巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

用語のひとり歩きに注意しようーー誤用・乱用されがちなニューマンの「キリスト教教義の発展」というコンセプトについて

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発展(development)とは?

 

かつて誰かによって提唱された言葉が、時代を経るにつれて、作者の元来の意図や限定的文脈を超え、さまざまに解釈されつつ、「言葉のひとり歩き」を始める事例は歴史上、後を絶たないと思います。

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至福者の苦しみ(ライサ・マリタンの回想録より)

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「イエス・キリストに仕えることを表明しつつ、内心では自分自身を崇めている者達よ、震え慄きなさい。神はお前達をその敵に委ねようとされているからです。諸々の聖なる場所は腐敗の内にあり、多くの修道院は最早神の家ではなく、悪魔の王とその仲間達の牧場となっているからです。」ラ・サレットでの聖母マリアの警告出典

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伝統と暗黙(Tradition and Tacit)ーーアンドリュー・ラウス、ダラム大学

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神秘、伝統、、わがたましひは黙してただ神をまつ。(出典

 

目次

  • はじめに
  • アンドリュー・ラウス著「伝統と暗黙」
    • 「伝統」を巡るカトリックとプロテスタントの論争
    • 交わり(fellowship; κοινωνία)
    • 典礼(liturgy)
    • 発話を超える事実ーーthe inarticulate、沈黙
    • 伝統と御霊
    • おわりにーー「心における福音」
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神への切望

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出典

 

ああイエスよ、永遠の栄光の輝き、巡礼者の魂の慰め主よ、あなたの御前にわたしの舌は語らず、わたしの沈黙があなたに語るのです。どうか主の貧しいしもべの所に来てこれを喜ばせてください。み手をのべてあわれな者をすべての苦悩から救ってください。来てください。来てください。あなたがいなければ一日も一時も喜びはありません。

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東西を結ぶ古の架け橋ーー美しいアンブロジオ聖歌の世界

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イタリア、ミラノにあるサンタンブロージョ聖堂(Basilica di Sant'Ambrogio)。献堂は386年。(写真

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私たちに語りかけてくる伝統とは何か?

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目次

  • 「ガダマーの解釈学についてーーディルタイとの連続性と相違性ーー 」を読んで
  • ディルタイ
  • 「解釈学的循環」
  • 「客観的精神」
  • 歴史的な存在としての人間
  • 先行判断
  • 私たちに語りかけてくる伝統
  • 地平の融合
  • 開かれた態度で過去のテクストとの思索的対話を続けていく

 

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