おおすべてを超越しておられる汝よ、
他のいかなる名でお呼びできるというのでしょう。
いかなる讃歌でもって汝のことを謳うことができるというのでしょう。
どんな名も汝を表現することはできません。
汝を把握できる人知が果たしてあるでしょうか。
どんな知性も汝を解することはできません。
汝は言語を絶する御方であり、
およそ語られ得るものはすべて汝の元より来ます。
汝は人知を超越しておられ、
およそ思考され得るものはすべて汝の元より来ます。
あらゆる被造物は汝を讃えています。
言に長けている者もそうでない者も。
あらゆる被造物は汝の前に跪いています。
思考に長けている者もそうでない者も。
全世界の切なる求め、被造物のうめきは、汝に向かっています。
生きとし生けるものは汝に祈っており、
汝の宇宙を読み取ることのできる被造物は沈黙の賛歌を
汝に贈っています。
汝の内にのみすべてのものは宿っています。
ほんの一動によりすべてのものは汝の内に自らの目的地を見出します。
汝はあらゆる被造物の目的です。
汝は無比なる御方です。
汝は各々のものであられ、また如何なるものでもありません。
汝は単独の被造物ではなく、被造物を合わせた総計でもありません。
すべての名は汝のものです。おお汝のことを何とお呼びしたらよいのでしょう。
唯一命名され得ぬ御方のことを。
憐れみたまえ、すべてを凌駕されておられる汝よ。
おお他のいかなる名でお呼びできるというのでしょう。
ナジアンゾスの聖グレゴリオス(神学者グリゴリイ)St Gregory Nazianzen, Dogmatic Poems, (PG 37, 507-8) 拙訳