巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

三位一体論

急進的フェミニズムと神なき「ジェンダー・パラダイム」の根源――アビゲイル・ファヴェール教授へのインタビュー

Radical feminism and the roots of the godless “gender paradigm”, The Catholic World Report, 2022.(私訳) アビゲイル・ファヴェール教授の新著『ジェンダーの創世記: A Christian Theory』(イグナチオ出版、2022年)は、ジェンダー・イデオロギーお…

悩める神学生たちへの励ましの手紙――現代正教神学の諸潮流をどう捉えればいいのか?【マシュー・ベーカー神父遺稿集】

Fr. Matthew Baker (♰2015), Ways of Modern Orthodox Theology, Letter to Students of St Tikhon's Seminary, September 20, 2014, in Faith Seeking Understanding (2021) 拙訳 確かに考えさせられることが多いですね。 聖伝についての説明を誰かから聞く…

三位一体と聖伝(Tradition)(by セラフィム・ハミルトン師)

出典 Seraphim Hamilton, Trinity and Tradition, Apologia Pro Ortho Doxa (拙訳) スタニロエ神父は、超自然的な啓示の三つの源――教会、聖書、聖伝――について語っています。私はこれらを御父、御子、御霊(聖神)と関連づけたいと思います。 教会は、聖書…

フェミニズムのキリスト論(by ペリー・ロビンソン師)

出典 目次 はじめに ディアコネス(deaconesses)と女性助祭(female deacons) 「機能(function)」や「能力」に訴える議論 かしら性(headship) 「ジェンダー」と「性別」 「なぜセオトコス(聖母マリア)は男性ではあり得なかったのか」 司祭職の男性限…

「アングリカン主義に別れを告げなければならないと悟った日、私は号泣した。」――聖公会を愛した元聖公会神学者の回想記

米国聖公会(All Saints Episcopal Church Frederick Maryland)写真 目次 生い立ち ‟別の宗教” モルモン教徒の学友とのディスカッション どんどん「排他的」になってゆくインクルーシビティ(包括性) リベラル諸運動の特性 苦しく困難な選択

三位一体論「御父のモナルキア」教説にかんする優れたビデオ講義シリーズのご案内

「仮にズィズィウーラスの分析が正しいとするのなら、神的モナルキア*1に関する決定的重要性に関しなぜ正教がかくまで力点を置いているのかをよりよく理解できると思います。 それは、自然の必然(necessities)の上に存在する神の自由を保証し、無限にして…

神の世界内在と恩恵―トマス・アクィナス恩恵論の全体像―(桑原 直巳氏)

「哲学・思想論集」44巻158(1)-142(17) 引用元 目次 【1】 はじめに 【2】 トマスにおける「恩恵 gratia」 【3】 性向概念の枠組みにおける恩恵-霊性的倫理 (一)性向的賜物としての恩恵 (二)注賦的諸性向の理論 【4】 恩恵の結果 (一)「不敬虔な者…

意識的に、もしくは知らずに犯してしまったわが罪をお赦しください。

写真素材 pro.foto 聖マカリオスの祈りの中に次のような箇所があります。「わが罪をお赦しください、おお、ただ一人罪なき御方よ。今日というこの日に汝に対して犯した罪――意識的に、もしくは知らずに――言葉において、行ないにおいて、思いにおいて、自分の…

「セルフ・コミュニオン」と人間疎外

出典 一人の人間が画面に映っている。彼女は、各自が家で自在にできる「セルフ・コミュニオン」というもののハウツーを聴衆に教えている。 彼女は自分で司祭の祝祷をし、自分で聖餐のパンを裂き、自分で口に入れ、自分で葡萄酒を領している。彼女は「個」と…

翻訳のむずかしさ

至聖三者(しせいさんしゃ、ギリシア語: Αγία Τριάδα, ロシア語: Пресвятая Троица, 英語: Most Holy Trinity)は、キリスト教における三位一体の神を表す正教会用語であり、日本正教会で用いられる訳語。祈祷文においては単に「聖三者」「三者」と訳される…

カッパドキア教父たちと三位一体論

カッパドキア三教父 4世紀のキリスト教世界を混乱させたアリウス派論争の収拾に大きな役割を果たし、ニカイア信仰の確立に尽くしたギリシア教父たち。大バシレイオス、その弟ニッサのグレゴリオス、両者の友人ナジアンゾスのグレゴリオスの3人で、すべて小…

ロマニデス神学を再考する。〔その2〕(by セラフィム・ハミルトン)

質問者のコメント ハミルトン師の応答 アンチペルソナ主義(antipersonalism)――危険な教義 聖グレゴリオス・パラマスと、ロマニデスの描き出す〈パラマス像〉のギャップに驚く 東西の教父たちとギリシャ哲学 「聖書」と「教父文書」の間の区別を実質上、破…

時――永遠をあらわすイコン(by セラフィム・ハミルトン)

Seraphim Hamilton, Why Orthodoxy? 4. Orthodox theology is beautiful and useful.(拙訳) 〔アンチ・カトリックではないにも拘らず〕依然としてなぜ私がローマ・カトリックでないのか、をここで説明できるように思います。聖書、教会史および哲学的神学…

キリスト論的無誤性(by セラフィム・ハミルトン)

目次 聖書論とキリスト論 神的エネルゲイアーー「ロゴイ(logoi )」 シネルギア(協働;synergy)に関する正教理解 神のエネルゲイアと終末(eschaton) 聖書の霊感 聖書の歴史的信憑性 第一番目の欠陥――神の包括的摂理に関する理解不足 第二番目の欠陥――万…

思索と内省と

「聖ユスティン・ポポヴィッチは言う。――神学理論というものは、その理論の〈体験〉をまず第一に必要としている。それ無しの単なる理論は、偽装した無知蒙昧に他ならない。」 ある隠遁士がこう言った。その瞬間、わが心に光が射し、私は自分の愚かさの真実を…

三位一体は人間の思索の根本的な成立条件であり、また終局である。(V・ロースキィ)

目次 三位一体は人間の思索の根本的な成立条件であり、また終局である。 東西の三位一体論の違い――東方は「三」から「一」へ。西方は「一」から「三」へと思索を展開する。 東方の三位一体論――「父は三位に共通な神性の源泉であって、子と霊を生む」という教…

「永遠の哲学」(Perennial philosophy)、新プラトン主義【ニューエイジ、エキュメニズム運動の思想源流】

東方正教会のデイビッド・P・ハリー氏がPerennial Philosophy vs Logos Spermatikos(永遠の哲学 vs ロゴス・スペルマティコス)という講義の中で、現代のニューエイジ、エキュメニカル運動等の思想系譜を概説しています。

三位一体神のことを「御母」と呼ぶことが不可能な12の理由(by ドワイト・ロングネッカー神父)

出典 Fr. Dwight Longenecker, Twelve Reasons Why You Can’t Call God “Mother”(全訳) 目次 はじめに 1.イエスは神のことを「御父」と呼ぶよう私たちに言っておられます。 2.旧約聖書は神のことを御父と言及しています。 3.典礼は神のことを「御父…

福音主義クリスチャンと聖母マリア(Θεοτόκος)(by ロバート・アラカキ)【後篇】

【前篇】からの続きです。 出典 目次 マリアの処女性——聖書的立証 マリアの永続的処女性—神学的角度 祈りのパートナーとしてのマリア プロテスタンティズムの心の傷跡(Protestantism’s Emotional Scars) 正教の方へ漕ぎ出す 「聖書のみ(Sola Scriptura)…

福音主義クリスチャンと聖母マリア(Θεοτόκος)(by ロバート・アラカキ)【前篇】

出典 目次 福音主義クリスチャンにとっての最大のハードル 聖書の中のマリア マリア——全ての福音主義者にとっての母 典礼の中におけるマリア 全地公会議(The Ecumenical Councils) マリアとイコン

列車の中の神学——マルチ信仰談義【シリーズ③ 教導権について】(by マイケル・ロフトン)

【シリーズ① 永遠の刑罰について】【シリーズ② 聖書正典について】からの続きです。 出典 Michael Lofton, Theology on a Train: A Multi-Faith Dialogue, Jan, 2019(拙訳) 教導権(Magisterium)について 東方正教徒:私やオリエンタル正教の友は、あなた…

神的闇(Divine Darkness)

至高なる三一なるもの、 あらゆる本質、 知識、 善を超越しているもの、 神的智慧への先導者よ、 汝の神秘的知という最高峰へと われわれの道を導きたまえ。

嗚呼、ビザンティン・カトリック教会!

〔前記事〕からの続きです。 出典 目次 御父のモナルキア ある神学生の苦悶の告白 友に電話し打ち明ける。 おわりに

ビザンティン・カトリシズムは「包括的」?それとも「トリッキー」?【さあ、フィリオクェ問題に取り掛かろう!】

ふぅ~、いろいろ大変だね。 目次 はじめに 東方典礼カトリック教会とはどんな教会? Ορθοδοξίαの語用やフィリオクェ問題を通し、ビザンティン・カトリシズムの「微妙さ」を痛感! 困ったなぁ マヌエル・ニン主教の元を訪れる。 正教修道院を訪れる。

三位一体(至聖三者)ーーA・ラヴローフの信仰詩

『至聖三者』(Троица,Trinity)アンドレイ・ルブリョフによるイコン。15世紀。

分からないながらも最善を尽くそうと思う。

出典 目次 「あなたは悪魔の罠に陥っている。」 「聖霊が、あなたや私をそれぞれふさわしい所に置いてくださいます。」 聖霊は「真理の霊」 フォーラムでの体験 おわりに

神秘のバラ(Mystical Rose)

イエズスをお産みになったバラにも増して 気高い美徳に包まれたバラはありません。 アレルヤ。

「まなざし」をもつ信仰ーー聖画像の深遠性と内的感覚の開示(by ヨーゼフ・ラッツィンガー)

イタリア、ラヴェンナ(出典) 「聖画像は礼拝時に起こることと内的につながっています。歴史はキリストにおいて秘跡となり、キリストは秘跡の源泉です。それゆえ、キリストの聖画像は宗教絵画芸術の中心です。キリスト聖画像の中心は過越秘儀です。過越に焦…

女性叙階が不可能である理由について(by テーラー・マーシャル & ティモシー・ゴードン)

Catholic “Women Priests”: Can There Be a Discussion? – Catholic World Report Taylor Marshall & Timothy Gordon, Pope Francis on Women Deaconesses: Can Women be Ordained? Amazon Synod, May 13, 2019(抄訳) テーラー・マーシャル:なぜ女性の叙…

家父長制は善いもの。(by ドワイト・ロングネッカー神父)

レンブラント作『放蕩息子の帰還』 Fr. Dwight Longenecker, In Praise of Patriarchy, 2010(拙訳) 私が聖公会司祭を務めていた時分、〔アングリカン・コミュニオン内で〕フェミニストたちが女性司祭叙階のための闘争をしていました。