巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

虚無、メタノイア、絶望、そして希望(by シナイ山のヨアンネス、7世紀)

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シナイ山(6世紀シリア生まれのヨアンネス・クリマコスは、この山で祈りに専心していた。)出典

 

たしかに人間は自力により合一を成し遂げ、自らの主人となり、己のみに依拠しようと望んできた。しかしそれはルシファーのそれにも似た賭けであり、ついには我々を純然たる虚無主義へと落ち込ませる。

 

それゆえに、メタノイアーー精神および心、そしてリアリティーに関する捉え方全体における偉大なる転換ーーこそが希望の娘なのである。然り、それは絶望に対する否認である。

 

John Climacus (Ἰωάννης τῆς Κλίμακος), The Ladder of Divine Ascent, 5th step, 2 (Astir, Athens 1970 p.51) 拙訳

 

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ヨアンネス・クリマコス(AD 579 - 649)の生涯については多くは知られていない。579年以前に生まれ16歳頃から20歳頃まで、霊的指導者について修行した。師の死後40年間、ヨアンネスはシナイの修道院近郊で隠修者としての生活を送る。隠修者としての生活の後、彼はシナイ山の聖カタリナ修道院の修道院長に選ばれる。そしてこの修道院長であった期間に彼の主著『楽園の梯子』は書かれた。649年に同修道院で没した。彼の名はパレスチナとアラビアの全域に知られ、その後、東方キリスト教ヘシュカズムの発展に多大な影響を与えたことで知られている。

 

ヨアンネス・クリマコスは、正教会において、キリスト教的生活を教えた人物としてきわめて重視される。このため正教会では、固有の記憶日である3月30日(4月12日)に加え、大斎第4主日を「階梯者イオアンの主日」として、彼を記憶する。参照