巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

天使ミサ(Missa De Angelis)【グレゴリオ聖歌】

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フラ・アンジェリコ作「最後の審判」(1432年)出典

 

目次

 

グレゴリオ聖歌 天使ミサ(Missa De Angelis)

 

 

Kyrie Eleison(キリエ・エレイソン)

 

Kyrie Eleison at 0:01

 

Kyrie Eleison, Christe Eleison, Kyrie Eleison.

キリエ・エレイソン(主、われらを憐れみたまえ)

キリスト、われらを憐れみたまえ

キリエ・エレイソン(主、われらを憐れみたまえ)

 

Gloria in Excelsis Deo(グロリア・イン・エクチェルシス・デオ)

 

Gloria in Excelsis Deo at 2:07

 

Gloria in Excelsis Deo, Et in terra pax hominibus bonae voluntatis.

グローリア、いと高き天(あめ)なる神に、地に平和 主の民にあれや

Laudamus te, benedicimus te, adoramus te, glorificamus te.Gratias agimus tibi propter magnam gloriam tuam.

主を頌め、主を讃え、主をあがめグローリア なれに。み神に 謝しまつらん。大いなるみ栄えのゆえ

Domine Deus, Rex coelestis, Deus Pater omnipotens, Domine Fili unigenite, Jesu Christe altissime, Domine Deus, Agnus Dei, Filius Patris.

いと高き天の君、全能の神なる御父、いと高き神の御子なる貴きキリスト・イエス、主なる御神、小羊、 御父の御子

Qui tollis peccata mundi, miserere nobis,qui tollis peccata mundi, suscipe deprecationem nostram.

世の罪 除くもの 憐れみを、世の罪 除くもの 願い聞きたまえ、われらが願い

Qui sedes ad dextram Patris, miserere nobis.Quoniam tu solus sanctus, tu solus Dominus,tu solus altissimus Jesu Christe.

御父の右に座する者よ、われらに憐れみを。ただなれのみ聖。 ただ一人の主なり。いと高きもの イエス・キリストよ。

Cum Sancto Spiritu in gloria Dei Patris, Amen.

御霊とともにみ栄えのうちに、アーメン。

 

Memorial Acclamation(追悼誦)

 

Memorial Acclamation (Not Missa de Angelis) at 4:32

 

Mortem tuam annuntiamus, domine, et tuam resurrectionem confitemur, donec venias. 

主の復活をたたえよう、主がこられるまで。

 

Sanctus(サンクトゥス)

 

Sanctus and Amen at 5:10

 

Sanctus, Sanctus, Sanctus, Dominus Deus Sabaoth. Pleni sunt caeli et terra gloria tua. Hosanna in excelsis.

聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、万軍の神なる主。主の栄光は天地に満つ。天のいと高きところにホザンナ。

Benedictus qui venit in nomine Domini. Hosanna in excelsis. 
ほむべきかな、主の名によりて来たるもの。天のいと高きところにホザンナ。

Amen. 

アーメン。

 

Agnus Dei(アニュス・デイ、平和の賛歌)

 

Agnus Dei at 7:06

 

Agnus Dei, qui tollis peccata mundi, miserere nobis.

神の子羊、世の罪を除きたもう主よ、われらをあわれみたまえ。

Agnus Dei, qui tollis peccata mundi, miserere nobis.

神の子羊、世の罪を除きたもう主よ、われらをあわれみたまえ。

Agnus Dei, qui tollis peccata mundi, dona nobis pacem.  

神の子羊、世の罪を除きたもう主よ、われらに平安をあたえたまえ。

 

Ite,missa est (イテ・ミサ・エスト)

 

Ite Missa Est at 8:29

 

Ite,missa est

行きなさい。派遣です。*1

 

【補足】指針『ウニヴェルセ・エクレジエ』(Universae Ecclesiae、2011年)について

 

2011年5月13日、自発教令『スンモールム・ポンティフィクム』の適用に関する指針『ウニヴェルセ・エクレジエ』(Universae Ecclesiae) が発表されました。この指針は、エクレジア・デイ委員会委員長であるレバダ枢機卿が署名し、教皇ベネディクト16世*2が承認しています。その要点は次の通りです。

 

1.トリエント・ミサを廃止することは絶対に出来ない。「前の世代が神聖なものとして持っていたものは、私達にとってもまた神聖であり、偉大なままです。それ故、それが突然全く禁じられるなどということはあり得ませんし、また有害であると考えられることさえあり得ません。」(第7項)

2.ローマ典礼様式の特別形式の挙行をする権能は、全ての司祭に与えられている。「自発教令『スンモールム・ポンティフィクム』の条項により、そのようなミサを挙行するために教区長又は上長からのいかなる特別の許可を必要としない。」(第23項)

3.堅信・聖務日課・儀式書の古い形式を自由に使うことができる。(第29項、第32項および第35項) *3

 

【補足2】教皇ベネディクト十六世自発教令スンモールム・ポンティフィクムーー1970年の改革以前のローマ典礼の使用についてーー

 


(以下、全文。)

 

現代に至るまで、教皇の変わることのない関心は、「神の名の賛美と栄光のため」、また「神の聖なる全教会の善益のために」、キリストの教会が御稜威(みいつ)の神に対してふさわしい典礼をささげることを保証することであった。


はるか昔から、また将来においても、次の原則を守らなければならない。「各部分教会が普遍教会と一致していなければならないのは、信仰の原則と秘跡のしるしに関することに限られない。誤りを避けるためだけでなく、信仰がことごとく伝えられるために、使徒から継続した伝統によって認められた普遍的な慣習に関することについても、普遍教会と一致していなければならない。それは、教会の祈りの法は信仰の法にかなうものだからである。」*4


なすべき配慮を示した教皇の中でも、大聖グレゴリオの名は抜きん出ている。大聖グレゴリオは、カトリックの信仰と、それまでの時代にローマ人が蓄積した典礼と文化の富が、新しいヨーロッパの民に伝わるように配慮したからである。大聖グレゴリオは、ローマで行われていた聖なる典礼、すなわちミサのいけにえと聖務日課の形式を定め、守るよう命じた。大聖グレゴリオは修道士と修道女を大いに保護した。修道士と修道女は『聖ベネディクトの戒律』に従う兵士として、どんな場所においても、福音の宣教と自らの生活によって、最高の救いをもたらす『戒律』のことばをあかししたからである。「そもそも何ごとも『神のわざ』に優先してはなりません」*5。こうしてローマの様式に従う聖なる典礼は、多くの民族の信仰と信心だけでなく、その文化をも豊かにした。実際、教会のさまざまな形式のラテン典礼が、キリスト教のあらゆる時代において、多くの聖人の霊的生活に刺激を与え、多くの人の信仰の徳を強め、彼らの信心の糧となったことが知られている。


しかし、聖なる典礼がより効果的なしかたでその使命を果たすために、他の多くのローマ教皇が歴史を通じて特別な配慮を行った。その中で際立っているのは聖ピオ五世である。聖ピオ五世は、大きな司牧的熱意をもって、トリエント公会議の勧めに従い、教会の典礼全体を刷新し、「教父の規範に従う復興」と改訂を行った典礼書の発布を命じ、この典礼書をラテン典礼教会で使用させた。


ローマ典礼書の中で、ローマ・ミサ典礼書がとくに優れたものであることは明らかである。ローマ・ミサ典礼書はローマ市で発展し、時の流れの中で、しだいに最近の時代に優勢なものと似た形態をとるようになった。
 

「教皇たちは時代の流れの中でこの同じ目標を目指しながら、典礼と典礼書を刷新し、時代に合ったものとしてきました。そして、わたしたちの世紀の初めから教皇はより広範な改革に着手しました*6」わたしの先任者であるクレメンス八世、ウルバノ八世、聖ピオ十世*7、ベネディクト十五世、ピオ十二世、福者ヨハネ二十三世がこのために貢献した。


しかし、最近の時代になって、第二バチカン公会議は、聖なる典礼に対するふさわしい尊重と畏敬をあらためて回復し、現代の必要に適応させたいという望みを表明した。この望みに促されて、わたしの先任者である教皇パウロ六世は1970年に、復興され、部分的に刷新された、ラテン教会のための諸典礼書を認可した。これらの典礼書は世界中の自国語に翻訳され、司教、司祭、信者から進んで受け入れられた。ヨハネ・パウロ二世はローマ・ミサ典礼書の第3版を承認した。このようにしてローマ教皇たちは「いわば典礼という建物が・・・・再び尊厳と調和において輝きを現す*8」ことができるように努めてきたのである。


しかし、ある地域において、少なからぬ人々が、大きな愛情と愛着をもってかつての典礼の形式を支持し、また現在も支持し続けている。この典礼の形式は彼らの文化と心に深く染み込んでいるからである。そこで教皇ヨハネ・パウロ二世は、これらの信者への司牧的配慮に促され、1984年に教皇庁典礼秘跡省から与えられた特別恩典『クアットゥオール・アプヒンク・アンノス』をもって、1962年にヨハネ二十三世が発布したローマ・ミサ典礼書を使用する権能を認めた。さらに1988年にヨハネ・パウロ二世は再び自発教令『エクレジア・デイ』により、希望するすべての信者のために、この権能を広く寛大なしかたで用いるよう、司教たちに勧告した。

 

これらの信者の熱心な祈りをわたしの前任者であるヨハネ・パウロ二世は長期にわたり考慮した。また、わたしは2006年3月23日の枢機卿会議で枢機卿たちの意見を聞き、すべてのことがらを適切に考察した。その上で、聖霊に祈願し、神の助けに信頼しながら、この使徒的書簡によってわたしは次のように定める。

 

第1項 パウロ六世が発布したローマ・ミサ典礼書はラテン典礼のカトリック教会の「祈りの法(Lex orandi)」の通常の表現である。これに対して、聖ピオ五世が発布し、福者ヨハネ二十三世があらためて発布したローマ・ミサ典礼書は、同じ「祈りの法」の特別な表現と考えるべきであり、このあがむべき古くからの典礼の使用に対してふさわしい敬意が払われなければならない。これらの教会の「祈りの法」の二つの表現は、決して教会の「祈りの法」の分裂をもたらしてはならない。なぜなら、これらは唯一のローマ典礼の二つの使用だからである。


それゆえ福者ヨハネ二十三世によって発布され、決して廃止されたことのないローマ・ミサ典礼書規範版に従って、教会の典礼の特別な形式としてミサのいけにえを行うことは許される。以前の文書すなわち『クアットゥオール・アプヒンク・アンノス』および『エクレジア・デイ』が定めたこのミサ典礼書の使用の条件は次の条件に代えられる。

 

第2項 会衆なしに行われるミサでは、ラテン典礼のカトリック教会の司祭は皆、教区司祭と修道司祭の別にかかわらず、過越の聖なる3日間を除くすべての日に、1962年に教皇福者ヨハネ二十三世が発布したローマ・ミサ典礼書と、1970年に教皇パウロ六世が発布したローマ・ミサ典礼書のいずれをも用いることができる。いずれのミサ典礼書に従ってこのような典礼を行うにせよ、司祭はそのために使徒座ないし自らの裁治権者から許可を得る必要はない。

 

第3項 教皇認可のものであれ、教区認可のものであれ、奉献生活の会または使徒的生活の会の共同体が、修道院としてまたは「共同体」として、自分たちの礼拝堂で、1962年に発布されたローマ・ミサ典礼書に従ってミサを行うことを望むなら、それは許される。個々の共同体または会ないし修道会全体が、このような典礼を頻繁に、ないし継続的に、ないし永続的に行うことを望む場合、上級上長は法の規定に従い、また個々の法規ないし会則に則って決定を行わなければならない。

 

第4項 守るべき法を守り、自ら進んで望めば、信者も、上記第2項で述べたミサにあずかることができる。

 

第5項 §1 以前の典礼の伝統を支持する信者のグループが恒常的に存在する小教区において、彼らの主任司祭は、1962年に発布されたローマ・ミサ典礼書に従ってミサを行うことへの要望に進んでこたえるべきである。主任司祭は、教会法第392条に基づく司教の統治のもとに、これらの信者の善益と、小教区の通常の司牧的配慮とを調和させなければならない。不和を避け、教会全体の一致を促進しなければならない。 

§2 ヨハネ二十三世の典礼書による典礼は週日に行うことができる。また、主日と祭日にもこうした典礼を1回行うことができる。   

§3 希望する信者または司祭に対して、主任司祭は、結婚式や葬儀のような特別な機会や、たとえば巡礼のような臨時の典礼に際しても、この特別な形式のミサを行うことを認めるべきである。  

§4 福者ヨハネ二十三世のミサ典礼書を用いる司祭は、ふさわしい者であり、法的な禁止障害のない者でなければならない。  

§5 小教区教会でも修道会付属教会でもない教会堂では、教会主管者司祭が上記の許可を与えなければならない。

 

第6項 福者ヨハネ二十三世のミサ典礼書で会衆とともにミサを行う場合、使徒座の認可した朗読聖書を用いて、聖書朗読を自国語で行うこともできる。

 

第7項 第5項§1で述べた信徒のグループの要望が主任司祭によって聞き入れられない場合、問題を教区司教に知らせなければならない。望みがかなうよう熱心に司教に求めるべきである。司教がこうした典礼を行うための配慮ができない場合は、問題を教皇庁「エクレジア・デイ」委員会に報告しなければならない。

 

第8項 司教は、こうした要望に配慮することを望みながら、さまざまな理由によりこうした配慮を行うことができない場合、問題を教皇庁「エクレジア・デイ」委員会に報告することができる。「エクレジア・デイ」委員会は司教に助言と援助を与えなければならない。

 

第9項 §1 小教区の主任司祭は、すべてのことがらを十分に考慮した上で、霊魂の善益が求める場合に、洗礼、結婚、ゆるし、病者の塗油の秘跡を執行する際に、以前の典礼を使用する許可を与えることができる。
§2 また、裁治権者は、霊魂の善益が求める場合に、以前のローマ司教典礼書を用いて堅信の秘跡を授ける権能を与えられる。
§3 叙階された聖職者は、1962年に発布された福者ヨハネ二十三世のローマ聖務日課を用いることもできる。

 

第10項 地区裁治権者は、適切と考える場合に、以前のローマ典礼の形式に従って典礼を行うために、教会法第518条に基づく属人小教区を設立するか、教会主管者司祭ないし団体付司祭を任命するべきである。その際、守るべき法を守らなければならない。

 

第11項 ヨハネ・パウロ二世により1988年に設立された教皇庁「エクレジア・デイ」委員会*9はその任務の執行を継続する。同委員会は教皇が賦与しようと望むところに従って、形態、職務、行動規範を有さなければならない。

 

第12項 同委員会は、すでに与えられた権能のほかに、本規定の遵守と適用に関する監督を行うことにおいて、聖座の権威を執行する。

 

この自発教令によってわたしが定めたことはすべて、本年9月14日の十字架称賛の祝日から、確定し効力をもつものとして守るべきことを命じる。対立する規定類がある場合は、本規定が優先する。

 

2007年(教皇在位第3年)7月7日
ローマ、サンピエトロ大聖堂にて
教皇ベネディクト十六世

*1:「ミサ」:missio または dimissio(「派遣」)をいう後期ラテン語の missa が原語で、 古代では missae missarum solemnia と言われた。主の晩餐の典礼の締めくくりに派遣(missio)が行なわれるが、 ここから発想を得て用いられるようになった呼称。そのミサの締めくくりの派遣は、現在でもラテン語では、 Ite Missa est。 これは直訳すれば、「行きなさい。解散です」とも、 「行きなさい。派遣です」とも取れる。 したがって、それは解散して派遣される時であるということ。 この解散と派遣をいうミサが、主の晩餐の呼称となった。 現行の日本および各国のミサで、それは、「行きましょう。主の平和の中に」となっており、派遣の意味は薄れていると思う。引用元

*2:ベネディクト16世「第二バチカン公会議後に起こったことは、全く違うことだった。発展の実りとしての典礼の場所に、捏造された典礼が来た。私たちは、数世紀にわたる成長と発展のオーガニックな生きている過程を捨てさり、その代わりに、丁度、制作過程で起こるかのように、作り上げられたものを、平凡でその場しのぎの産物を置いた。」
「歴史的に成立してきたものに対して、新しい家を対立させ、これを禁止したと言うこと、典礼を生きたもの、成長するものとしてではなく、学者たちの仕事、法律家の権限によってつくりだされたものとしたこと、これらが私たちに大きな損害を与えたのです。これによって、典礼は人間に先立って神から与えられたものではなく、つくられたもの、人間の裁量の領域のうちにあるものであるという印象が出来上がってしまったのです。」(ベネディクト16世 ヨゼフ・ラツィンガー著 里野泰昭訳『新ローマ教皇 わが信仰の歩み』春秋社 p.163

*3:参照

*4:『ローマ・ミサ典礼書の総則(第3版、2002年)』397。

*5:『聖ベネディクトの戒律』第43章〔古田暁訳、すえもりブックス、2000年、176頁〕

*6:教皇ヨハネ・パウロ二世使徒的書簡『ヴィチェシムス・クイントゥス・アンヌス――典礼憲章発布25周年を記念して(1988年12月4日)』(Vicesimus quintus annus, 3: AAS 81 [1989], 899)。

*7:同(ibid.)。

*8:教皇聖ピオ十世自発教令『アプヒンク・ドゥオス・アンノス(1913年10月23日)』(Abhinc duos annos: AAS 5 [1913], 449-450)。教皇ヨハネ・パウロ二世使徒的書簡『ヴィチェシムス・クイントゥス・アンヌス――典礼憲章発布25周年を記念して』(Vicesimus quintus annus, 3: AAS 81 [1989], 899)参照。

*9:教皇ヨハネ・パウロ二世自発教令『エクレジア・デイ(1988年7月2日)』(Ecclesia Dei, 6: AAS 80 [1988], 1498)参照。