「大きくなったら、私はいずれ教皇になる」というプラカードを掲げ、女性叙階を要求する独カトリック女性団体「マリア2.0」のデモ(出典)
「女性解放の思想は、両性間に横たわる深い敵意、ならびに嫉妬やまねごとに基づいている。こうして女性たちは単なるパロディー、偽の人間存在になろうとしている。」ニコライ・ベルジャーエフ
今日、この番組の中でアレクサンダー・チュグエル氏*1(26)に直接ライブ質問することができました。私がウィーン在住キリスト者である彼に訊きたかったのは、エコ・フェミニズムや女神神学が具体的にどれくらいドイツ語圏司教会議の神学に影響を及ぼしているのかという点でした。
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すると彼は「はい。これらの神学やイデオロギーは現在、ドイツ語圏で非常に大きな問題になっています」と答えた上で、今年5月に女性司祭叙階を要求し1週間のストを起こした独カトリック女性団体「マリア2.0*2」のことに言及し次のように述べました。
「なぜこれらの運動がかくまで危険であるかご存知ですか?それは、彼女たちの女性司祭叙階要求にのみにあるのではなく、そのイデオロギーによって彼女たちが女性としての尊い召命(vocation)そのものを破壊しつつあるからなのです。」
女性としての召命そのものに対する破壊行為——。まさしくその通りだと思いました。例えば、子を産み育てるという母親業(motherhood)はこうした尊い召命の一つでしょう。聖アウグスティヌスを育てたのは母モニカであり、洗礼者ヨハネを育てたのは母エリザベツであり、幼いサムエルを育てたのは母ハンナであり、地上にお生まれになった救い主イエスを産み育てたのは聖母マリアでした。
母モニカ(出典)
しかし「マリア2.0」や類似の諸団体の人々にとって単なる母親業というのはたいして価値がありません。「教会ヒエラルキーの中で男性と同等の権威やポジションが得られてこそ私たちは女性として幸せになれる」というのが彼女たちの主張です。*3
Public Orthodoxy誌上で「ヴェール駆逐論」を説いている正教フェミニスト、キャサリーン・ケライディス女史は、同じ情熱を持って「専業主婦無用論」をも説いています。*4
彼女によると、家にとどまり子育てに専念している女性たちは、「共同体や国家というより広大な関心よりも、自分の家族という狭隘なる関心を選び取る」という「利己的で自己本位な選択」をしています。ゆえに、国家政府の計画が着実に運行するべく‟共同体”のニーズをより優先させることが重要であるという観点から、「専業主婦」というカテゴリーに入る女性たちは、社会善に貢献しない無益な存在であると彼女は結論づけています。
「○○のカテゴリーに入る人々は、社会善になんら貢献せず国家政府にとって無益な存在である」とする思想が20世紀、ガス室(ナチス・ドイツ)やクラーク殺し(ソビエト共産主義)といった集団虐殺を正当化させたことは未だ記憶に新しいです。
マルクシズムの階級闘争モデルを借用した、教会や家庭における「男 vs 女」という権力闘争図(<文化的マルキシズム、アイデンティティ・ポリティクス、キリスト教フェミニズム)は、超自然的起源をもつキリスト教会に本質的になじまない虚構概念だと思います*5。そして虚構の上に構築されたものは、しばらくの暴政の後、「砂」の上に建てられたその他の家と同様、いずれ破綻・崩壊してゆくことでしょう。
ー終わりー
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*1:japanesebiblewoman.hatenadiary.com
*2:
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Maria 2.0: Frauen in Sassenberg machen mit | Der Spökenkieker
Erfolgreicher Start für "Maria 2.0" - Radio RST
Katholische Kirche - Aufstand der Frauen - Politik - Süddeutsche.de
*3:「女性司祭」というのが仮に正しいあり方であったとすると、聖母マリア様以上に「女性司祭」に適役の人はいなかったはずです。しかし主なる神は、尊いマリアであってさえも「司祭」に叙階しませんでした。そこに私たちは神の深い智慧と御配慮をみるべきだと思います。
*4:
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*5:
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