ピーター・ヒルズ首司祭(Fr. Peter Heers)。米国テキサス州ダラスの聖公会司祭の家庭に生まれる。1992年、両親及び父親の司牧する教区信徒の大部分が正教に改宗。ピーター氏自身は、聖公会を離れた後、カトリシズムに向かい、2年間、ローマ・カトリック教会で入門講座を受講しつつ道を模索。最終的に正教に改宗。ギリシャの国立テサロニケ大学神学部博士号(Ph.D.)。2014年、アトス山修道院にて首司祭に叙聖。2017年より、NYにある聖トリニティー正教神学院教授。Three Hierarchsアカデミー学長も務める。
書名
『第二バチカン公会議の教会論的革新:洗礼及び教会に関するローマのエキュメニカル神学に対する東方正教会批評(The Ecclesiological Renovation of Vatican II: An Orthodox Examination of Rome's Ecumenical Theology Regarding Baptism and the Church)』(2015年初版)
著書の目次
序:公会議の歴史的、神学的文脈(Introduction: The Historical and Theological Context of the Council)
第1部 バプテスマ及び教会に関するローマ・カトリック教義の歴史的発展の鍵となる諸側面
1.新しい教会論の基盤としてのバプテスマ
2.公会議以前の教義:サクラメント的ミニマリズムの表現
ーバプテスマの奉仕者:受洗者か非受洗者か、信者か異端者か
ーバプテスマの方法:浸礼、滴礼、灌水礼
3.サクラメント的ミニマリズムと豊満性
4.アウグスティヌスにおける深い根:連続性と非連続性
5.教会の「外」にいる者のバプテスマの重要性に関する、アクィナスのアウグスティヌスからの離脱
6.教会のメンバーシップの意味
7.コンガール、聖アウグスティヌス、新しい教会論の定式化
8.Mystici Corporisを回避する:公会議前夜のベア枢機卿による予備交渉
コンガール枢機卿(Yves Congar)
第2部 エキュメニズムに関する教令(Unitatis Redintegratio)におけるバプテスマと教会
教令の内容および目的
教令の背後にある司牧的功利主義
エキュメニカル運動に対する教令の重要性
9.『Unitatis』の中でのバプテスマ及び教会の一致
ー三つの認識
ー「要素 "Elements"」を通しての教会的一致
ー可視的、不可視的教会
10.『エキュメニズムに関する教令』のスピリットを識別する
11.コミュニオ:新しいエキュメニカル洞察及び指針的概念
ーキリストの御体の二重の一致及び、メンバーシップ
ー御体のメンバーシップの変移
ー二種類のバプテスマ
ー意図された一致及び意図されていない一致
ー豊満性におけるさまざまな段階での聖餐
12.豊満性、一致、教会のアイデンティティー
ーDominus Iesus:教会に関する完全認識は教皇とのコミュニオンを要求する
ー真正な神秘認定のための基準
ー神秘のキリスト、教義的真理のキリスト
ー教会はキリストの豊満性
ーアイデンティティーとして理解されるところの豊満性
ーバプテスマのアイデンティティー:ユーカリストの中における教会への加入
13.バプテスマ及び信仰の一致
14.リソースメント(Ressourcement;源泉回帰運動)か、それとも革新(Renovation)か?
第3部 要約と結論
正教批評の要約
結論:私たちの前に突き出されている神学的挑戦に対する正教側からの応答
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*比較資料*
米国正教会ジョン .コックス神父による本著への批判論文(2018年12月)
追記
コックス神父の批評論文の中で、アトス山聖パンデレイモン修道院で最近発見された文書群の事が取り扱われています。セオドア・ヤンクウ教授(国立テサロニケ大学)が同修道院蔵の聖ニコデモスとドロセオス・ヴリスマス間で取り交わされた書簡群(18世紀)を発見/研究しその英訳もすでに出されています。詳しくはコックス論文の注19をご参照ください。
Receiving converts in the Orthodox Church: A historical-analytical study of eighteenth century Greek canon law. by Heith-Stade, David.