巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

福音主義者たちによる福音主義者たちのためのシカゴ・コール(1977)ーー歴史的ルーツと連続性への呼びかけ

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失ってきた遺産を再訪する旅に出かけよう。(写真

 

1977年5月、45人の福音主義指導者たちが米国シカゴに集まり、自分たちの過去の歩みを冷静に振り返った上で、「シカゴ・コール」と言われる声明を発表し、福音主義教会の、歴史的キリスト教への回帰を呼びかけました。

 

出典:宇田進著『福音主義キリスト教と福音派』

Online(英語全文

 

「シカゴ・コール」における第一の協議事項

 

<歴史的ルーツと連続性への呼びかけ>

 

「われわれは、聖書と聖霊さえあれば過去とは無関係であると性急に思い込むことによって、われわれのキリスト教的遺産の豊かさをしばしば見失ってきたことを告白する。その結果、われわれは神学的に皮相なものとなり、質的には虚弱となり、他の者たちの間でなされて
いる神のみわざには盲目となり、われわれをとりまく文化と安易に結託してしまった。」

 

これがために、われわれのキリスト教的遺産の回復を要請する。教会の歴史において、キリストの絶大な救いの恵みを宣べ伝え、聖書に従って教会を改革しようとする福音主義的な衝動(“An Evangelical Impulse”) が絶えず存在してきた。この衝動(“Impulse”)は、公教会的な諸会議が明らかにした教理、古代教父たちの敬虔、アウグスティヌス的恩恵の神学、修道院改革者たちの熱心、実践的神秘主義者たちの献身、クリスチャン人文学者たちの学問的な誠実さの中に表れた。

 

さらに、プロテスタント宗教改革者たちの聖書への忠誠と宗教改革急進派の倫理的熱心の中で花を咲かせ、宗教改革を完成させようとしたピューリタンと敬虔主義者たちの努力のうちに引き継がれた。それはまた、十八、十九世紀の信仰覚醒運動の中に表された。これらの覚醒運動はルター派、改革派、ウェスレー派およびその他の福音的諸派を、教会の刷新と、福音の告知と社会実践による宣教の拡大、という全教会的なわざにおいて一致団結せしめた。

 

この衝動“Impulse”は、キリスト教史のどの時点においても、福音が聖霊の働きによって解き明かされるときにはいつでも存在していた。たとえば、ギリシャ正教会とローマ・カトリシズム内部の刷新運動の一部の中にも、またわれわれと異なる形態をとるプロテスタント諸教派内部における聖書的洞察のあるものの中にも存在している。

 

われわれは聖書が示している福音の枠を越えようとは思っていない。しかし、われわれは、福音の全体的意味に関して、他の時代や、他のもろもろの運動から学び取る必要を認識しないでは、十全な意味で福音主義的であるということはできない。