巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

あなたの苦闘を無駄と呼んではいけない。(by アーサー・ヒュー・クラフ)

出典

 

あらゆる欠乏、落胆、閉塞、孤独の最中にあって、尚もどうにか前を向こうとしているわが同胞へ

 

君は言う。

「悪戦苦闘はついに報われなかった。

あれだけの労苦も、受けてきた傷も、すべてが無駄だった。

敵は一向にひるまないし、逃げる気配もない。

結局、なにも変わらず、すべてはむなしい。」

 

おお、そんなことを言ってはいけない。

 

希望がまやかしにすぎなかったのなら、

恐れが実体なき嘘だということもある。

ごらん、ここからは見えない戦場の一隅で、

まさに今、君の戦友が逃げる敵を追っているかもしれない。

そして陣地を取り返しているのかもしれない。

 

疲れきった様子で波が浜辺に打ち寄せている。

いくら苦労しても何も前進していないように見えるだろうか?

しかし見よ。はるか彼方の湾や入り江では、

じわじわと、静かに、大きな潮が満ちかけている。

 

夜明けの時、光が射し込んでくるのは、

東側の窓からだけではない。

「でも太陽はのろのろと、どこまでも緩慢にしか

進んでいない。」

そう君は言うだろうか?

だが今、西の方を見るがいい。

ほら、大地はもう明るくなっている。

 

Arthur Hugh Clough, Say not the struggle nought availeth, 1849(私訳)