風鈴(出典)
頑丈だと思っていた要塞やダムがーー神学的ダムがーー過去のある時点で崩れはじめた。内部崩壊。あっけないほど悲しいほど簡単にいろいろなものが流されていく。かつて何を基にあれほどの自信と「確信」を持てていたのだろう。
ああ、無知よりくる自らの高慢の醜さ、愚かしさ、狭さ、欺瞞さに圧倒され、顔を上げることもできない。自己十全性と認識における極端なオプティミズム。そぼくなる過信。しかしそれらは幻影であった。
人の条件性は「十字架」によって ‟克服されるべき” なにものかではなく、それはむしろ、人一個の貧しさが認識/自覚されることによって人が神の民の共同体にrelateし、依拠している事実をやさしく告げ知らせる鈴音なのではないだろうか。