巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

驚くばかりの恵みなりき――「恵み」再発見の旅

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昨日の説教箇所は第二コリント12章の「わたしの恵みはあなたに十分である」という箇所でした。私の通っている修道会所属のギリシア正教会では、説教は領聖(聖体拝領、聖餐)の直前になされます。

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和解の小さな一歩――「宗教改革記念日」を前に

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「あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。 互いに愛し合うならば、それによってあなたがたがわたしの弟子であることを、皆が知るようになる。」

ヨハネによる福音書 13:34-35 新共同訳

 

目次

  • 「昨年の宗教改革記念日以来この一年間、カトリックとプロテスタントの間の和解をもたらすべく、私は具体的に何をしてきただろうか?」 
  • 宗教改革がもたらした良い実、良くない実(by キャメロン君とバロン司教)
  • 「プロテスタントとカトリックの友人は互いにどのように対話してゆくことができるのだろう?」(by キャメロン君とバロン司教)
  • 和解の小さな一歩
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東西の伝統派信者たちが取り組む必要のある諸課題(その2)

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目次

  • 東方での課題
  • 西方での課題
  • 両者が共に闘わなければならない最大の敵
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キリスト教会の〈普遍性〉へのたましいの欣求――「西方典礼正教(Western Orthodoxy)」「東方典礼カトリック」「聖公会継続派」

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「キリスト教礼拝の歴史に通じている人なら誰であれ、西方典礼伝統の豊かさを否定することはできないだろう。特に、旧く敬虔なローマ典礼の豊かさを。」アレクサンダー・シュメーマン神父、東方正教会

*写真は「西方奉神礼教会/ 西方典礼正教(Western Rite Orthodoxy)」(出典

 

↑「西方典礼正教(Western Orthodoxy)」ラテン語と英語による奉神礼/ミサ

 

洗礼準備生としてカトリック教会にいた時、私は東方典礼カトリック教会(Eastern-rite Catholic)に所属していました。カトリック教会内でもかなり微妙な立場にあり内外からの批判も多いこの「東方典礼カトリシズム」ですが、私個人がそこで感じたのは、教義的ジレンマの存在、そしてそれにもかかわらず(いや、それだからこそ一層強く)教会分裂の痛みとその癒しを求めてやまない聖霊の呻きでした。

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「最近チャペル・ベールの着用始めました!」(モリア姉妹の喜びの証)

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Women Who Wear Veils by Lily: Moriah, Veils by Lily, 2014(拙訳)

 

ベール実践を始めてかれこれ一カ月になりますが、この決心が自分の霊的旅路にもたらしている驚くべき恵みについてどういう風にご説明したらよいのか分かりません。神学的理由から私はベールを始めたのですが、主のご臨在の中で感じる平安、主との近さ、聖霊の力などを体験し、「ああ、ベール実践を始めて本当によかった」と感謝しています。

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東方キリスト教世界のベール理解と男女観――イコン神学の観点から――(by パトリック修道士)

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Monk Patrick, Head Coverings, Energetic Procession, 2012 (拙訳)

 

聖パウロによると、男性および女性はそれぞれイコン的機能(iconic function)を帯びています。すなわち、男は神の似姿であり神の栄光の現われであり、女は男の栄光の現われであるということです(1コリント11章7節)。こういったイコン的機能は両性の役割のあり方において、その表れにおいて、そして両者間の関係性の中において見受けられます。

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私たちの隣人(by マリア・コルナルー)【友情寄稿】

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執筆者:マリア・コルナルー。学生コラムニスト。ギリシャ共産党員の家庭に生まれ、無神論者として育つ。大学2年の時、キリスト教(ギリシャ正教)に回心。エスティア新聞やエンディモ学術誌、Ἑνωμένης Ρωμηοσύνηςサイトなどに政治、宗教、哲学関係のエッセーや論文を多数投稿。政治哲学において独自の保守主義を展開し、共産主義や新自由主義を批判した英国の思想家ロジャー・スクルートンに関する研究を進める一方、ギリシャ正教会内の保守vsプログレッシブ対立構造分析および法制研究に取り組んでいる。アテネ在住。

 

「人がひとりでいるのは良くない」(創世記2:18)。アダムを創造し、エデンの園に置かれた後、神は彼に仰せられました。こうしてアダムの生涯の連れとなるエバが造られたわけですが、「人は孤絶ではなく共生の被造物である」という神の御心はなにも男と女の関係だけに限られたものではありません。

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