巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

健全な教理の重要性(by A・W・トーザー)

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A.W. Tozer, The Importance of Sound Doctrine(全訳)

 

キリスト者生活の中において、どれほど健全な教えが重要かということについては、これを強調してもしすぎることはないと思う。もし私たちが「正しい生き方」を志すなら、あらゆる霊的な事柄に関する「正しい考え」というのは、ぜひとも必要とされるものである。

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異教文化を「聖別」?――ゴスぺルフラ現象の背後に潜む新神学および「土着の民の運動(Indigenous People’s Movement)」について【文化と宣教】

     

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 Gospel Hula (情報源

 

 

先月、私は、フラダンスを用いたキリスト礼拝のあり方について次のような記事を書きました。

 


元々女神に捧げられていたハワイの異教ダンスを「聖別し」、「贖い(redeeming)」、伝道や礼拝のために「善用する」というこの新しい宣教アプローチは、一体どこにそのルーツを持つのでしょうか。

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女性牧師問題とフェミニスト聖書解釈――「軌道解釈(Trajectory Interpretation)」に対する応答(by ウェイン・グルーデム)【後篇】

前編〕からの続きです。

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Wayne Grudem, Evangelical Feminism and Biblical Truth, chapter 9より翻訳抜粋

回答3.この「軌道解釈」は、旧約聖書とは区別される新約聖書の特異性(uniqueness)について理解し損なっています。

 

R・T・フランスは次のような議論を展開しています。

 

.私たちはすでに旧約聖書から新約聖書にかけての《変化》を見ている。

.新約聖書の中で、(使徒15章のエルサレム会議にみられるように)異邦人たちがどのようにして完全な形で教会に包含され得るのかについて、使徒たちが徐々に、その理解を深めていったことを知っている。France, Women in the Church's Ministry, p17-19

.それならば、新約聖書の中に書かれている内容を越えたところの《変化》を私たちが禁じることなどできようか?いや、禁じるべきではない。

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被造物への愛着心

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被造物への愛着心はなんと強力なものでしょうか。それは時に大波のように激しく心を揺さぶり、かき乱し、本来、主だけで占められるべき奥の部屋に抗い得ないような力で押し入ろうとしてきます。

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女性牧師問題とフェミニスト聖書解釈――「軌道解釈(Trajectory Interpretation)」に対する応答(by ウェイン・グルーデム)【前篇】

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Wayne Grudem, Evangelical Feminism and Biblical Truth, chapter 9より翻訳抜粋

 

対等主義側の主張:「軌道解釈(Trajectory Interpretation)」

 パウロを始めとする新約記者たちは、完全な形での女性リーダーシップに向けての「軌道」を移行中でした。しかし新約聖書が完成した時点ではまだ、彼らはその最終目標に達してはいませんでした。しかし今日、私たちは当時の彼らが目指していた方向性を目の当たりにしており、それゆえ、彼らが当初目標としていた対等主義的諸結論を是認することができるのです。

 

 

R・T・フランスは、著書Women in the Church's Ministry: A Test Case for Biblical Interpretation(「教会のミニストリーにおける女性たち:聖書的解釈の試験的論拠」)の中で冒頭の立場を表明しています。

 

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二種類の謙遜――謙遜と確かさは両立可能(G・K・チェスタトン)

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G.K. Chesterton

 

G.K. Chesterton, Orthodoxy [reprint, San Francisco: Ignatius, 1995], 36-37より翻訳抜粋

 

今日の私たちの災難は、誤った位置に置かれている「謙遜」である。謙虚さは、「熱望」の器官から移動し、今や「確信」の器官の上に落ち着いてしまった。――本来、決して意図されていないその場所に。

 

人は自分自身に関しては不確かさや疑いをあるいは抱いてしかるべきであろうが、しかし、こと真理に関してはこれを疑うよう造られてはいない。しかし今や全くこの逆のことが起っているのである。

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失われつつある聖書の権威――教会の女性化(feminization)と聖書的男性像の喪失〔フランスにて〕

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現在、フランスでは、アラブ系の移民子弟だけでなく、一般のフランス人若者たちもまたイスラムの教えに惹き付けられ、ISISに加入していることが社会問題になっています。パリ近郊で滞在した家庭には高校一年生の男の子がいましたが、数週間前、彼の級友のフェイス・ブックに、イスラム国からの個人的勧誘メッセージが届いたと聞きました。特にニース市などフランス南部でこの傾向が強いようです。

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