巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

世俗イコンと神の国のイコン―「ジェンダーレスファッション」にみる思想のかたち

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ジェンダーレスファッション出典)*写真に映っている人は男性。

 

先日、仲の良い友人が下の記事をシェアしてくれました。GU(ユニクロのカジュアルブランド)の新作発表会でジェンダーレスファッション(「性差のない」服装)が強力に打ち出され、2015年頃から欧米ハイブランドで作られてきたトレンドが少し遅れて極東アジアでも流行り始めたということでした。

 

www.ellegirl.jp

 

人気セレブたちのジェンダーレス・ファッション写真をみながら、「これって立派な宗教教育だなあ。斬新な世俗イコンを用いた大規模にして徹底的な思想教育――。」と思わずにはいられませんでした。

 

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世俗イコン(出典)*写真に映っているモデルは男性。

 

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世俗イコン(出典)*写真に映っているモデルは女性。

 

キリスト教界には聖画像(イコン)を神礼拝の重要な要素として積極的に取り入れている宗派とそうでない宗派があります。一般にスイス宗教改革の伝統を引く各教派(カルヴァン派、ツヴィングリ派、アナバプテスト派、バプテスト派等)や19世紀に起こった各種回復運動の流れを引く聖書主義諸グループは聖画像に否定的です。

 

しかしながら東方正教会ステファン・フリーマン神父が説明しておられるように、聖画像を否定しようがしまいが、私たちはとにかく皆、この世においてなんらかの「イコン(像)」を見ながら、そしてそこから意識的・無意識的に影響を受けながら、生活しています。――私たちは日々、メディアや教育、ファッション業界からビジュアルな「世俗イコン」を大量に提供されている。そしてこれらの世俗イコンをメンタル・イメージの中にどんどん取り込まされ、世俗イコンにあやかった物品を購買するよう誘導され、そうした上で、世俗サンクチュアリーの中で「世俗リトルジー」に参与するよう猛烈な勧誘を受けている。像(イコン)のない”ニュートラルな”真空は存在しないと。*1

 

その意味で真に問われるべきは、イコン是認or否認ではなくむしろ、どんな種類の「イコン」が私たちの精神生活・霊的生活にもっとも影響を及ぼしているのかではないかと思います。

 

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私は一クリスチャン女性として、女性の聖人が描かれた聖画像を日々みつめ、――服装やヴェールを含めた――彼女たちの聖なる特性やあり方に少しでもあやかれるよう、聖イコンをデボーション生活の中に積極的に取り入れたいと願っています。特に女性の中の女性であるセオトコス(聖母マリア様)と男性の中の男性であるイエス様のイコンを部屋の中心に、そして心の中心に据え置き、主にあって‟自分らしくある”(being)ことと同時に、神のご性質にあずかる者(2ペテロ1:4)として日々聖化され、内側から変えられてゆきたい(becoming)と願ってやみません。聖イコンへの崇敬は、「この世と調子を合わせてはいけない」(ローマ12:2)という主の御命令に従っていく上でパワフルな役割を果たすものであると思います。それは、歪曲された人間像に対する「否!」であり、神の国において完成されし人間像への終末論的「然り」であるはずです。

 

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「女性であることが何を意味するのかを学ぶためには、まず、私を創造してくださった神を知ることから始めなければならない。」とエリザベス・エリオット女史は書いておられます。

 

「ジェンダーの垣根を超えることでファッションの楽しみ方も自在に。女性らしい、男性らしいでくくられることのない“自分らしい”スタイルを見つけよう!」との言葉で冒頭の記事は締めくくられています。私たちキリスト者は、男性と女性を創造され、両者の間に神的境界(垣根)を定められたのは聖書の中に啓示されている主なる神だと信じています。それゆえに、私たちが創造の秩序を畏れ敬わず、聖定されたその垣根を自己流に「超えていこう」とする時、自由と解放ではなく、むしろ実存的不安が私たちの存在を脅かすようになっていくことでしょう。人は被造物であり、創造主ではないからです。自由の道は、私たち一人ひとりが創造主なる神の前にへりくだり、この御方の主権に自らを従わせるとき最高の形で訪れると信じます。

 

神の国における、聖化され、回復された人間像・男女像を表象している聖画像イコンは、静寂なまなざしをもって今日も私たちのこころの中心に向かい、この世のメッセージとは根本的に違うなにかを語りかけていると思います。

 

ー終わりー

 

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