巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

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聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その⑬ 拡大された意味領域を、根拠なく採用する(by D・A・カーソン)

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積み荷しすぎて苦しいよぉ~。

 

D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳)

 

本ケースにおける誤謬の原因は、ある特定の文脈における単語の意味が、文脈それ自体の許容範囲よりもずっと広いと思い込み、また、おそらくはそれに付随して、語の全意味領域ももたらされると思い込むその前提に在ります。

  

この手順は時として、《非正統的な全体移動(illegitimate totality transfer)》と呼ばれています。

 

私は同義性をめぐる問題を取り扱った〔その⑨〕の項で、この危険性に関する具体例を一つ挙げました。シルヴァはさらに多くの事例を挙げており*1、その中の一例をここに引用したいと思います。

 

 「使徒7:38に関してですが、使徒の用いているἐκκλησία〔‟教会”〕という語に、全ての意味を過重積み荷するのは明らかに妥当ではありません。そういった意味の中の幾つかは(例:いわゆる普遍的教会に対する言及)、実際、この節においては相反しています。

 

 しかし、説教の中などで、この単語の広域な諸意味について手軽に解説を加える人は多く、それによって、所与聖句の中におけるこの語の特定機能が不明瞭にされてしまう危険性があります。」*2

*1:Silva, Biblical Words and Their Meaning, 25-27.

*2:同著、p.25-26.