巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

詩篇歌と世界の癒しーーアトス山シモノペトラ修道院エミリアノス掌院の献身から生み出された永遠の実

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出典

 

今年の5月9日に、アトス山シモノペトラ修道院のエミリアノス掌院(archimandrite)が永眠されました。

 

エミリアノス掌院、The Elder Archimandrite Aimilianos (Vafeidis)(出典

 

エミリアノス掌院は若い修道僧だった27歳の時に、深刻な霊的危機と、それに続く劇的な霊的刷新を経験します。それ以後、メテオラ修道院での彼の圧倒的カリスマ的説教を聞きに大勢の若者たちが押し寄せ、そこからダイナミックな修道共同体が形成されるようになります。その後、この共同体はアトス山の招きにより、シモノペトラ修道院に移り、女性たちのための修道院もギリシャ北部ハルキディキ地方にあるオルミリアに設立されました。*1

 

エミリアノス掌院の説教集の翻訳者マクシモス・コンスタス神父(聖十字架ギリシャ正教神学校教父学)は、インタビューの中で、エミリアノスがアトス山修道院に移って以来、詩篇歌を歌う古代以来の慣習がすばらしい形で復興し、修道士たちの霊的生活に刷新がもたらされていくようになった経緯を語っています。

 

「詩篇と信仰生活」という説教集*2の中で、エミリアノスは人間の苦しみや痛み*に対する深い洞察をしています。詩篇の中には人間の赤裸々な苦悩や絶望、神への飢え渇き、告白、祈りが詰っています。

 

シモノペトラ修道院の聖所から流れ出る詩篇歌は、言葉にならない聖霊の呻きをもって、苦しみ悶える魂に天的な慰めと希望を与えていると思います。この深遠なる詩篇歌霊性の背後に、エミリアノス掌院の祈りと指導があったことを思う時*、主に人生を捧げ切った一人の魂を用い、神がいかに世界の癒しのために働かれるか、その計り知れない摂理に心震えます。*3

 

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