巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

ウィリアム・ポール・ヤング著『神の小屋』書評(ノーマン・L・ガイスラー&ビル・ローチ)

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Norman L. Geisler and Bill Roach, The Shack: Helpful or Heretical? A Critical Review (here) より一部抜粋

 

『神の小屋(The Shack)』は、現代文化に触れ、それを理解するという点では得るところがあるかもしれませんが、キリスト教真理への妥協は避けられません。この書は多くの方にとって心理学的には助けになるかもしれませんが、教理的には――それに触れる人は誰であれ――害を及ぼすものです。

 

そこには、神理解、三位一体論、キリストのご人格と御業、人間の本質、家族・結婚制についての理解、そして福音の本質についての誤謬が含まれています。その意味で、正統的なキリスト教教理の鍛錬を受けていない人にとり、この本は非常に危険な種類のものだといえます。

 

『神の小屋』は苦しんでいる人々のための良い知らせ(good news)を約束していますが、キリストの贖罪の真理に立った唯一の良い知らせ(the only Good News)については、これをむしばんでいます。

 

真に私たちを解放するのは、唯一の真理だけです。イエスは言われました。「あなたがたは真理を知り、真理はあなたがたを自由にします」(ヨハネ8:32)。偽りは一時的に人の感情をなだめ、良い気持ちにさせますが、それはその人が真理を発見するまでのことです。

 

本書は多くの重要なキリスト教教理に関し、問題を抱えています。それは人々の人生を変えること(transform)を約束していますが、神の御言葉の持つ根本的変化力(transforming power, ヘブル4:12)および信者たちの交わり(ヘブル10:25)に欠けています。詰まるところ、『神の小屋』は「巡礼者の前進(Pilgrim's Progress)」とはいえず、教理的な観点から言えば、むしろ「巡礼者の後退(Pilgrim's Regress)」と言わねばならないでしょう。

 

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