巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

疎外されている若い男性たちの苦境を想い私は泣かずにはいられない。ーージョーダン・ピーターソンへのインタビュー【2018年、英国にて】

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英国では毎日少なくとも3人の若い男性が自ら命を絶っている。(IB Times UKの統計より) 

 

Alienating Young Men is Deeply Sad - Jordan Peterson - UK Interview 15 01 2018(抄訳)

 

インタビュアー:若い男性たちの苦境について語っているあなたの最近のインタビュー談に感銘を受けました。説得力のある人生指針の欠如およびニヒリズム哲学により、彼らーー特に若い男性たちーーの人生が破壊されつつあります。現在、英国における45歳以下の男性死亡因のトップは自殺です。とりわけ印象的だったのが、彼らのことを語る際にあなたの流した涙でした。

 

ピーターソン:昨晩、私は約1000人の聴衆を前に話をしました。講義後も500人ほどが会場に残っていましたが、その大部分が若い男性たちでした。

 

彼らは次々に私の所に駆け寄ってきて、「この6カ月、あなたの講義を聴き続け、私の人生は変りました。私は鬱を患い、ドラッグ中毒で、人間関係もうまくいっていませんでした。希望もなく人生の目的もありませんでした。でもあなたの講義を聞いてから、私は自分の部屋の掃除を始め、真理を語り始めました。」等、感謝の言葉を述べながら、握手を求めてきました。

 

私の心を刺し通すのは、これらの男性たちが、生涯において本当に一度も励ましを受けてきていないという悲痛なる事実です。実際、ほんのわずかな励ましによってでさえも、彼らはどん底から這い上がり、自らを立て直そうと動き始めているのです。これは大惨事です。

 

Youtubeで私の講義を聞いている聴衆の大半が20-35歳位の男性ですが、彼らは「責任(responsibility)」「フェアー・プレー」「崇高なる生」「社会に貢献すること」等に関するトピックを喘ぎ求めています。実際、彼らの生き方は肝要です。彼らは自らを立て直すことさえできるなら、自分自身に対し、そして家族、コミュニティーに対し有益なる貢献をすることができる存在です。そしてこの世はそのような男性たちを是非とも必要としています。

 

しかし嗚呼、現在、彼らは「家父長制的な抑圧者」「レイプ文化の帰化動物」「機会をうかがっている次なる圧政者」呼ばわりされ、疎外されており、私の心は悲しみに沈んでいます。私たちの社会は、彼らの能力(competence)と圧政(tyranny)の区別をせず、両者を同一視する誤りを犯しています。全くひどいものです。

 

インタビュアー:なぜこういった現象が起こっているのでしょう。

 

ピーターソン:さまざまな要素が入り組んでいるでしょう。一つの要因としては、全ての文化には‟圧政的要素”が存在していることが挙げられるかと思います。私たちの文化も完全ではなく、そこには抑圧的要素があります。

 

しかしながら深層には人々の「憤怒」および責任を持った生への欠如があります。彼らはこの世界を暗くひどい場所にしている責めの一部がもしや自分にもあるのではないかという自己省察をする代わりに、全ての悪の根源を、いわゆる「家父長制(patriarchy)」に押し付けた上で、それを構成している全ての男性たちは邪悪で害悪を及ぼす圧政者である、と勝手に前提しています。

 

こういった人々は、イデオロギーに憑りつかれた憑依(ひょうい)の状態にあり、彼らに弁解の余地はありません。そして前述しましたように、彼らを突き動かしているのは「憤怒」という感情です。

 

インタビュアー:フェミニズムが関与していますか?

 

ピーターソン:それは「フェミニズム」を人がどのように定義するかによります。もしもそれが意味しているのが、「女性たちが、男性たちと同じ足場に立ち、自らの特性をもって貢献する時、この世界はより良い所になる」というものなら、それはすばらしいものです。

 

しかしながら仮に彼らが「西洋文明は、邪悪にして腐敗した家父長制である」と主張しているのなら、それは確実に間違っており、彼らに弁解の余地はありません。

 

悲惨なことに後者のイデオロギーが現在、諸大学ーー特に人文科学ーーを支配しています。そして先ほど言いましたように、左翼大学人の大半は、西洋文明が腐敗した家父長制であるとまともに信じ込んでいるのです。みなさん、目を覚まさなければなりません。諸政府の大半は、殺し屋たち(thugs)によって営まれています。彼らはやがてあなたの家の玄関を蹴り倒し、寝ているあなたをなぶり殺すでしょう。

 

西洋文明の中であって私たちはかつてない自由の恩恵を受けています。実際、個人として私たちはこの社会で安全に生きていくことができます。それなのに、彼らは「西洋文明は腐敗した家父長制である」というイデオロギーを振りかざした上でそれを若い男性たちの足元に置き、「あなたがたは過去の人種差別や女性蔑視(misogyny)という責めを負っているがゆえに、差別の対象とならなければならない」と論じているのです。ゾッとするような言明です。

 

見てください。現在、男性たちが諸大学から逃げ出しているのです。これは私の個人見解ではありません。この15年余り、私は統計結果をずっと追ってきました。その上で申し上げています。

 

人々は私のことを女性嫌悪者(misogynist)と呼んでいます。なぜなら私は全力を尽くし、若い男性たちを立て直そうとしているからです。荒唐無稽な諸思想の中に翻弄されている男性たちがまともな生き方をすることができるよう力づけることが、「女性嫌悪」となるのでしょうか?全く信じがたいことが起こっています。

 

ー終わりー