巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

勇ましい生涯

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渡月橋の紅葉(出典

 

内村鑑三は、『後世への最大遺物』という講演録の中で、私たちクリスチャンが後世に何を残すことができるのかについてメッセージしています。

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世俗イコンと神の国のイコン―「ジェンダーレスファッション」にみる思想のかたち

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ジェンダーレスファッション出典)*写真に映っている人は男性。

 

先日、仲の良い友人が下の記事をシェアしてくれました。GU(ユニクロのカジュアルブランド)の新作発表会でジェンダーレスファッション(「性差のない」服装)が強力に打ち出され、2015年頃から欧米ハイブランドで作られてきたトレンドが少し遅れて極東アジアでも流行り始めたということでした。

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「死の接吻」――女性按手、自由主義神学、教勢の衰退、そして神の聖意図

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牧師按手礼を受ける3人の女性(写真:サドルバック教会のフェイスブックより)出典

 

「率直に言って、(自由主義神学を採用した教団には)男性はそれほど多く残っていません。実際に、そういった教会にはあまり人が残っていないのです。自由主義神学は、あらゆる教会や教団にとってまさに死の接吻です。彼らに残されたのは、社会正義活動と(教団の)延命的な維持だけです」

南部バプテスト神学校のモーラー学長

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三位一体論「御父のモナルキア」教説にかんする優れたビデオ講義シリーズのご案内

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「仮にズィズィウーラスの分析が正しいとするのなら、神的モナルキア*1に関する決定的重要性に関しなぜ正教がかくまで力点を置いているのかをよりよく理解できると思います。 それは、自然の必然(necessities)の上に存在する神の自由を保証し、無限にして永遠なる愛のうちにおける三位一体の一致を確立します。それゆえ、正教は、フィリオクェ問題に関し断固として妥協することを拒んでいるのです。」*2

*1:monarchyの訳語の例:独一性、単一根源、単独支配、独元、源泉の一性、専制君主制、唯一源初、唯一原因性

*2:Fr. Aidan Kimel, The Importance of the Monarchy of the Father according to John Zizioulas. 「神格には単一原因(one cause)しか存在し得ません。ーーそれは父なる神です。『御父は御子および御霊の源である』と単に是認するだけでは十分ではなく、『御父は単一にして唯一の始原因(initiating cause)である』と宣言することもまた必要です。『原因という語が、御父に適用されるとき、それは自由にして、自発的、そして人格的主体を指し示しています。一方、源とか原則とかいった言語は、より自然的、ゆえに非人格的心象を伝えていると言えます。John Zizioulas, “One Single Source”』 三位一体神に関する教会の形成過程をいかに発展させるにしても、私たちは、御父のモナルキアを破棄したり、それに妥協を加えたり、あるいは軽視したりすることはできません。」

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フィリオクゥエ条項と、東西教会の再一致に向けた具体的提案(エドワード・A・シィチェンスキー教授の個人的告白)

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Edward Siecienski, ‘Unity of the Churches—An Actual Possibility: The Rahner-Fries Theses and Contemporary Catholic-Orthodox Dialogue,’ in Analogia 9, Ecclesial Dialogues : East and West I. (はしがきの部分を翻訳)



はしがき(個人的所感)

 

『フィリオクゥエ――教理論争史』(オックスフォード大学出版、2010年)および、『教皇制と正教――源泉資料および論争の歴史』(同出版、2017年)を出版してから数年が経ちました。その間、カトリックや正教の友人たちから「いつになったらこれらの諸論争は終結をみ、両教会の再一致という目標がついに現実化されるのか?」という質問をたくさん受けてきました。

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「教派壁」の向こう側にいる「他者」をどのように捉えればよいのだろう。――顔と顔を合わせた心の交流から生まれてくるもの

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夕ぐれて秋めく風や歩をゆるめ 丹羽敦子(酸漿)

 

先日、正教神父アンドリュー・ステファン・ダミック神父へのインタビューVTRを観ました。とても教えられることの多い洞察に満ちた内容でした。

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