巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

イグナティオスによるローマ人への手紙【AD2世紀前半】第8章-最終章

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出典

 

目次

 

第1-5章はココ。 6章はココ。7章はココ

第8章 どうか私のために祈ってほしい

 

私は、もはや人が人生と呼ぶものを欲してはいません。そして私の望みは、あなたがたがそれに同意してくれる時、成就します。あなたがたもまた自分の希望が成就するよう願い求めなさい。この短い書簡の中であなたがたに嘆願します。私を信じてください。イエス・キリストはこれらの事をあなたがたに顕してくださることでしょう。そうすれば私が真実を語っていることがあなたがたに分かるはずです。

 

*1は忠実なる代弁者であり、それにより、御父は真実に語っておられます。わが願いに到達することができるよう、どうか私のために祈ってください。

 

私は〔この書簡を〕肉に従って書いているのではなく、神の御思いに従って書いています。もしも私が苦しむなら、あなたがたは私の最善を願っていてくれたのです。しかしそれが取り下げられるのなら、その時あなたがたは私を憎んでいることになります。

 

第8章原文*2 

VIII

1 Οὐκέτι θέλω κατὰ ἀνθρώπους ζῆν. τοῦτο δὲ ἔσται, ἐὰν ὑμεῖς θελήσητε. θελήσατε, ἵνα καὶ ὑμεῖς θεληθῆτε.

2 δι ̓ ὀλίγων γραμμάτων αἰτοῦμαι ὑμᾶς· πιστεύσατέ μοι. Ἰησοῦς δὲ Χριστὸς ὑμῖν ταῦτα φανερώσει, ὅτι ἀληθῶς λέγω· τὸ ἀψευδὲς στόμα, ἐν ᾧ ὁ πατὴρ ἐλάλησεν ἀληθῶς.

3 αἰτήσασθε περί ἐμοῦ, ἵνα ἐπιτύχω. οὐ κατὰ σάρκα ὑμῖν ἔγραψα, ἀλλὰ κατὰ γνώμην θεοῦ. ἐὰν πάθω, ἠθελήσατε· ἐὰν ἀποδοκιμασθῶ, ἐμισήσατε.

 

第9章 シリアにある教会のことを祈りに覚えてほしい

 

シリアにある教会のことを祈りに覚えてください。〔私が取り去られた〕今、この教会の牧者は、神です。そしてイエス・キリストだけがこの教会を監督し、あなたがたの愛もまたそれを考慮してくださるでしょう。しかし自分に関して言えば、私は彼らの一人とみなされることを身に余ることだと考えています。というのも本当に自分は彼らの中で最も小さい者であって、月足らずで生まれた者と同様の、価値のない者だからです*3。しかし、もし神の元に到達することができるのなら、その時、私は神の憐れみにより〔主に認められる〕人になるでしょう。

 

わが霊はあなたがたに挨拶を送ります。そして私を単なる通りがかりの人としてではなくイエス・キリストの御名によって受け入れてくれた諸教会の愛もまた、あなたがたに挨拶を送っています。実に、私の旅ルートとは違う所に位置する諸教会の人々でさえも〔私に会い介助すべく〕一つの都市から次の都市まで付き添ってくれたのです。

 

第9章原文

IX

1 Μνημονεύετε ἐν τῇ προσευχῇ ὑμῶν τῆς ἐν Συρίᾳ ἐκκλησίας, ἥτις ἀντὶ ἐμοῦ ποιμένι τῷ· θεῷ· χρῆται. μόνος αὐτὴν Ἰησοῦς Χριστὸς ἐπισκοπήσει καὶ ἡ ὑμῶν ἀγάπη·

2 ἐγὼ δὲ αἰσχύνομαι ἐξ αὐτῶν λέγεσθαι· οὐδὲ γὰρ ἄξιός εἰμι, ὢν ἔσχατος αὐτῶν καὶ ἔκτρωμα· ἀλλ ̓ ἠλέημαί τις εἶναι, ἐὰν θεοῦ ἐπιτύχω. 3 ἀσπάζεται ὑμᾶς τὸ ἐμὸν πνεῦμα καὶ ἡ ἀγάπη· τῶν ἐκκλησιῶν τῶν δεξαμένων με εἰς ὄνομα Ἰησοῦ Χριστοῦ, οὐχ ὡς παροδεύοντα. καὶ γὰρ αἱ μὴ προσήκουσαί μοι τῇ ὁδῷ· τῇ κατὰ σάρκα, κατὰ πόλιν με προῆγον.

 

第10章 イエス・キリストの忍耐の中で待ち望みつつ。

 

この手紙は、エペソの誉れ高いわれわれの兄弟たちの手によって、スミルナからあなたがたの元に送られます。またここには、その他多くの人々と共に、自分の愛してやまないクロコスもいます。

 

私よりも先にすでにシリアからローマに向け、神の栄光のために往った人々がいるのをあなたがたはご存知かと思います。私も今そこに近づきつつあることを彼らに知らせてください。彼らは神にとってもあなたがたにとっても尊い人々です。ですからあなたがたのできる限りを尽くし、彼らに良くしてあげてください。

 

これらの事を、8月24日*4に書簡にしたためました。それでは終わりの時までさようなら。ーーイエス・キリストの忍耐の中で待ち望みつつ。アーメン。

 

ー完ー

 

第10章(最終章)原文

X

1 Γράφω δὲ ὑμῖν ταῦτα ἀπὸ Σμύρνης δι ̓ Ἐφεσίων τῶν ἀξιομακαρίστων. ἔστιν δὲ καὶ ἅμα ἐμοὶ σὺν ἄλλοῖς καὶ Κρόκος, τὸ ποθητόν μοι ὄνομα.

2 περὶ τῶν προελθόντων με ἀπὸ Συρίας εἰς Ῥώμην εἰς δόξαν τοῦ θεοῦ πιστεύω ὑμᾶς ἐπεγνωκέναι, οἷς καὶ δηλώσατε ἐγγύς με ὄντα. πάντες γάρ εἰσιν ἄξιοι τοῦ θεοῦ καὶ ὑμῶν· οὓς πρέπον ὑμῖν ἐστὶν κατὰ πάντα ἀναπαῦσαι.

3 ἔγραψα δὲ ὑμῖν ταῦτα τῇ πρὸ ἐννέα καλανδῶν Σεπτεμβρίων. ἔρρωσθε εἰς τέλος ἐν ὑπομονῇ Ἰησοῦ Χριστοῦ.

*1:τὸ ἀψευδὲς στόμα:ここの主語を、イグナティオス本人だと解釈する研究者たちもいます。出典

*2:原文の写本には少しvariationがあるようですが、私が使っているのは、この原文です。Προς Ρωμαίους Επιστολή Αγίου Ιγνατίου του Θεοφόρου/また現代ギリシャ語訳では、Κείμενο σε μετάφραση στη νεοελληνική, εκδόσεις ΕΠΕ/英訳では、1.Maxwell Staniforth, The Apostolic Fathers Early Christian Writings, Penguin Classics, 1968[Reprinted with new editorial material by Andrew Louth, 1987]/2. The Epistle of Ignatius to the Romansを参照しています。

*3:1コリ15:8,9.出典、それから、教父学者アンドリュー・ラウス(Andrew Louth)の注釈も参照。The Apostolic Fathers Early Christian Writings, Penguin Classics, 1968, [Reprinted with new editorial material by Andrew Louth, 1987], p.89.

*4:原文ではτῇ πρὸ ἐννέα καλανδῶν Σεπτεμβρίωνとなっています。8月24日という訳に関しては、The Apostolic Fathers Early Christian Writings, Penguin Classics, 1968, [Reprinted with new editorial material by Andrew Louth, 1987]を参照しました。