巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

疎外者(The Outcast)

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出典

イエスはその人に言われた。
「きつねには穴があり、空の鳥には巣がある。
しかし、人の子にはまくらする所がない。」
マタイ8:20


この方のために荒野は歌わず、
荒涼たる地も喜ばなかった。

バラは砂漠の地に花咲かせず、
砂漠も歓声を上げなかった。


レバノンの栄光も、
アカシヤやギンバイカの芳香もそこになく、
主の旅される地、
御足を踏まれる場所は輝かしいものではなかった。

水の源もなく、
茫漠とした荒地を彼は歩いた。

けだるい砂漠の中で、神とふたりきり。
彼の相続地は 神のみにある。

砂漠の中に彼のために備えられた道はなく、
山も丘も低くされず、
曲がった処 真直ぐされず、
わるい道もならされない。

そしてその道を、巡礼者(He)は歩んでゆかねばならない。

ーーーーーー

おお御父よ、

汝のご慈愛は、砂漠を荒地でないようにすることには非ず、
このお方の歩まれた足跡をわれわれが見失わないよう
私たちの足もとを守ってくださることにあります。

汝のご慈愛はバラが花を咲かせることや、
わがためにモミやシダの木陰が備えられることにはなく、、
われわれが黄金の通りをゆきめぐりつつ、
上よりの光の内に歩むことにあります。

そこでわれわれは、大いなる喜びのうちに、主の御蔭に憩い、
主の愛の果実を食します。


永遠のいのちの流れる、緑の牧場。
神のパラダイスの中にみいだす
深い深い安らぎ。

ああ汝は、われわれの放浪する荒野で
砂漠の歌をお与えになることを望まず、むしろ、
光輝く詩篇をわれわれの口に授け、
御父の家で歌うことを望まれます。

ーーーーー


今はまだ、疎外者の名を負い、
わびしい地を歩いている。

きつねには穴が、空の鳥には巣が、
そしてわが主には恥辱の十字架が。

しかしわれわれは喜びの内に
目がまだ一度も見たことのない地に宿っている。

下に横たわる 乾き、しなびた荒地。
しかし、かの地には緑の大地がひろがっている。

そしてそこにおいて、
彼(He)はもはや疎外者ではない。
そう、彼は万民の慕う小羊であられるのだ。

ああ、われらの喜びと賛美の場 其処に有り。
今よりとこしえまでも!


F.M., The Outcast, in Hymns of Tersteegen, Suso, and Others
(私訳)