巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

イエスさまだけ(リジューのテレーズの信仰詩)

ある初心の姉妹のために

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おお、私の心はどんなにかあなたを祝福し、

あなたに対して抱いている やさしい思いを表現したいことでしょう!

 

でも、いったいどの心が、私自身の心を理解してくれるのかしら?

どの心が、いつも、そして最後まで変わらず私を愛してくれるのかしら?

 

すべて――ええ、これまでそんな愛の応答を求め続けてきましたが、すべては徒労に終わりました。

イエスさまだけが、私の魂を満足させてくださることができます。

 

ええ、下にあるもので、それ以外に私を満足させ、魅了するものはなにもありません。

造られたものは、何ひとつとして永続する喜びを与えることはできません。

 

私の平安、喜び、愛、おおキリスト!

汝のみ!汝にあって、私は満ち足りています。

 

おお私の唯一の愛、イエス。もっとも神聖なるみことばであるお方!

瞬間瞬間、汝はわが道を守り、導いてくださいます。

あなたを呼びます――そうすると、すぐに私は汝を傍らに見いだします。

 

そして、時々、汝が御顔をお隠しになる時でも、

汝ご自身が来てくださり、私が汝を探し求めるよう助けてくださいます。

 

汝、そうです、汝だけを私は選びます。なぜなら、私は汝の花嫁だからです。

御胸に抱かれんと、私は汝の元に急ぎます。そこにかくまっていただくためです。

 

ちいさな子どもたちが愛するように、私も汝を愛します。

そして、勇猛な戦士のように、汝のために、私はわが愛を証します。

 

ああ、喜びと歓声にあふれ子どもたちに向かうように、

主よ、今私は、汝のもとにまいります。汝に対するわが愛を携えて。

 

そして同時に、大胆な戦士のように、

闘志に燃え、私はまっしぐらに戦場に突進します。

――祝福された召命の内にあって。

 

汝のこころは、私たちの純潔の守護者です。

それは一度たりとも、私の信頼を破ったことはありません。

 

愛しい主!私の希望はことごとく、汝の内に置かれています!

長い長い捕囚の後に、ついに汝の御顔を恍惚と見つめます。

雲が空を覆っています。しかし天国で必ず見るのです。

 

私のイエス!汝を仰ぎ見ようと頭を上げます。

いともやさしい汝の眼の中に、次のおことばを私はみます。

「おお子よ!お前のために光輝く御国をつくった」と。

 

ええ、主よ、よく知っております。――燃えるような涙と嘆息が、

慈悲ぶかき汝の目に愛しく映っていることを。

 

天にある神聖なる汝の庭には、力強いセラフがいます。

にもかかわらず、汝はこんなに貧しい私の心を求めてくださるのですか?

 

ああ、私の心を受け取ってください、イエス!私の心はただ汝だけのものです。

すべての願いを汝の元に差し出します、最愛のイエス!

 

そして、愛してやまないすべての友だちを、

これからはもう愛しません――汝ので愛する以外は!

 

1896年8月15日

Thérèse of Lisieux , Jesus Only(私訳)

 

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「おお主よ、私の巡礼路にあって、汝だけがわが歌の唯一の対象です。」