巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

英国国教会はプロテスタンティズムの道を選び取った。(by ブライアン・クロス、マウント・マースィー大学)

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アングリカン・コミュニオンの分断・亀裂(出典

 

Bryan Cross, Church of England chooses the way of Protestantism, 2008(拙訳)

 
月曜夜、英国国教会一般総会にて投票が行われ、女性主教叙階が認可されました。

 

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出典

これが意味しているのは、制度としての英国国教会が今後プロテスタンティズムの道*に進むという決断を下し*、ローマ・カトリック教会との再統合への歩みから身を引き離した*ということです*1。この事に関しロングネッカー神父は正しくも次のようにコメントしています。

 

 「これにてローマ・カトリック教会との歩み寄りの歴史に決定的終止符が打たれました。もはやアングリカン・コミュニオンとの談合には何ら意味はありません。それだけでなく、仮にカトリック側が談合を望んだにしても、アングリカン・コミュニオン内に統合体としての一つの教会を特定することはもはや不可能になりました。

 今後、彼らとのエキュメニズムは、個々人や小さな群れとの間でなされていくことになるでしょう。それから、アングリカン主義のこの動乱により、おびただしい数の聖公会信者が今後間違いなく、テヴェレ川の岸を越え、ローマ側に避難してくることでしょう。そのことを覚え、彼らのために祈っていきましょう。」

実際に今、何が起きているのでしょうか。そうです、分断線が明確に引かれつつあるのです。それでは分断線を挟む両サイドはそれぞれどのような特徴を帯びているのでしょうか。

 

自由主義('liberal')側の立場の本質は、いわゆる「モダニズム」と呼ばれているものであり、それは回勅『パッシェンディ・ドミニチ・グレジス(Pascendi Dominici Gregis )』がすでに100年前に糾弾しています。*2


カトリック百科事典*は、「モダニズム」を、「現代哲学における誤前提に則った、われわれの超自然的知識に対する批評」と定義しています。モダニズムの根本的誤謬は、それが、神的啓示以上に人間理性の方を上に押し上げている点にあります。

 

それゆえ、この誤謬は、7つの死罪の最高位の形態である「高慢」であり、サタン自身もこの大罪により堕落しました。信仰とプライドが互いに混じり合うことはありません。なぜなら、前者が神への信頼であるのに対し、後者は神への不信および自分自身への信頼に他ならないからです。

一方、‟リベラル” 陣営とは反対に、‟伝統的”陣営は、人間理性を神的啓示に従属させています。そして神的啓示を人間理性に従属させている人々は、人間理性を神的啓示に従わせている人々と真に一致することはできません。「あなたがたは、信仰のない人々と一緒に不釣り合いな軛につながれてはなりません。正義と不法とにどんなかかわりがありますか。光と闇とに何のつながりがありますか。」(2コリ6:14)。

 

それゆえ、そういった人々が混在している場はどこであれ、彼らはいずれ不可避的に分離していきます。ーーちょうど油が自然に水から分離していくように。そしてこれがまさに今、アングリカン主義内で起こっていることです。

そしてこの根本的分離現象は、今後も、全世界のアングリカン・コミュニオンの中で起こっていくことでしょう。これに関し、私は昨年、「『神の国』と『人の国』の間の切迫衝突および最終衝突*3」という論考を書きました。*4


聖公会が分裂したことにより、人間理性を神的啓示に従わせている人々は、ある意味、現在、より自由に、カトリック教会との和解および再会を検討することが可能とされていると思います。

 

そしてどのキリスト教伝統出身の方であれ、そういった人々(つまり、人間理性を神的啓示に従わせている人々)の間におけるエキュメニカルの働きは最も実り多きものとなるでしょう*5。なぜならそういった人々は最も重要な要素ーーつまり、神と神的啓示の前におけるへりくだりの心ーーを共通に持っているからです。

 

それがゆえに私は、今後も引き続き、伝統的アングリカン信者とカトリック教会の間の和解をみたいと望んでいます*6。「キリストに従う信仰者たちの間の完全にして可視的一致」を共に祈り求めていきましょう。

 

ー終わりー

 

関連記事

*1:これは非公開のバチカン・サミットにおける聖公会主教たちに関するテレグラフのストーリー*の翌日に為されました。

*2:訳注:

*3:On The Imminent and Final Conflict between the City of God and the City of Man

*4:自分の全ブログ記事の中でも、この記事および、「異端のグノーシス主義的ルーツ( The Gnostic Roots of Heresy)」は最も重要だと考えています。なぜなら、両記事は、一致と不一致に関するストーリー各々の創成と終焉について取り扱っているからです。

*5:訳注:

*6:伝統的アングリカン信者の、カトリック教会との和解・再一致に関する記事:"Anglicans to Catholics: Ready or Not, Here we Come" and "Church of England bishops coming home to Rome?"