巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

フィリオクゥエ条項と、東西教会の再一致に向けた具体的提案(エドワード・A・シィチェンスキー教授の個人的告白)

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Edward Siecienski, ‘Unity of the Churches—An Actual Possibility: The Rahner-Fries Theses and Contemporary Catholic-Orthodox Dialogue,’ in Analogia 9, Ecclesial Dialogues : East and West I. (はしがきの部分を翻訳)



はしがき(個人的所感)

 

『フィリオクゥエ――教理論争史』(オックスフォード大学出版、2010年)および、『教皇制と正教――源泉資料および論争の歴史』(同出版、2017年)を出版してから数年が経ちました。その間、カトリックや正教の友人たちから「いつになったらこれらの諸論争は終結をみ、両教会の再一致という目標がついに現実化されるのか?」という質問をたくさん受けてきました。

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「教派壁」の向こう側にいる「他者」をどのように捉えればよいのだろう。――顔と顔を合わせた心の交流から生まれてくるもの

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夕ぐれて秋めく風や歩をゆるめ 丹羽敦子(酸漿)

 

先日、正教神父アンドリュー・ステファン・ダミック神父へのインタビューVTRを観ました。とても教えられることの多い洞察に満ちた内容でした。

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なんとコイネー・ギリシア語で普通に会話ができる時代になりました!【素敵な語学チャンネルのご紹介】

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最近、コイネー・ギリシア語勉強のための素敵なチャンネルを見つけました。復元式ギリシア語発音を採用しつつ、聖書ギリシア語を生きた言語として現代に蘇生させようとしています。

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ライサ・マリタンの祈り

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出典

ライサの霊的日誌より

1906年6月プロンビエールにて(拙訳)

 

わが神、私は汝の御前に在ます。
おお汝の前に、私はくずおれ、粉々に砕け、無と化します。


汝の偉大さを仰ぎ見ます。
わが必要は 甚大です。
どうか憐れんでください。

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見よ、真夜中に花婿がやって来る。(♪ Behold, the Bridegroom comes in the middle of the night)

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マタイの福音書25章1-13節(十人のおとめの譬え)

25:1 「そこで、天の国は次のようにたとえられる。十人のおとめがそれぞれともし火を持って、花婿を迎えに出て行く。

2 そのうちの五人は愚かで、五人は賢かった。

3 愚かなおとめたちは、ともし火は持っていたが、油の用意をしていなかった。

4 賢いおとめたちは、それぞれのともし火と一緒に、壺に油を入れて持っていた。

5 ところが、花婿の来るのが遅れたので、皆眠気がさして眠り込んでしまった。

6 真夜中に『花婿だ。迎えに出なさい』と叫ぶ声がした。

7 そこで、おとめたちは皆起きて、それぞれのともし火を整えた。

8 愚かなおとめたちは、賢いおとめたちに言った。『油を分けてください。わたしたちのともし火は消えそうです。』

9 賢いおとめたちは答えた。『分けてあげるほどはありません。それより、店に行って、自分の分を買って来なさい。』

10 愚かなおとめたちが買いに行っている間に、花婿が到着して、用意のできている五人は、花婿と一緒に婚宴の席に入り、戸が閉められた。

11 その後で、ほかのおとめたちも来て、『御主人様、御主人様、開けてください』と言った。

12 しかし主人は、『はっきり言っておく。わたしはお前たちを知らない』と答えた。

13 だから、目を覚ましていなさい。あなたがたは、その日、その時を知らないのだから。」

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聖グレゴリウス・パラマスとヘシュカスト論争(by マークス・プレステッド教授)

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Marcus Plested on St Gregory Palamas and the Hesychast Controversy, 2021.(抄訳)


「結論を申し上げますと、(ポドスカルスキー見解に代表されるような)「理性の敗北」、(ロスキーらの見解に代表されるような)「アンチ・スコラ哲学的神秘神学の勝利」、その他もろもろのアンチ・ラテン観を正当に特徴づけるようなものは、聖グレゴリウスの神学の中には見い出されません。つまり、パラマスの神学があたかもラテン西洋スコラ哲学に対するアンチテーゼであるかのような提言は妥当とは言いかねるということです。」

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アンチ西洋ポレミックスを克服し、西洋世界における福音宣教の使命を全うするために(by パトリック・カールディーン神父、正教会)

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西方典礼正教会(写真

 

目次

  • はじめに
  • ポレミックス問題の認識
  • ポレミックスを介した西方伝統および自己概念の不正確な描写
  • ビザンティン・リスト;異なる形式、異なる信仰
  • 福音宣教に負の影響を与えているアンチ西洋的な偏見
  • 公同性・普遍性・カソリック性:全体なる伝統
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