巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

「個」という自由、そして「個」という監獄ーープロテスタンティズムと聖書解釈

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「最終的に大切なのは、どの宗派/教派の教会が正しいのかではなく、各個人が神の前にいかにあるかということである。」

 

私はこれまで上記のような教会論に希望を託してきました。そして現在でもこういった意見は妥当なのではないかと思っています。しかし最近とみに感じるのは、「それは一面において真であるかもしれない。でもそれだけでは十分でないのかもしれない」という漠然とした欠乏感です。

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転向すべきか留まるべきか?ーー私が東方正教会に接近しながらも結局「越境」には至らなかった理由【あるプロテスタント教会牧師の葛藤と内的相剋の記録】

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 「〈堅実〉という名の頑迷/錯誤があり、そうかと思えば〈柔軟〉という名の迎合/狡猾もある。この世界で信仰者として生きるっていろいろむずかしいね。」

「うん。そうだね。ボクたちどうしたらいいんだろね。」

 

目次

  • ある著書との出会い
  • 正教の信仰に関心を持つ
  • 牧会者として燃え尽き寸前
  • 少し我に返る
  • プロテスタントとしての過去全てを否定しなければならないのか
  • プロテスタントやカトリックの友人を「異端者」と宣言することはどうしてもできない
  • クレテ島での公会議で持ち上がった騒動
  • アンティオケのイグナティオス
  • ダブル・スタンダード
  • 典礼的シフト
  • 一つの問いかけ
  • 全く変わらず受け継がれてきたのか?
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教会政治とジェンダー論ーー女性教職を認めるべきか?(ウェイン・グルーデム著『組織神学』第47章)後篇【さまざまな反論に対する応答】

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困ったなぁ~。どうしよう。

 

目次

  • はじめに
  • 反論の実例
    • ①「ジェンダーではなく賜物によってミニストリーは決定されるべきです。」
    • ②「神様が女性である私を真実に牧師に召してくださいました。」
    • ③「新約聖書はしもべとしてのリーダーシップを重んじています。」
    • ④「当時の奴隷制と今日の女性牧師反対論にはパラレル関係があります。」
    • ⑤「プリスキラは夫アクラと共に、アポロに神の道を説明していました。」
    • ⑥「会衆制の諸教会の中で女性に投票権を与えながら、彼女たちの長老職は禁じているというのは矛盾していませんか?」
  • その他の反論
    • ⑦「1テモテ2:12の翻訳が間違っています。」
    • ⑧「1テモテ2:12の動詞アウセンテオー(支配する)は比較的まれなギリシャ語であり、意味を把握するのが非常に困難です。」
    • ⑨「1テモテ2:11-15の箇所は、新約聖書が旧約聖書を誤って解釈した結果生じたものです。」
    • ⑩「1テモテ2:12の『許しません』は現在形動詞であり、一時的な命令であるに過ぎません。」
    • ⑪「1テモテ2:12-15も、創造に関する創世記の記述も、文化的に相対的なもので、今日性を持ちません。」
    • ⑫「新約記者たちは、次第に完成に近づく対等主義的完全な形での女性リーダーシップに向けて『軌道』を移行中でした。」
    • ⑬「ローマ16:2の女性執事フィベは『指導者』であり『支配者』であって、使徒パウロの上に立つ人でした。」
    • ⑭「イエスは当時の家父長制文化が女性たちに課していた社会通念をひっくり返しました。」
    • ⑮「万人祭司説というのは、聖書の真理です。ですから、女性も牧師になることができるのです。」
    • ⑯「『男子も女子もありません。なぜなら、あなたがたはみな、キリストにあって一つだからです』(ガラ3:28)というパウロの言明によって、ジェンダーの壁が取り除かれ、それゆえに女性教職の門戸は開かれてしかるべきなのです。」
    • ⑰「男性牧師の‟権威の下”でなら、女性は会衆に聖書を教えることができるのではないでしょうか。」
    • ⑱「新約聖書によれば、女性も預言することができます。ですから、彼女たちも神の言葉を教え、牧師になることができるのではないでしょうか。」

 

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教会政治とジェンダー論ーー女性教職を認めるべきか?(ウェイン・グルーデム著『組織神学』第47章)前篇

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ウェイン・グルーデム(1948~)過去20年間に渡り、イリノイ州にあるトリニティー神学校で教鞭を取った後、現フェニックス神学校教授。ハーバード大(B.A.)、ウェストミンスター神学校(M.Div.)、ケンブリッジ大(Ph.D.)1998-1999年にかけ、Evangelical Theological Societyの会長。『ESVスタディー・バイブル』編纂主幹。

 

目次

  • はじめに
  • 1.1テモテ2:11-14
  • 2.1コリント14:33b-36
  • 3.1テモテ3:1-7、テトス1:5-9
  • 4.家庭と教会の関係
  • 5.使徒たちの例
  • 6.聖書全体を通した男性による教えとリーダーシップの歴史
  • 7.教会史
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イスラーム伝道、女性、ジェンダー論ーー新世代の中東女性たちへの愛の働きかけとキリスト教弁証

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目次

  • 楽しい語らい
  • 存在論から三位一体論へ
  • おわりにーー寄り添い、一緒に歩いていく

 

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どんなに世が変わり、諸教会の教えが変わっても。ーー居場所を失いつつあるわが兄弟たちに捧げる詞

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どんなに世が変わり、

諸教会の教えが変わっても、

私は、わが兄弟たちと共に

古(いにしえ)のかしら像を見上げ

そこにとどまり続けたいと思う。

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