巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

ミサの至高性と美について(聖アルフォンソ・マリア・デ・リグオーリ)

Related image

道化師ミサA Mass with clowns at Salzburg's Cathedral

 

Fr. Silvio Mantelli, Fr. Larry Lorenzoni, and Fr. Paolo the priest clown

マジック・ミサ(左から:サールの魔術師としても知られるシルヴィオ・マンテリ神父、マリー・ロレンゾーニ神父、そして道化師司祭であるパオロ神父。)写真はウナ・ヴォーチェ・ベネチアより出典

 

 

Related image

「御ミサは教会の中でもっとも至高にしてもっとも美しいものです。だからこそ、悪魔は常にーー異端者たちをアンチクリストの先駆者と為させつつーー彼らの言動を通し、御ミサの世界をはく奪しようと諮っているのです。」

ーー聖アルフォンソ・マリア・デ・リグオーリ(1696-1787)*1*2

 

Carlow Cathedral St Alphonsus kneeling before the Most Holy Sacrament 2009 09 03.jpg

聖サクラメントの前で跪くアルフォンソ(St Alphonsus kneeling before the Blessed Sacrament in a 19th century stained glass window of carlow Cathedral)出典

*1:アルフォンソ・マリア・デ・リグオーリ(Alfonso Maria de' Liguori 1696年9月27日 - 1787年8月1日)は、カトリック教会の司教、聖人で教会博士。修道会レデンプトール会の創立者です。クリスマスソングとして知られる「あなたは星から降りてくる」(Tu scendi dalle stelle)の作曲者でもあります。ナポリ近郊のマリアネッラで生まれ、ナポリ大学で法学を修め法律家となりますが、1723年に父親の反対を押し切って聖職者となり、3年後には司祭になります。主にナポリの貧民窟や孤児・ハンセン病患者など当時疎外されがちだった人々の中に入って宗教活動を行い、この活動が基となって1732年にレデンプトール会を創設します。1762年にはサンタアガタ=デ=ゴッティの司教に叙任され、ジャンセニスムとの論争の傍ら倫理神学に大きな足跡を残しました。参照

*2:アルフォンソは1839年に列聖され、1871年に教会博士と宣言されました。アルフォンソに教会博士の称号が与えられたのには多くの理由があります。第一に、彼は豊かな倫理神学の教えを示しました。この教えはカトリックの教理を適切なしかたで表します。そこで教皇ピウス12世(Pius XII 在位1939-1958年)は彼を「すべての聴罪司祭と倫理神学者の守護聖人」と宣言しました。アルフォンソの時代、道徳生活に関するきわめて厳格な解釈が広まっていました。その理由の一つはジャンセニズムの精神です。ジャンセニズムは、神のあわれみに対する信頼と希望を深めるのではなく、むしろ恐怖をあおり、不機嫌でいかめしい神のみ顔を示しました。それはイエスによってわたしたちに示された神のみ顔とはかけ離れたものです。聖アルフォンソは何よりも『倫理神学』(Theologia moralis, 1753-1755)という標題の主著の中で、神の律法の要求と、人間の良心と自由の働きの間の、バランスのある説得力に満ちた総合を示しました。神の律法は、わたしたちの心にしるされ、キリストによって完全に啓示され、教会によって権威をもって解釈されます。人間の良心と自由は、まさに真理と善に忠実に従うことを通じて、人格の成長と実現を可能にします。アルフォンソは霊魂の牧者と聴罪司祭に対してこう勧めました。カトリックの倫理教説に忠実に従いなさい。同時に、慈愛と理解に満ちた優しい態度をとりなさい。それは、改悛者が、信仰とキリスト教的生活の道を歩む上で、同伴と支えと励ましを感じられるためです。聖アルフォンソはうむことなく繰り返しいいました。司祭は神の限りないあわれみの目に見えるしるしです。神は、回心して生活を改めるよう、罪人の思いと心をゆるし、照らします。現代において、道徳的良心の喪失と、ゆるしの秘跡への評価のある種の欠如を示すしるしを認めざるをえません。このような時代において、聖アルフォンソの教えは再び大きな現代的意味をもっています。
  聖アルフォンソは、神学的著作だけでなく、民衆の宗教教育のために他の多くの著作を著しました。その文体は単純で親しみやすいものです。多くの言語で読まれ、翻訳された聖アルフォンソの著作は、19・20世紀の民衆の霊性の形成に寄与しました。そのいくつかは、今でも読んで大いに益を得ることができるテキストです。たとえば、『永遠の原理』(Le Massime eterne)、『マリアの栄光』(Le glorie di Maria)、『イエス・キリストに対する愛の実行』(La pratica d’amare Gesù Cristo)です。最後に挙げた著作は、アルフォンソの思想を総合した、彼の傑作です。

 「教皇ベネディクト十六世の264回目の一般謁見演説 聖アルフォンソ・マリア・デ・リグオーリ」より一部抜粋(引用元