巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

三位一体(至聖三者)ーーA・ラヴローフの信仰詩

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『至聖三者』(Троица,Trinity)アンドレイ・ルブリョフによるイコン。15世紀。

 

なんと驚くべき顕現が

族長の視野に入ってきたことだろう。

三人の麗しき旅人たちが

日陰の木立に今や近づきつつあった。

 

雪のように白く、彼らの衣は輝く。

金色燦爛たる晄で。

三者共、この世のものとは思えぬ幽玄さを宿し、

霞(かすみ)のかかった靄で包まれている。

 

直(すぐ)にして毅然たる、第一の御方の様相。

威厳を帯び、前方をみつめている。

この方の凝視の下、草や花々は

身を低くし、こうべを垂れている。

 

慈愛に満ち溢れし第二の御方。

この方が目を向けられるところはどこでも、

芳(かぐわ)しき花々、またたくまに

不毛の地より開花す。

 

朝風のごとき至純なる第三の御方。

優しくおだやかに見つめておられる。

澄んだまなざしは、

大いなる希望と全き赦しの約束をものがたっている。

 

畏敬とおののきの中で跪き、

今や幻を悟りし先人アブラハムは

涙のうちに、

三位にして一体の御方の前に額ずき拝礼した。

 

A. Lavrov, The Trinity, Translated from Russian by Natalia Sheniloff(私訳)