「言論の自由」を脅かす、新しい「寛容」?!ーーアバディーンシャー高校での事例
「私は君の意見に賛成しない。しかし、君がそれを言う権利は命を賭けても守ろう。」ヴォルテール
「一人を除く全人類が同一の意見を持ち、ただ一人が反対の意見を抱いていると仮定しても、人類がその一人を沈黙させることは不当である。それは、仮にその一人が全人類を沈黙させ得る権力を持ち、それを実行することが不当であるのと同様である。」 J・S・ミル
「言論の自由は、凡庸なる一価値ではない。言論の自由というのは、西洋文明の土台そのものである。」ジョーダン・ピーターソン
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「この世には男性と女性という、二つのジェンダーしか存在しない」と意見を述べた高校生が教師によって退室を要求される事態が発生したという報道がなされ、物議を醸し出しています。*1
下のビデオを見ていただくと、スコットランド、アバディーンシャー高校の学生(17)が、性別というトピックに関し、教師(56)と議論している様子が映しだされています。(2019年6月20日)
教師は、ーー「僕は誰をも差別していない。ただ僕が言いたいのは、この世には男性と女性という二つのジェンダーしかないということです。それ以外のものは個人的識別(personal identification)だということです」と述べた生徒の見解がーー、「包括的でなく」、「学校当局政策(“national school authority policy”)」に一致していないと非難しています。
それに対し、生徒は、この主題に関する彼の個人的見解を公に述べることを妨害するという教師の行為もまた「包括的ではないと思う」と答えています。
また二つ以上のジェンダーが存在するという主張は「科学的ではない」という生徒の意見に対し、教師は「全ての政策が科学的であるわけではない」と切り返しています。
そして教師は、「この主題をこれ以上追及しないようにとの自戒の機会があなたに与えられたにも拘らず、あなたは尚も発言し続けた」という旨を述べた後、「君のその意見を自分の家の中だけにとどめておけないか?学校の中ではやめてほしい」と生徒に注意しています。
言論の自由の本質を考える上で、そして、新しい種類の「寛容」について、いろいろと考えさせられるクリップだと思います。
ー終わりー