巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

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ビガーノ大司教、「マキャリックに関する最近の教皇の否認発言は嘘」と告発。(by ダイアン・モンターニャ記者)

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目次

  

EXCLUSIVE: Abp Viganò says Pope is lying in latest denial about McCarrick, May 28, 2019(全訳)

 

「私は何も知らなかった、、、何にも、何にも。」

 

2019年5月28日、ローマ(LifeSiteNews)ーー。

おそらく初めて、教皇フランシスコは公に、自分は元枢機卿セオドア・マキャリックの背徳的諸行為に関し何も知らなかったと発言しました。そしてこの否認発言は、カルロ・マリア・ビガーノ大司教の証言内容とダイレクトに矛盾しています。

 

「私は何も知らなかった、、、何にも、何にも。」教皇フランシスコは、火曜日にバチカン・ニュースにて公表された新しいインタビューの中で言いました。

 

それに応答する形で、元米国駐米大使ビガーノ大司教は、「教皇フランシスコは嘘を言っている」と真っ向から教皇を非難しています。

 

インタビュー公表後、ビガーノ大司教はLifeSite紙へのコメントの中で次のように述べています。「『私は何も知らなかった』という教皇の発言は嘘です。、、教皇は、私がマキャリックに関して申し上げた事を覚えていないふりをしておられます。そして、そもそもマキャリックのことを訊いてきたのは〔私ではなく〕教皇自身であったのに、そうではなかったかのようなふりをしておられます。」

 

両インタビューは、教皇フランシスコ、バチカン国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿、〔当時〕枢機卿セオドア・マキャリック三者の間の漏えい書簡の公開と時を同じくしており、この漏えい書簡は、

①2008年にバチカン教皇庁によりマキャリックに諸制裁処置が下されていたこと、

②にも拘らず、元枢機卿マキャリック(性的虐待罪のかどですでに還俗処分)が教皇フランシスコ体制下、広範囲に外遊し、

③さらには、共産主義中国との間で結ばれ物議を醸し出している暫定合意の確立に当たり、マキャリックがキーパーソンとして外交的役割を果たしていたこと、

ーーこれらの点を裏付けています。

 

新しいインタビュー

 

5月28日になされたメキシコ人ジャーナリスト、ヴァレンティナ・アラズラキー氏とのインタビューの中で、教皇フランシスコは、自分がなぜこれまで一度も、ビガーノ大司教の原証言を公然と否定してこなかったのかについて説明を試みています。

 

読者の方々は覚えておられるかと思いますが、教皇フランシスコがダブリンでの世界家族大会に参加しておられた昨年8月25日に、元駐米大使ビガーノ大司教の証言が公に出されました。その翌日、ローマに戻る飛行機内での報道記者会見の席上で、教皇は、自分が元枢機卿セオドア・マキャリックの性的虐待の事実を知っていたという衝撃的申し立てに対する問いを回避しました。

 

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出典

 

「あなたがた〔報道記者〕は、自分自身で〔ビガーノ大司教の〕言明を注意深く読み、それぞれ各自判断してください。この件に関し私は一切何も言わないつもりです。」と教皇は、機内にいたジャーナリストたちに語りました。(その時のビデオはココです。)

 

↑2018年8月25日、機内での報道記者会見の様子

 

「あなたがたは皆、結論を導き出すに当たっての十分なジャーナリスト的能力を持っています。」教皇は言われました。

 

「これは信頼の行為です」と聖下は付け加えました。「少し時間が経てば、あなたがたは諸結論を導き出すでしょう。私はそれに関し何かを語るかもしれませんが、私としては、あなたがた〔ジャーナリスト〕が、この仕事をやる上での専門的成熟性を望んでいます。そうすれば全てが良い方向に行くでしょう。」

 

今日のインタビューの中で、ヨハネ・パウロ二世の永年の友でもあったアラズラキー氏は教皇フランシスコに向かい、腹蔵なく率直に言っています。

 

「あなたのその沈黙は非常に重ぐるしく厄介なものです。なぜなら、報道記者たちにしても多くの一般の方々にとっても、この状態は、言ってみれば、だんまりを決め込んでいる夫とそれを脇でみている妻という感じがしませんか?妻は夫を捕まえますが、夫はあなたに何も答えません。それであなたはこう言うでしょう。『何かが腐っている』と。」

 

「ですから、なぜあなたは沈黙しているのですか?」アラズラキー氏は単刀直入に教皇フランシスコに訊ねました。「機内であなたに質問した問いに対し回答する時がすでに来ています。」

 

「そうです。」教皇フランシスコは答えました。「ローマ法を勉強した人々は、『沈黙が語りの一方法である』と言うことでしょう。」

 

教皇は続けます。

「ビガーノの件ですが、私を文書を見ました。書簡全部は読みませんでした。少し読みましたが、内容が何であるかはすでに知っていました。そして私は選択したのです。つまり、私はジャーナリストたちの正直さに信頼し、彼らに言ったのです。『ほら、ここに資料は全部そろっています。これらをよく読み、各自結論を導き出してください。』そしてあなたがたはそれを見事にやってくれました。その時は言うことを慎重に差し控えましたが、それから3、4カ月後、彼が起訴された時、ミラノの判事がそれらに言及しました。」

 

「彼〔=ビガーノ大司教〕の家族のことを言っておられるのですね?」アラズラキー氏が訊ねました。

 

「勿論そうです。」教皇は答えました。「私はあえてそれに言及しないでいたのです。なぜ事態をより悪化させる必要があるでしょう?ジャーナリストたちが真相を究明してくれるでしょうから。そしてあなたがたはそれを解明しました。これはあなたがたに対する信頼の沈黙だったのです。そして結果は良いものでした。仮に私が自己弁護のために説明を始めていたら、これほど良い結果は得られなかったでしょう。」

 

ここで教皇フランシスコが暗示しようとしているのは、ーーミラノの法廷で解決した彼の兄との法的衝突ゆえーービガーノ大司教が信頼性に欠ける人物であることが明らかになったという旨の内容です。

 

ビガーノ大司教はLifeSite紙へのコメントの中で、家族遺産の管理をめぐって実の兄との間でいざこざが起ったことを説明しています。そうした上で、彼の証言の信頼性に疑問を投げかけようとの教皇の試みを却下し、教皇が取りざたしているのは、「枢機卿マキャリックに関する申し立てとは何の関連性もありません」と言っています。

 

「教皇フランシスコが、ミラノ判決や私の家族に関しおっしゃったことは、今ここで争点になっていることとは全く無関係なことです。なぜならミラノの件は完全に解決済だからです。これは兄弟間の相続の分与に関することに過ぎません。私は平和をもたらすべくそれを受諾しました。私も兄も判決内容に関し上訴しませんでしたから、万事は解決したわけです。マキャリックとは一切関係のないことです。ミラノの件にしてもそうですが、これらは、彼らが私の証言の信用性を破壊すべくこれまで持ち出してきた数多くのストーリーの一つに過ぎません。」

 

これらの手続きに関するビガーノ大司教の答弁は、LifeSite紙によって証明されています。(報告書に関してはココを参照。)

 

2018年10月、バチカンは、バチカン書庫に保管されているマキャリックに関するすべての関連諸文書の「徹底調査」を敢行すると発表しました。しかしながらここで不可解なのは、なぜ教皇フランシスコは、自身が枢機卿マキャリックの悪行について知っているか否かについて答えるべく、保管資料の調査を要求する必要がそもそもあったのか、ということです。

 

LifeSite紙へのコメントの中で、ビガーノ大司教は次のように記しています。

 

「ダブリンからの帰りの飛行機の中で、教皇はジャーナリストたちに言われました。『私はあなたがたの専門性に信頼を置きます』と。そして彼は諸文書を提供すると約束したのですが、今に至るまでそれらの諸文書は提供されていません。調査対象となる諸文書を提供せず、一体全体どうしてジャーナリストたちは真理を突き止めることができるのでしょうか?そんなことは不可能です。バチカンが徹底調査を約束してからどれくらいの時がすでに経過したことでしょう。すべては矛盾です。教皇は完全に矛盾したことを言っておられます。」

 

「教皇は、私がマキャリックに関して申し上げた内容を覚えていないふりをしておられます。」ビガーノ大司教は言います。「教皇は、自分自身が真っ先にマキャリックについて私に質問してきたことに関し、あたかもそうでないかのように装っています。そして私が彼に申しあげたことを覚えていないかのようなふりをしておられます。」

 

さらに教皇は、インタビュー時、ーー元駐米大使ビガーノ大司教をイスカリオテのユダになぞらえる文脈の中でーー、自分に関する不利な諸主張をすべくビガーノ大司教がわいろを受け取っていたという申し立てがあるということさえ主張しました。

 

教皇フランシスコに迫る

 

5月28日のインタビューで、アラズラキー氏は、教皇が元枢機卿セオドア・マキャリックの悪行について知っていたのか、それとも知らなかったのかと、さらに追及しています。

 

「私はマキャリックの件に関し何も知らなかった、、、本当に何にも、何にも。」教皇は言いました。「これまでも何度か言ってきましたが、私は知らなかったのです。全く思いもよりませんでした。」

 

ここで教皇は、マキャリックの背徳的諸行為に関し、その事実を知らなかったとこれまで数回に渡り言明してきたと言及しておられますが、その部分が不明瞭です。というのも、一連のスキャンダルにおいて、教皇がこれまでどうにかこうにかコメントを避けようとしてきたことは、とりわけ顕著なる要素だったからです。

 

教皇フランシスコは続けて次のように言っておられます。「〔ビガーノ大司教が〕あの日〔2013年6月23日〕に自分に話しかけてきて、彼がやって来たということに関してですが、、、それに関し彼が私に言ったのかどうか私は覚えていないのです。本当に!でも、私がマキャリックの事に関し全く何も知らなかったということはあなたもご存知でしょう。そうじゃなかったら、沈黙などしていなかったはずです。そうですよね?」*1

 

ビガーノ大司教は教皇のこの発言に関し、次のように述べています。「教皇は、私が彼に申しあげた内容を覚えていないと主張することによって、利口であろうとしています。ですが、マキャリックに関し私に訊いてきたのは他ならぬ教皇自身だったのです。」

 

インタビューの中で教皇は、自分の沈黙には二重の理由があったと言っておられます。「まず第一番目に」と彼はアラズラキー氏に言います。「なぜなら、証拠がそこにあり、あなたがたはそれを判断します。それは本当に信頼の行為でした。」

 

「二番目に」と彼は続けます。「〔イエスの模範に倣い〕、敵意の満ちる瞬間には、語らない方が良いからです。語ることで事態は一層悪くなります。全てはあなたに敵対してきます。主は沈黙するという道を教えてくださり、私はそれに倣っています。」

 

漏えいした書簡

 

ビガーノ大司教に関する教皇フランシスコのコメントは、火曜日にリリースされた、枢機卿セオドア・マキャリック、教皇フランシスコ、バチカン国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿の間の書簡と時を同じくしています。

 

セオドア・マキャリックの元側近であるモンシニョール・アンソニー・フィゲイレド(Anthony Figueiredo)によって入手された書簡文は、2008年にバチカン教皇庁によりマキャリックに諸制裁処置が下されていたこと、にも拘らず、性的虐待罪のかどですでに還俗処分にされている元枢機卿マキャリックが教皇フランシスコ体制下、広範囲に外遊し、中国との間で結ばれ物議を醸し出している暫定合意の確立に当たり、キーパーソンとしての外交的役割を果たしていたことを裏付けています。

 

Signal summit on sex abuse opens at Vatican

Vatican Whistleblower: McCarrick Served as Envoy for Vatican/China Deal

 

この書簡文に関し、今日、ビガーノ大司教はLifeSite紙に、「書簡は歌っている」と述べ、次のように言っています。

 

「モンシニョール・フィゲイレドは、マキャリックがローマに来た時、彼の個人的秘書をしていました。フィゲイレドは、マキャリックがパロリンおよび教皇に宛てたこれらの書簡を公表しましたが、その中で、マキャリックは自分の中国行き、イラン行き、その他の場所への外遊に関し報告をしています。ですから、彼らは皆、事情通だったわけです。」

 

ビガーノ大司教はまた、マキャリックが複数の神学生たちとベッドを共にしていたという事実に関しバチカンは情報を得ていたということをこれらの書簡文は裏付けていると述べ、次のように言っています。

 

「マキャリックはそれを認めていました。彼は教皇と共に、自らを弁護すべく、‟自分は誰とも性的関係を持ったことはない。ただ神学生たちや司祭たちと同じベッドの中に寝ていただけだ”と述べています。」

 

Featured Image

Laymen launch website mapping McCarrick’s network in U.S. Catholic Church | News | LifeSite

 

ビガーノ大司教は次のように説明しています。

 

「これは、教理省の裁定の前でマキャリックが言った事と同じ内容です。マキャリックを還俗処分にする判決は、複数の成人、未成年者たちに対する彼の性的虐待行為、および告解の秘跡における乱用行為を理由になされました。そうなると、教理省の判決が見当違いなものだったか、あるいは、ここでマキャリックが言っていることーーつまり、自分は誰とも性的関係を持ったことがないという言い分ーーが嘘であるか、そのどちらかです。--それはちょうど、教皇の‟これらの件に関し自分は何も知らなかった”という発言内容が嘘であり、私が彼に申しあげた事を彼が覚えていないと言っていることが嘘であるのと同様です。私に訊いてきたのは他ならぬ教皇自身だったのですから。」

 

またビガーノ大司教は、一連の書簡文から、パロリン枢機卿がマキャリックの件に関与・共謀していたことが確認されており、パロリンに対する捜査取り調べがなされなければならないと述べています。

 

パロリン枢機卿(Cardinal Parolin: The Next Pope? - OnePeterFive

 

「2014年5月に書いた第一回目の証言の中で述べたように、ーーマキャリックの中央アフリカへの外遊に関する記事がワシントン・タイムズ紙に出た時ーー私はパロリン枢機卿に書簡を出し、彼に問い合わせました。『マキャリックに対する制裁処置は今も有効なのか否か?』と。」

 

「しかしパロリンは決して私の書簡に返答しようとしませんでした。なぜなら、中国との暫定合意の件でも明らかなように、彼は完全にイエスマン(諂い者、追従者)だからです。」

 

ー終わりー

 

関連資料

↓ レイモンド・バーク枢機卿へのインタビュー

 

*1:訳注:

上部はバチカンが編集し直したものであり、下部はオリジナルの記述。削除されていた赤囲みの部分は、マルコ・トサッチ氏の指摘によりバチカンが再度、復元。(出典:Did the Pope lie? The Vatican censors him by “cleaning up” his statement on Vigano after Stilum Curiae denounced him by Marco Tosatti, 29 May 2019).