当時の文化に譲歩したためです。しかしそれは今日の私たちの文化には当てはまらないものです。 回答1.「倫理的に何が正しいか、正しくないか」という正誤問題に関し、イエス…

永遠に、ただ一途に、そしてすべてを汝のために!(フランシス・ハヴァーガルの信仰詩)

ヘブル12:14b 聖められることを追い求めなさい。聖くなければ、だれも主を見ることができません。 διώκετε,,τὸν ἁγιασμόν, οὗ χωρὶς οὐδεὶς ὄψεται τὸν κύριον· I. イエスのために聖め別たれる! この事実だけで十分ではないでしょうか? ――たとえ、わ…

「『男子も女子もありません。なぜなら、あなたがたはみな、キリストにあって一つだからです』(ガラ3:28)というパウロの言明によって、ジェンダーの壁が取り除かれたのではありませんか?それゆえに女性教職の門戸は開かれてしかるべきなのです。」

John Piper and Wayne Grudem, 50 Crucial Questions About Manhood and Womanhood | Desiring God, 2016 Q. パウロはガラテヤ3:28で、「男子も女子もありません。なぜなら、あなたがたはみな、キリストにあって一つだからです」と言いました。ですから…

わが魂よ、天的な旋律を奏でよ。(イサク・ワッツの信仰詩)

わが魂よ、天的な旋律を奏でよ、 醒めよ、わが声。そして歌え。 偉大なみわざ、そしてそれにもまして偉大な われらがとこしえの王の御名を! このお方のたぐいなき誠実さを語り告げ、 主の御力を方々に鳴らしめよ。 そして恩寵より流るる うるわしき御約束を…

「創世記1-3章によれば、男性のかしら性(male headship)というのは、人類が堕落する以前には存在していませんでした。ですから、これは罪がもたらした負の産物です。」という主張はどうでしょうか。【後篇】

Wayne Grudem, Evangelical Feminism and Biblical Truth, chapter 3 (前篇からのつづきです。) 回答2. 抑圧的な男性支配というのが堕落以前には存在していなかったというのは真です。しかし、結婚の中における男性のかしら性(male headship)および固…

「創世記1-3章によれば、男性のかしら性(male headship)というのは、人類が堕落する以前には存在していませんでした。ですから、これは罪がもたらした負の産物です。」という主張はどうでしょうか。【前篇】

Wayne Grudem, Evangelical Feminism and Biblical Truth, chapter 3 これは、私が知るすべての対等主義者が皆一様に論じている根本的主張です。例えば、アイダ・スペンサーの著 Beyond the Curse(「呪いを超えて」)というタイトルそれ自体が、この主張を…

律法により、わが罪の実体を知る。(イサク・ワッツの信仰詩)

ローマ7:8、9、14、24 8 しかし、罪はこの戒めによって機会を捕え、私のうちにあらゆるむさぼりを引き起こしました。律法がなければ、罪は死んだものです。 9 私はかつて律法なしに生きていましたが、戒めが来たときに、罪が生き、私は死にました。 …

宗教改革者たちの叫び(9)-ヤン・コメンスキー(17世紀、ボヘミヤ)

「測りがたいほど苦しく、不面目な悲哀の死を耐え忍ばれた主ご自身でさえ、一粒の麦が死ななければいつまでもそのままであるが、もし死んだら多くの実を結ぶであろう、という言葉によって、みずからを慰められた。 したがって、彼の御傷によって癒され、彼の…

「もし、人類の堕落以前にすでに『男性の権威(male authority)』が存在していたのなら、男性の方が女性よりも優越しているということになり、男女は平等ということではなくなってしまいませんか?」という疑問に対する応答。

Wayne Grudem, Evangelical Feminism and Biblical Truth, chapter 3 平等というのが、役割における同一(no difference)を意味していると対等主義の人々は考えています。そしてそういった対等主義的観点でみるなら、男性の権威というのは必然的に男性の優…

しかし、エペソ5:21で、パウロは、夫も妻も「互いに従い合いなさい」と教えてはいませんか?

John Piper and Wayne Grudem, 50 Crucial Questions About Manhood and Womanhood | Desiring God, 2016 Q. しかし、エペソ5:21で、パウロは「相互恭順(=夫も妻も互いに従い合いなさい)」を教えてはいませんか? すべては私たちがどういう意味合いに…

【悩み相談】「恭順」とか「かしら」というのはどういう意味なのでしょうか。よく分からず、悩んでいます。

John Piper and Wayne Grudem, 50 Crucial Questions: An Overview of Central Concerns about Manhood and Womanhood, 2016 Q.「恭順(“submission”)」とはどういう意味ですか。 恭順とは、妻が夫のリーダーシップを尊び、肯定する中で、彼女に与えられて…

「男性だけが教会の牧師や長老になるべきだ」という考えをあなたは聖書のどこから得たのですか?

John Piper and Wayne Grudem, 50 Crucial Questions: An Overview of Central Concerns about Manhood and Womanhood, 2016 Q.前回の記事の中にあった「教会内における非聖書的な『女性リーダーシップ』」とは、どういう意味ですか。 男性だけが牧師およ…

神は《男性》でしょうか?ー現代のジェンダー戦争

Kyle Pope, Is God Male?, Ancient Road Publications™ 新聞『カンザス・シティ・スター』はある特集欄で、某教派の牧師およびユダヤ教のラビに対し、次のような問いを出していました。 「私たちは神のことを〈彼〉と呼ぶべきか、〈彼女〉と呼ぶべきか、それ…

人を待っては何事も成らない。(内村鑑三)

緑蔭独語 今の人は、世論を作らなければ何事も成らないと思う。ゆえに彼らは世論を作るに汲々(きゅうきゅう)として日もまた足らない。しかしながら、昔より今日に至るまで、人類の大進歩にして世論となって成ったものはない。進歩は常に偉人が独りでなして…

18世紀半ばに、何が英国のキリスト教をよみがえらせたのか?(J・C・ライル『大覚醒の時代』より)

J・C・ライル『大覚醒の時代』 「Ⅱ.18世紀半ばに何が英国のキリスト教をよみがえらせたか」より一部抜粋(引用元) 百年前、私たちに解放をもたらしたのは、ほんの一握りの人々であった。ほとんどが英国国教会の牧師であった彼らは、同じ時に、全国の別々の…

宗教改革者たちの叫び(8)ージョージ・ホワイトフィールド(18世紀、イギリス)

あなたの頭は、教理的には正統派かもしれない。にも拘わらず、あなたの心は、今や悪魔の住み家となっているのかもしれない。 ジョージ・ホワイトフィールド(1714-70) 隠れた場所で、一人、大いに祈りなさい。人との多言を避け、神と共に多くの時間…

「1テモテ2:12の正しい訳は、『私は、女が教えたり、自分こそが《男の起源である》と宣言したりすることを許しません』です。」―この主張はどうでしょうか?【authenteoの意味】続編

(前の記事からの続きです。) ④ Authenteoの意味が「自らをなにかの起源、創始者、もしくは源であると表現することである」とし、クローガーは、その意味がさまざまな古い辞典に記載されていると次のように述べています。 「学者たちが古典古代の文献を、今…

「1テモテ2:12の正しい訳は、『私は、女が教えたり、自分こそが《男の起源である》と宣言したりすることを許しません』です。」―この主張はどうでしょうか?【authenteoの意味】

ある日本語サイトの説教録より一部引用させていただきます。対等主義の立場からの1テモテ2:12の解釈です。 「V11-15a 特定の女を指して、あの女に教えさせるな。 当時、間違った教えをする偽教師たちがはびこっていました。そして、その異端的な教えを…

ケファレー(かしら、"head")をめぐるジェンダー論争―福音主義フェミニズムに対する応答⑤:C・クローガー、G・フィー両氏の論への反証/"Source”説 徹底検証〔英文〕

出典: Wayne Grudem, "The Meaning of Kephale (“Head”, κεφαλη): A Response to Recent Studies", in Recovering Biblical Manhood and Womanhood, A Response to Evangelical Feminism, Appendix 1 目次 6. Catherine Clark Kroeger, "The Classical Conc…

墓のかなたを眺望しつつ(内村鑑三)

だから、わたしたちは落胆しない。たといわたしたちの外なる人が滅びても、内なる人は日ごとに新しくされていく。なぜなら、このしばらくの軽い患難は働いて、永遠の重い栄光を、あふれるばかりにわたしたちに得させるからである。わたしたちは、見えるもの…

父から幼い子どもたちへの遺書――ある殉教者の獄中書簡(オランダ再洗礼派、1560年)

はじめに 再洗礼派の歴史は、スイスの宗教改革に始まります。元来、「幼児洗礼は非聖書的だ」と説き、多くの純真な若者たちの心に改革の火をともしていたツヴィングリですが、1525年の時点で非常に残念なことが起こりました。 Ulrich Zwingli (1484-1531)…

路傍の宴(うたげ)

私の敵の前で、あなたは私のために食事をととのえ、私の頭に油をそそいでくださいます。私の杯は、あふれています。(詩篇23:5) 天から下って来しパン、 永遠なる木の実。 そして、このような者のためにさえも 用意してくださった主の宴(うたげ)。 見…

「エバと同じように、当時エペソの女性も十分な教育を受けていませんでした。しかし今日の女性には男性と同等の教育があります。ですから、1テモテ2:11-15は今日の教会に一般化して適用されるべきではないのです」という主張はどうでしょうか。【その2】

(前の記事からのつづきです。) 椅子に座り、巻本(scroll)を読んでいる古代ギリシャ人女性。"Ancient Greek School; Did children go to school in ancient greece?"より(引用元) その他の諸資料が示すところによれば、ギリシャ文化のいわゆる「ヘレニ…

「エバと同じように、当時エペソの女性も十分な教育を受けていませんでした。しかし今日の女性には男性と同等の教育があります。ですから、1テモテ2:11-15は今日の教会に一般化して適用されるべきではないのです」という主張はどうでしょうか。

大学の授業風景。引用元 Wayne Grudem, Evangelical Feminism and Biblical Truth, chapter 8 対等主義者側の主張: 1テモテ2:14から分かるのは、当時のエペソの女性たちと同様、エバもアダムより教育がなかったということです。しかし今日の女性は、男…

「当時のエペソの女性たちは偽りの教えを説いており、1テモテ2:12はその歴史的文脈で解釈されなければなりません。ですから、この聖句内容は、今日の教会に一般化して適用すべきではないのです。」という主張に対しての応答。【その5】

Wayne Grudem, Evangelical Feminism and Biblical Truth, chapter 8 回答4. もし偽りの教えを何人かの人が教えていたという事実をもって、その人たちの性別に属する全ての人を不適任とするのなら、とどのつまり、すべての男性は教える適性資格をはく奪さ…

被り物と聖書解釈(Head Covering and Hermeneutics)―R・C・スプロール著『Knowing Scripture』より

被り物と聖書解釈 Head Covering and Hermeneutics (An Excerpt from “Knowing Scripture” by R.C. Sproul) here R・C・スプロール 目次 原則と慣習(PRINCIPLE AND CUSTOM) 1.完全に慣習だとみなす立場。 2.完全に原則だとみなす立場 3.ある部分は…

創造の秩序 VS 文化的解釈――被り物と聖書解釈(R・C・スプロール)

もしパウロがコリントにいる女性に対しただ単に「被り物をしなさい」と言っただけで、そういった指示を出した根本的理由を説明していなかったのだとすれば、私たちはその理由を見出すべく、自分たちの「文化的知識」に頼らざるをえなかったかもしれません。 …

聖書の主要な教えを、「文化的に相対的なもの」として再解釈しようとする最近の傾向について――ロバート・W・ヤーブロー師の警告(カベナント神学校新約学教授)

Covenant Theological Seminary in St. Louis ロバート&キャサリン・クローガー著「I Suffer Not a Woman」の中で展開されている「グノーシス異端説」に関する書評を書いたロバート・ヤーブロー(Robert W. Yarbrough)は、このレビューの中で次のような警…

1テモテ2:12 徹底検証:A・コステンバーガー師へのインタビュー

オーストラリアで初の女性司教(聖公会) 2008年、パース市、source Interview with Andreas J. Köstenberger on 1 Timothy 2:12 (インタビュー聞き手:アンディー・ナセリ氏、ベツレヘム神学校新約学、2008年7月30日) アンドレアス・J・コステ…