巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

クリスチャンと時代精神(by ヨーゼフ・ラッツィンガー)

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出典

 

この数十年の間にどれだけ多くの教理の風をわれわれは目撃してきたことだろう。そしてどれほど多くのイデオロギー的動向、思想の様相が現れては消えていったことだろう。多くのクリスチャンの〈小さな思想舟〉はひっきりなしにこういった波に翻弄されてきた。

 

一つの極端からもう一つの極端、マルクシズムからリベラリズム、果ては放縦主義(libertinism)へ。集産主義からラディカルな個人主義。無神論からぼやけた宗教的神秘主義。不可知論からシンクレティズムへ。。毎日のように新しいセクトが生み出され、聖パウロのいう「人の悪巧み」(エペソ4:14)は人々を誤った方向へ誘引しようとしている。

 

教会の信条に基づいた清澄なる信仰を持つことは今日、ファンダメンタリズムというラベルを貼られがちである。他方、相対主義ーー自らに‟教えの風に吹き回されること”を許すことーーに対し、人々は、これこそが今日の基準に対し唯一許容し得る態度であるとみなす傾向がある。

 

われわれは相対主義という独裁者の方に動きつつある。これはいかなるものであれ確かなるものを認めず、自らのエゴおよび欲望の内にその至高なる目標を持っているのである。」ーーヨーゼフ・ラッツィンガー