無神論ーー一見したところ不正にして無慈悲にみえる神に対する憎悪心に燃えた真の‟実存的”無神論ーーは、一つの霊的状態である。それは、真の神を捉えんとするリアルな苦闘である。自らをアンチクリストと呼んでいたニーチェは、それにより、キリストに対する激烈なる渇きを立証した。
セラフィム・ローズ(ロシア正教の修道士、1934-1982)
Seraphim Rose. 1934年米国サンディエゴ生まれ。14歳の時メソディスト教会で洗礼を受ける。その後、キリスト教を棄教し、無神論者になる。ポモナ大学で中国哲学を専攻、56年に最優秀で卒業。61年、カリフォルニア大バークレー校にて「老子思想における空(くう)および満」を研究。卒業後、さらに仏教およびその他のアジア諸哲学の研究に打ち込む。
アラン・ワッツのアジア研究米国アカデミーに在籍中、フランスの形而上学者ルネ・ゲノンの著作に触れ、また中国の道教学者Gi-ming Shienに感化され、古典中国語での初期道教文献の読解に集中するようになる。
研究を深めていく過程でローズは次第に自らの霊的伝統であるキリスト教を再発見していくようになる。1962年、ロシア正教会に受け入れられる。68年、ローズと朋友ポドモシェンスキーは共に修道士になり荒野に隠遁。アラスカの聖ヘルマン修道院コミュニティーが誕生した。その後終生にわたり、小屋の中で隠遁士として修道生活を送りつつ、人々を助けた。
セラフィム・ローズが生活していた小屋。(出典)
↓リベラリズムの、仮面を被ったニヒリズム(セラフィム・ローズの著書『ニヒリズムーー現代革命のルーツ』からの抜粋。朗読。)