森の深奥でのある晩。
鄙(ひな)びた僧院が天の川のごとく輝き、
単一の鐘の音が霞みの中をつき進み、
今や終わらんとしている日の軌跡を画いている。
祝祷の鐘の下、
真直ぐな高い松がじっとたたずみ、
聖人たちの古のイコンの前で
森の長老たちが永く立ち、ひた祈っている。
深森のやすけさという広漠とした海の中で、
隠修士たちは、
異世界の生を映し出すかたちのように、とどまる。
悲しみ、嘆き、苦痛の呻き、積年の反目、傷つけ合い、紛争なき世界ーー。
全てを後に。
苦悶の歳月。それらは皆やがて過ぎ去る。
涙。
地上に生きた足跡さえも。
そして太陽が再び、誰も見ることのできぬ神の園に
光を注ぐとき、
この森は変容する。
各々の樹木の芳香とともに、
無数の賛美の声が、
永遠の太陽である神の元に立ち昇っていくのだ。
- V. Utrenev, The Forest Monastics.translated from Russian by Kosara Gavrilovic.(私訳)