巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

内なる庵(ゲルハルト・テルステーゲンの信仰詩)

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主よ、あなたは代々に私たちの宿るところ。詩篇90篇1節

 

わが愛する御方、

喧しき地上の 多くの声から、

われを甘美なる汝の隔絶へと迎え入れ給へ。

 

静穏、やすらぎ、憧憬。

御足元にマリアと共に座りつつーー。

 

汝の隠れ場で、ただひとり汝と憩う。

聞くは御声、

仰ぐはただ御顔のみ。

 

湿原や荒地を照らす彷徨い光に導かれ、

疲労困憊したわれわれがそこに在る。

 

この世の幻惑のただ中にあって、

心はただひたすらに神を渇望し、安らぎを求める。

 

神とやすらぎーー。その他すべては、

いつ果てるともしれぬ路上をゆく

骨折り人のうつろなる重荷に過ぎぬ。

 

幸いなるかな、喧騒の世界より離れ、

永久(とこしえ)なる神のやすけき麗国に入った者は。

 

巨大な世界の混乱音がざわめいている。

遠くの岸にて。

 

寂々たる荒野。だが川辺には

癒しの木があり、天的な実がたわわに生っている。

 

油注がれし眼しか見ることのできぬ御方を

霊とまことにて欣慕する。

神とのみ宿る人に、

神の隠れ家の驚異は表される。

 

かの地にて孤独な心は、主の甘美さを知り、

覆われた翼の下にかくまわれる。

 

隠れし安寧の奥は、

天的なことがらの優しき耀きに包まれている。

あゝこの世のわびしき歓楽の只中にあり

神の中に宿ることの秘義を知るもの誰かあらんや。

 

Gerhard Ter Steegen, The Inner Chamber(私訳)