巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

大斎(The Great Lent)ーーウラジーミル・パーリィの信仰詩

f:id:Kinuko:20190401020957p:plain

目次

 

大斎(The Great Lent)ーーウラジーミル・パーリィの信仰詩

 

暗く粛とした祭服、やわらかくいとも優しい歌声、

徹夜祭の赤い灯の煌々たる反映。

おお全能なる神!われに忍耐を与えたまえ。

わが内で天と地獄が熾烈なる戦いを繰り広げているのです。

 

かすかなる祈りの声、張り詰めた表情、、

朗々とした吊り香炉と淡碧色の烟、

おお全能なる神!われに汝の憐れみを与えたまえ。

香のごとく軽やかに汝の元に立ち昇ってゆけたらどんなにいいだろう。

  

しかしあゝ、教会を出るやまたも敗北するのだろうか。

汝に捧げた厳粛なる約束を破棄しつつーー。

主よ、永遠に続くかのように思われる闘いのただ中にあって

われを強め、罪過の重荷に喘ぐわが魂を清めたまえ。

 

棘ある試練に包囲される時、

果敢に語らんとする決意をわれに与えたまえ。

暗く粛とした祭服、たそがれの薄明、

黄にゆらめき、哀しみを湛えし蝋燭の焔。。

 

Prince Vladimir Paley*1, The Great Lent, translated from Russian by Natalia Sheniloff(拙訳)

 

♪ わが祈りが、御前への香として、私が手を上げることが、夕べのささげ物として立ち上りますように。【ビザンティン典礼、教会スラブ語】

 

 

詩篇141:1-4(LXX140)

私の祈りが、御前への香として、私が手を上げることが、夕べのささげ物として立ち上りますように。

主よ。私はあなたを呼び求めます。私のところに急いでください。私があなたに呼ばわるとき、私の声を聞いてください。

主よ。私の口に見張りを置き、私のくちびるの戸を守ってください。

私の心を悪いことに向けさせず、悪い行ないに携わらないようにしてください。

私の祈りが、御前への香として、私が手を上げることが、夕べのささげ物として立ち上りますように。

 

*1:

ウラジーミル・パヴロヴィチ・パーリィ公爵(Владимир Павлович Палей, Vladimir Pavlovich Paley, 1897 - 1918)は、帝政ロシア末期の詩人。1918年7月18日にアラパエフスク近郊で、コンスタンチン公、イーゴリ公、イオアン公らの皇族と共に銃殺刑に処せられ、遺体は廃坑に埋められた。後にパーリィらの遺体は掘り起こされて中国に送られ、北京の正教会墓地に埋葬されたが、文化大革命の時代に破壊された。(参照).