巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

聖書神学の本質と方法(ゲルハルダス・ヴォス『聖書神学』のアウトラインより)  

Fred Carl Kuehner, Outline of Geerhardus Vos's Biblical Theology (1948) の冒頭部分を翻訳

 

旧約聖書の聖書神学

パート1:モーセ時代の啓示

 

1.緒論:聖書神学の本質と方法

 

 神学についての一般的定義:神学は神に関する学。 

 

 神学は必然的に啓示を基盤としている。

1.神がご自身を顕してくださらない限り、霊的・人格的(personal)存在は隠されており、知り得ない。

2.神は霊的・人格的存在であるだけでなく、われわれの諸観念を無限に超える存在。

3.初めに神はご自身のみで存在し、ご自身に対してのみ知られていた。

4.罪による、人間の非正常な状態。

 

 釈義的神学は次の要素から成り立っている。

1.聖書の実際の内容に対する研究

2.緒論

3.正典論

4.聖書神学

 

 定義:聖書神学は、聖書の中に置かれている神の自己啓示の過程を取り扱う釈義的神学の一分野である。

 

 啓示の主要な特徴

1.啓示過程の歴史的漸進性。これは、贖罪と関連しているがゆえに、連続的諸行為の中でそれ自体を開示している。

2.歴史の中における実際的啓示の具現。

3.啓示の中に観察される歴史的前進の有機的性質。

4.その実際的適応性。

 

 「聖書神学」という名称にはこれまで多様な意味付けがなされてきた。

1.組織神学で使われる立証テキストの研究として。

2.スコラ主義に抗議する敬虔主義者たち(Pietists)による語用として。

3.歴史的過程として「聖書神学」という語を初めて用いたのはガブラー。(しかしそれは合理主義的であった。)

4.聖書神学に対する進化論の影響

a. 偽りから真理への発展だとみなされる。

b. 実証主義に属す。(現象だけが知られ得るという教え)

 

 聖書神学のための基本理念

1.啓示の無謬性(infallibility)に対する認識。

2.啓示基盤の客観性に対する認識。

3.霊感に対する認識。

 

 聖書神学という名称に対する諸反論

1.「あまりに広義的すぎる。なぜなら、全ての神学は聖書に依拠しているのだから。」

2.「神学の四大分野の間に混乱を生じさせる。」

 

 他の諸分野と聖書神学との関係

1.聖書の歴史との関係

  a. 聖書の歴史ー贖罪ー存在の領域

  b. 聖書神学ー啓示ー認識の領域

2.聖書緒論との関係

3.組織神学との関係

  a. 組織神学ー論理的

  b. 聖書神学ー歴史的

 

 聖書神学の方法ーー歴史的漸進。

 

 聖書神学の実際的使用

1.特別啓示における諸真理の有機的発展を示す。

2.合理主義的批評の教えに対する解毒剤として。

3.その歴史的背景を示すことによって真理に対し新鮮さを提供。

4.反教理的傾向に対する対抗。

5.啓示のまさに本質部分において、私たちに真理を提示する。

6.神に対する新たなる視野を提供。

 

関連文献:

D.A. Carson, "Current Issues in Biblical Theology: A New Testament Perspective," in Bulletin for Biblical Research 5 (1995) 17-41.(PDF