巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

聖書ギリシャ語/聖書ヘブライ語

言語学者たちの語彙的誤謬について(by ダニエル・B・ウォーレス、ダラス神学校 新約学)

ソシュールは,言語変化を研究する「通時的な(diachrony)」言語学と,ある時点における言語の状態を研究する「共時的な(synchrony)」言語学を峻別することを主張した.ソシュールによれば,この2つの観点はまったく相容れず,完全に対立するものである.…

言語における慣習性(conventionality)ーー「ヘブライ的思考 vs ギリシャ的思考」という教説の問題点について(by アンソニー・ティーセルトン)

トーレイフ・ボーマン著『ヘブライ人とギリシヤ人の思惟』(新教出版社)(原題:Hebrew Thought Compared with Greek) ヘブライ語の歴史ーー「抽象」と「具体」(ジェフ・A・べンナー氏の教説) Anthony Thiselton, 'Semantics and New Testament Interpre…

2テサロニケ2:3は、「教会の携挙」のことを言及しているのでしょうか?ーー「アポスタシア」の意味解釈について(by ゲイリー・ショーグレン、ウィリアム・W・カムズ)

〔某教会HP 終末論-携挙編-より一部抜粋〕 背教?!それとも・・・。聖書における翻訳的な根拠 更に、『背教』と訳された原語「へ(ή)・アポスタシア(άποστασία)」をどう訳すかというのも大きな問題です。Ⅱテサロニケ2:3には、『 だれにも、どのようにも…

過度の単純化/還元主義/誤前提から生み出される解釈的弊害を避けるために①ーー「ヘブライ的思考」「ギリシャ的思考」に関する考察(ミラード・エリクソン『キリスト教神学』)

「ヘブライ的思考 vs ギリシャ的思考」ーー代表的な「ヘブル的ルーツ運動」の団体119Ministriesの教えより Millard J. Erickson, Christian Theology, Part 5. Humanity, sec. 23. The Constitutional Nature of the Humanより(抄訳) 非常に重要かつ影響力…

ただ恵みによってーー「ヘブル的ルーツ運動」:ある脱会者の心の軌跡

恵みとは、、何だろう(出典) 目次 はじめに パート1 ことの始まり はじめてのメシアニック・シャバット 礼拝の美しさ、神に対する畏敬 「ヤハウェ」と「イェシュア」 シッドゥールを用いた祈り パート2 より深く入っていく 「新契約」ではない「更新され…

新約聖書の中における意味変化について(by モイセス・シルヴァ、ゴードン・コーンウェル神学大)

目次 意味的保守主義による変化 意味刷新による変化 ①省略(Ellipsis) ②メトニミー(換喩・転喩, metonymy) ③メタファー(隠喩, metaphor)

聖書ヘブライ語について(by ウィリアム・バリック)

目次 ヘブライ語の性質と歴史 1.セム語族(アフロ・アジア語族)の言語について 2.セム語族の語派 3.セム語族(アフロ・アジア語族)の図表 4.その他のポイント ヘブライ語発音の分類 5.ラビ文学 ミドラーシュ タルムード

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その⑮ 言語資料の際立った特徴点を、根拠なく軽視する(by D・A・カーソン)

D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) "to justify"(義とする)という意味で、パウロがδικαιόωを用いており、"justification"(義認)という意味でしばしば δικαιοσύνηを用いているという理由で、多くの学…

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その⑭ ギリシャ語新約聖書のセム語的背景に関する諸問題(by D・A・カーソン)

使徒パウロ D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) この表題の下には、おそらく一グループとして括ることのできる、数多くの困難な問題および、それに付随する数々の誤謬が潜んでいます。

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その⑫ 意味領域に対する根拠なき制限(by D・A・カーソン)

広域的ひろがり・・・ D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) 小見出し 単語のトータルな意味領域の広さ boardの事例 広大な意味領域をもつεἰμί "This is my body" ヨハネ1:1「ことばは神であった」

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その⑨ シノニム(同義語)と成分分析に関する諸問題(by D・A・カーソン)

D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) 小見出し 同義性(synonymy)と等価性(equivalence)の区別がなされていない なぜこれが問題となるのか? なぜシノニム(同義語)の扱いがこれほど難しいのか 意味的…

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その⑤ 背景資料への不注意な依拠(by D・A・カーソン)

ὕδωρ D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) 小見出し ヨハネ3:5のὓδατος καίについてーー私の過去の誤解釈 マタイ5:1の「山;ὄρος」とルカ6:17の「平らな所;πεδινός」 過去の失敗からの教訓

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その④ 未知の、もしくはありそうもない意味に訴える(by D・A・カーソン)

Θέλω δὲ ὑμᾶς εἰδέναι ὅτι παντὸς ἀνδρὸς ἡ κεφαλὴ ὁ Χριστός ἐστιν, κεφαλὴ δὲ γυναικὸς ὁ ἀνήρ, κεφαλὴ δὲ τοῦ Χριστοῦ ὁ Θεός. (1コリント11:3) D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) 小見出し Κε…

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その③ 意味の廃用(by D・A・カーソン)

D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) 小見出し 意味の廃用(Semantic obsolescence)とは? μάρτυς の意味の変遷 Κεφαλή(ケファレー)=源??

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その② 意味のアナクロニズム(by D・A・カーソン)

οὐ γὰρ ἐπαισχύνομαι τὸ εὐαγγέλιον· δύναμις γὰρ Θεοῦ ἐστιν εἰς σωτηρίαν παντὶ τῷ πιστεύοντι...(ローマ1:16a) D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) 小見出し 意味のアナクロニズムとは? 神のδύναμ…

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:その① 語根にかかわる誤謬(by D・A・カーソン)

小見出し はじめに 1.語根にかかわる誤謬(The root fallacy) ὑπηρέτης(しもべ)の基本的意味は、「船やボートを漕ぐ人」?? ἀπόστολος(使徒) μονογενής ἀγαπάωとφιλέω 3つの但し書き

聖書のワード・スタディーをする際に注意すべき事:【目次】と【プロローグ】(by D・A・カーソン)

D・A・カーソン、トリニティー神学校、新約学 D.A.Carson, Exegetical Fallacies, Chapter 1. Word-Study Fallacies, p.25-66(拙訳) 目次 プロローグ 釈義的誤謬の蔓延 批判的釈義(critical exegesis)の大切さ よく「聞く」 なぜ私たちの間にこれほどま…

バイリンガリズムと新約聖書ギリシャ語の特徴(by モイセス・シルヴァ)〔英文〕

モイセス・シルヴァ。1945年生まれ。ウェストミンスター神学校(1981-1996)、ゴードン・コーンウェル神学校(1996-2000)で聖書学を教鞭。NASB(新米国標準訳聖書)およびESV(英語標準訳聖書)の翻訳委員。 Moisés Silva, "B…

新約聖書の言語(by ダニエル・B・ウォーレス)

目次 はじめに ギリシャ語の諸段階〔通時的〕 1.ホメロス以前(BC1000まで) 2.諸方言の時代、ないしは古典期時代(BC1000~BC330) 3.コイネー・ギリシャ語(BC330-AD330) 4.ビザンティン(もしくは中世)ギリシャ語(AD330…