巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

カッパドキア教父たちと三位一体論

f:id:Kinuko:20201028224548j:plain

カッパドキア三教父

4世紀のキリスト教世界を混乱させたアリウス派論争の収拾に大きな役割を果たし、ニカイア信仰の確立に尽くしたギリシア教父たち。大バシレイオス、その弟ニッサのグレゴリオス、両者の友人ナジアンゾスのグレゴリオスの3人で、すべて小アジアのカッパドキアの出身のため「カッパドキア三星」ともよばれる。アリウスが提起した問題、すなわち父なる神と子なるキリストとの関係は、ニカイア公会議(325)で、両者が同一実体であるとしていちおうの解決をみたはずであったが、その後約半世紀にわたって激しい論争が続いた。そこで、ギリシア古典の教養を身につけ、キリスト教神学にギリシア哲学の方法を導入したカッパドキア三教父は、アリウス派論争の調停者の役割を果たし、381年のコンスタンティノープル公会議で、ニカイア公会議の決定を確認する形で論争を終結させた。かくしてキリスト教の教義の根幹をなす三位一体論が完成した。(出典

 

目次

  • 坂口ふみ著『〈個〉の誕生 キリスト教教理をつくった人びと』岩波書店、1996年(谷 隆一郎氏書評、中世思想研究39号)
  • バシレイオスのウーシア - ヒュポスタシス論(土橋茂樹氏、中世思想研究 (51), 25-41, 2009)
    • Ⅰ バシレイオスとエウノミオス
      • 1.ウーシアとヒュポスタシス
      • 2.二つのエピノイア論
    • Ⅱ ホモイウーシオス(相似本質)期のバシレイオス
    • Ⅲ 『聖霊論』における力動的ウーシア論への展開
      • 1.プロティノスの影響
      • 2.共に数えられる三位格
    • おわりに

 

続きを読む

共有された歴史の追憶と分裂の痛み、そして未来への希望――「宗教改革記念日」を前に

f:id:Kinuko:20201026230812j:plain

出典

 

目次

  • 思索メモ1
  • 思索メモ2
  • 思索メモ3
  • 思索メモ4
  • 思索メモ5
  • 思索メモ6
続きを読む

「大いなるしるし」(黙12:1)――乙女マリア、身体のよみがえり、グノーシス主義、男女のセクシュアリティー(by マシュー・ベーカー神父)

f:id:Kinuko:20201023191544j:plain

出典


Fr. Matthew Baker(♰2015), "A Great Sign" (Rev. 12:1): A Homily on the Dormition of the Theotokos, Aug.15, 2014(抄訳)生神女就寝祭の日に

 

また、大いなるしるしが天に現れた。ひとりの女が太陽を着て、足の下に月を踏み、その頭に十二の星の冠をかぶっていた。(黙示録12章1節)

 

続きを読む

穏やかな海を跳ねるイルカのごとく(by バトスのヘシュキオス)

f:id:Kinuko:20201023161755j:plain

さまざまな空想の妄から解き放たれた心は、それ自身の内に聖く神秘的な思念を生み出すようになるだろう。それはあたかも、穏やかなる海で、魚が跳ね上り、イルカたちがはね回るのを見るかのごとくある。

バトスのヘシュキオス*1

*1:シナイ・バトス修道院長のヘシュキオス、On Sobriety and Virtue, 156 フィロカリアⅠ, 165 拙訳

続きを読む

ロマニデス神学を再考する。〔その2〕(by セラフィム・ハミルトン)

f:id:Kinuko:20201021193346j:plain

 

  • 質問者のコメント
  • ハミルトン師の応答
    • アンチペルソナ主義(antipersonalism)――危険な教義
    • 聖グレゴリオス・パラマスと、ロマニデスの描き出す〈パラマス像〉のギャップに驚く
    • 東西の教父たちとギリシャ哲学
    • 「聖書」と「教父文書」の間の区別を実質上、破棄してしまっている。
    • 三位一体神のいのちと人間のペルソナの間には何らアナロジーがない?
    • 否定神学(apophatic theology)とは?
    • 永遠なる三位一体の関係は、人間間における諸関係の土台

 

続きを読む

正教に関し何を読んだらいいだろう。(by マシュー・ベーカー神父)

f:id:Kinuko:20201020180053j:plain

 

Fr. Matthew Baker (♰2015) on Reading Orthodox Material (拙訳)


現代神学者の中で一番無難なのはやはり、ゲオルギイ・フロロフスキイ(1893-1979)でしょう。正教界内に存在するあらゆるスペクトルにあって今日に至るまで、彼はどの陣営からも一目置かれ、尊敬されています。アトス山修道院群のある人々は彼のことを「教父(師父)」と呼んでおり、サハロフの聖ソフロニイ長老はかつて、自分の書いた草稿をフロロフスキイの元に送り、彼に判断を求めました。「教父たちの王道にとどまり続けるために、私はあなたを必要としているのです。」聖ソフロニイはフロロフスキイに言いました。

続きを読む