夕暮れの海が黄昏(たそがれ)に別れを告げ、
打ち寄せる波が来たらんとする夜に向かい讃歌を奏で、
この世のものでない静けさが
地上の沈黙と溶け合っている。
あゝ誰かが暗闇の中で星々に灯を付け、
あたかも陸であるかのように波の上を歩いていた。
ーー目に見えず、聞かれず、空気のように幽玄。
うねる波が形なき御霊に耳を傾け、
深き花崗岩の断崖たちが一心に傾聴している。
夕暮れの海原。まるで祈禱を捧げているかのよう。
地から天を仰ぎ、神に欣求している。
そして無限なるその拡がりの中で、
かつて起こりし全ての事が
漆黒の沈黙の内に自身を顕している。
風、波、宵の絶崖ーー。
それらがまるで一つのうねりの中に融合し、
あらゆる地上的境界を超えた空間を深い眼差しでじっと見つめている。
時代を超越する計り知れない神秘が始まったその空間を。
そこにおいて主の衣は無数の星々で輝き、
神殿が、まばゆいばかりの星明かりの栄光の中で輝光している。
あゝ天と海。汝らは永遠(とこしえ)の歌を歌い、
波という波が音を立てつつ岸へと打ち寄せている。
V.N. Utrenev, Nightfall, Translated from Russian by Natalia Sheniloff(私訳)