巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

朝の讃歌ーーミラノの聖アンブロシウス(340-397)

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出典

 

目次

 

朝の讃歌(聖アンブロシウス)

 

御父の栄光の耀き、

無限にひろがりゆく汝の光の壮麗さ。

燦然(さんぜん)たる泉、夜明けの黎明。

今や夜の闇が消えゆく。

 

おお、まことの太陽がわれらの内より昇りゆき、

恒常なる汝の光線を放っている。

おお、われらが感覚の内に、聖霊なる神の光焔を深く植えたまえ!

 

御父なる神、汝を敬拝せん。

まことの力強き恩寵の源であられる御父。

栄光に富むとこしえの御父よ、

われらの心からあらゆる反逆を追放し給え!

  

われらが内に汝の力強き御力を吹込み、

サタンの力である高慢さを砕き給え。

さまざまな苦難を勝利に変え、

毎時、われらに智慧を与え給え。

 

主よ、われらの思いを導き、考えを高潔に保ち、

手足を奉仕のためにふさわしく保たせ給え。

われらの信仰を愛による純粋なる炎で養い、

悪意や欺きからわれらを清め給え。

 

主キリストよ、どうかわれらが食物のためのパンとなり、

飲物のための葡萄酒となり給え。

願わくば喜びの霊をもって味わい、

主の節制をもって飲まんことを!

 

新しいこの日を歓喜の内に過ごすことができるように。

ーー暁の初々しい花のごとき慎み深さ、

真昼にさんさんと輝く日のごとき信仰、そして

夕の薄暗によって損なわれることなき清澄なる思いと共に。

 

ああ、煌々たる曙が昇りゆく。

われらが唯一の黎明であるイエス。

天の御父によって顕示された御子。

われらはロゴスの内に御父を知る。

 

A morning hymn by St. Ambrose of Milan(拙訳)

 

聖アンブロシウスについて

 

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出典

 

アンブロシウス(Ambrosius, 約340年- 397年4月4日)は、4世紀のミラノの司教です。正教会・非カルケドン派・カトリック教会・聖公会・ルーテル教会の聖人で記念日は12月7日。四大ラテン教父・西方の四大教会博士の一人に数えられています。

 

ギリシャ語に精通していたアンブロシウスは、バシレイオス、ナジアンゾスのグレゴリオスなど東方の教父たちの思想を学んで、これを西方に伝え、西方教会の神学の水準を高めました。また、オリゲネスやアレクサンドリアのフィロンに学んでその聖書解釈の方法を西方教会のスタンダードとしたことでも有名です。若き日のアウグスティヌスもミラノでアンブロシウスに出会って大きな影響を受け、回心をとげています。

 

また、ミラノで伝統的に歌われるアンブロシオ聖歌というラテン語聖歌はアンブロシウスに由来するという伝説があり、同じようにミラノで行われている典礼様式はアンブロシウス典礼(ミラノ典礼)と呼ばれているそうです。アンブロシウスに帰される聖歌には「テ・デウム」(我ら神なる汝を讃えん)、「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」(ヴェニ・レデンプトール・ジェンティウム)などがあります。(参照

 

♪ テ・デウム(我ら神なる汝を讃えん)

 


テ・デウム(Te Deum)は、カトリック教会・ルーテル教会・正教会の聖歌の1つです。テクストの冒頭の一文 “Te deum laudamus”(われら神であるあなたを讃えん)からこの名称で呼ばれています。聖アンブロシウスにより愛弟子の1人へ洗礼を授ける際に即興で作られたとされ、アンブロシウス聖歌からグレゴリオ聖歌に採り入れられました。聖務日課の「朝課」(真夜中の祈り)の最後に歌われることが多いそうです。(参照