巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

聖トマス・アクィナス

聖グレゴリウス・パラマスとヘシュカスト論争(by マークス・プレステッド教授)

Marcus Plested on St Gregory Palamas and the Hesychast Controversy, 2021.(抄訳) 「結論を申し上げますと、(ポドスカルスキー見解に代表されるような)「理性の敗北」、(ロスキーらの見解に代表されるような)「アンチ・スコラ哲学的神秘神学の勝利…

トマス主義者とパラマス主義者の会話 ~春の庭園にて~

出典 The Thomist and the Palamite,, Eclectic Orthodoxy, 2014. (拙訳) パラマス主義者:「君は、神のウーシア(本質)とエネルゲイアの間に何ら区別を置いていない。そして、君は『神は有限態において被造物に対しご自身をお与えになった』と言っている…

荒野にて

荒野にて 「国民教会(national church)」というものについて(by 聖ジョン・ヘンリー・ニューマン) 〈ローマ〉について(G・K・チェスタートン) ロシアと普遍教会ーーロシア民衆の「真の正教」及び、アンチ・カトリック神学者たちによる「疑似正教」に…

神の世界内在と恩恵―トマス・アクィナス恩恵論の全体像―(桑原 直巳氏)

「哲学・思想論集」44巻158(1)-142(17) 引用元 目次 【1】 はじめに 【2】 トマスにおける「恩恵 gratia」 【3】 性向概念の枠組みにおける恩恵-霊性的倫理 (一)性向的賜物としての恩恵 (二)注賦的諸性向の理論 【4】 恩恵の結果 (一)「不敬虔な者…

カトリック改宗か正教改宗かの最終判断はやはり一筋縄ではいかない。(その3)

出典 私:あのね、この前、東方正教の某神父様から心のこもったメッセージをいただいたの。私が「以前の愛」――ローマ・カトリシズムという異端――にUターンしてしまうのではないかと危惧され、「悪しき者(=サタン)にあなたが惑わされることのないようお祈…

晩秋の思索

遠山谷の夕焼け(出典) 分断線のありかを巡って 旅路における邂逅と交差 らせん上にゆっくり進み、成長してゆく

ロマニデス神学を再考する。〔その2〕(by セラフィム・ハミルトン)

質問者のコメント ハミルトン師の応答 アンチペルソナ主義(antipersonalism)――危険な教義 聖グレゴリオス・パラマスと、ロマニデスの描き出す〈パラマス像〉のギャップに驚く 東西の教父たちとギリシャ哲学 「聖書」と「教父文書」の間の区別を実質上、破…

ユーカリストの犠牲的性質、プロテスタント諸反論、現代カトリック祭司制危機(by ローレンス・ファインゴールド、ケンリック・グレンノン神学校)

目次 ミサの犠牲に対するルター及びカルヴァンの諸反論 ルターのミサ理解 ①サクラメント定義からの議論 ②「ミサにおける犠牲というのは、毎回のミサの中で繰り返しキリストが殺されるということを意味している」という反論について ③「ユーカリストは犠牲と…

三位一体は人間の思索の根本的な成立条件であり、また終局である。(V・ロースキィ)

目次 三位一体は人間の思索の根本的な成立条件であり、また終局である。 東西の三位一体論の違い――東方は「三」から「一」へ。西方は「一」から「三」へと思索を展開する。 東方の三位一体論――「父は三位に共通な神性の源泉であって、子と霊を生む」という教…

列車の中の神学——マルチ信仰談義【シリーズ④ 倫理性について】(by マイケル・ロフトン)

【シリーズ① 永遠の刑罰について】【シリーズ② 聖書正典について】【シリーズ③ 教導権について】からの続きです。 出典 Michael Lofton, Theology on a Train: A Multi-Faith Dialogue, Jan, 2019(拙訳) ルーテル派信者:確かに私たちは教義上の諸問題を抱…

崇拝(latria)と崇敬(dulia)の区別【イスラム圏改宗者たちとのディスカッション】

Worship: Latria, Hyperdulia And Dulia | Catholic Apologetics Research Center 先日、クリスチャンになったばかりの元イスラム教徒(シーア派)の女性二人と食卓を囲み楽しく語り合う機会がありました。

聖母マリアに祈ることは正しい、それとも誤り?【友人とのディスカッション】

出典 目次 「マリアに祈ることは間違っている。」——敬虔なプロテスタント信仰者の方からの警告 「・・それで神およびイエス・キリストへの愛が増し加わった」という理由づけだけでは不十分 改革派神学者R・C・スプロール師の批判と矛盾 聖母マリアに捧げる祈…

パチャママ異教オブジェがテヴェレ川に廃棄されたことを信者はどのように捉えるべきなのだろう?【異教祭儀とキリスト教倫理】

これはまさしく偶像礼拝です。二人の司教が肩に「パチャママ」偶像をかつぎ、シノドス会場へ行進し、その二人をフランシスコ教皇が歓迎しています。「あなたには、わたしのほかに、ほかの神々があってはならない」(出エジプト記20章2節)。 ジョン・スト…

用語のひとり歩きに注意しようーー誤用・乱用されがちなニューマンの「キリスト教教義の発展」というコンセプトについて

発展(development)とは? かつて誰かによって提唱された言葉が、時代を経るにつれて、作者の元来の意図や限定的文脈を超え、さまざまに解釈されつつ、「言葉のひとり歩き」を始める事例は歴史上、後を絶たないと思います。

ヘシュカスム論争に対するジョン・メイエンドルフの理解(アンドリュー・ラウス、ダラム大学)

聖グレゴリオス・パラマス(1296-1359) 目次 ヘシュカスム論争に対するジョン・メイエンドルフの理解(アンドリュー・ラウス、ダラム大学) 知的プラトン主義、新プラトン主義 異なる禁欲主義理解 メイエンドルフのパラマス解釈に対する諸批判 【…

宗教改革者たちとトマス・アクィナスーーカール・トゥルーマン教授へのインタビュー【改革派内での新しい動き】

出典 目次 トゥルーマン教授の微妙な位置 ルターの信仰義認論、「パウロ研究による新しい視点」 聖書の正典問題 「教皇制のプラグマティズム」 宗教改革者たちとトマス・アクィナス

トマス・アクィナスの解釈学とプラトン主義的伝統(by ピーター・クリーフト 、ボストン大学)

出典 目次 「聖書」と「自然」ーー二つの書 「聖書および自然は、signで溢れている」 脱構築主義との対照 アナロギア(類比) 創造(Creation)

トマス・アクィナスと正教ーーマークス・プレステッド著『Orthodox Readings of Aquinas』書評(by アンドリュー・ラウス、ダラム大学)

聖トマス・アクィナス(出典) www.firstthings.com Andrew Louth, The Dumb Ox and the Orthodox: A Review of Orthodox Readings of Aquinas by Marcus Plested, First Things(抄訳) Marcus Plested, Orthodox Readings of Aquinas, Oxford University P…

東方の文脈で「scholastic...」という表現がなされる時、それは具体的に何を意味しているのだろう?【東西キリスト教と理性】

東方正教のビザンティン学者であるアンドリュー・ラウスが「アクィナスと正教の関係」について書評を書いており、大変興味深く読ませていただきました。

舌よ歌え、栄えある聖体の神秘を(♪ Pange, lingua, gloriosi, Corporis mysterium)【グレゴリオ聖歌】

出典 わたしは、天から下って来た生けるパンです。だれでもこのパンを食べるなら、永遠に生きます。またわたしが与えようとするパンは、世のいのちのための、わたしの肉です。ヨハネ6:51 Ego sum panis vivus, qui de cælo descendi. Si quis manducaver…

ローマ・カトリック、プロテスタント、正教それぞれの、自己像・他者像・相関像について

モザイク画(出典) 昨日、東方典礼カトリック教会に通っている60代の女性から思いがけずお茶に誘っていただき、中心街のカフェで共に時間を過ごすことができました。彼女は私が教会から姿を消したことを心配しわざわざ電話をくださったのです。

われらいとも聖なる秘跡を永遠に崇め奉らん(♪Adoremus in aeternum)【グレゴリオ聖歌】

ラファエロ作「聖体の議論(La disputa del sacramento)」(1509)*1 「ああ、いともやさしき主なるイエスよ、あなたの宴にあなたと共にあずかる敬虔な魂の喜びはどんなに大きいでしょう。そこでは、ただひとりの愛子、心のすべての願いにもまさって願…

女性叙階が不可能である理由について(by テーラー・マーシャル & ティモシー・ゴードン)

Catholic “Women Priests”: Can There Be a Discussion? – Catholic World Report Taylor Marshall & Timothy Gordon, Pope Francis on Women Deaconesses: Can Women be Ordained? Amazon Synod, May 13, 2019(抄訳) テーラー・マーシャル:なぜ女性の叙…

キリストの御魂よ(♪ Anima Christi)【ローマ典礼、14世紀】

Frans Floris, Lamentation, c. 1554, Musée Bossuet(出典)

私の辿ってきた道ーーマーク・マックニール師の信仰行程

目次 若き日のペンテコステ運動との出会い ワンネス・ペンテコステ派 様態論的な神理解 ワンネス派のバイブル・カレッジに進学 教父文書との出会い アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団に移籍する 実存的チャレンジを受ける さらなる危機ーー聖書正典の形成…

懐疑主義を乗り越える。ーー21世紀キリスト教弁証と聖トマス・アクィナス

...トマス・アクィナスは、キリスト教信仰と理性の間には自然な調和があることを示しました。これこそがトマスの偉大な業績です。トマスは、二つの文化が出会った時代に(当時、信仰は理性の前に降服しなければならないように思われていました)、二つの文化…

私の辿ってきた道ーーダグラス・M・ボウモント師の信仰行程【最終回】今壊れているものはやがて元のように修復される

【その1】【その2】【その3】【その4】【その5】からの続きです。 出典 目次 岸まで犬かきする やっとの思いでテヴェレ川の土手まで辿り着く おわりにーー共に旅を続けている仲間たちへ

パンとぶどう酒の形態のもとに隠れておられる神よ、つつしんで御身を礼拝いたします。(トマス・アクィナス)

"The temptation of St. Thomas Aquinas" by Diego Velazquez; 目次 「聖体に対する聖トマの祈り」(トマス・アクィナス作) モン=コルニヨンの聖ジュリエンヌ(ベネディクト十六世) 聖体賛歌『隠れたる神性よ』(Adoro te devote)

私の辿ってきた道ーーアンドリュー・プレスラー師の信仰行程【その5】

【その1】【その2】【その3】【その4】からの続きです。 かつて居たところに私たち皆を運び入れてください、恵み深き主よ。(出典) 目次 唯一の、聖なる、公同の、使徒的教会 「入口探し」 古代のユーカリスト的典礼との出会い カトリック教会の「二つ…

私の辿ってきた道ーーアンドリュー・プレスラー師の信仰行程【その4】

【その1】【その2】【その3】からの続きです。 ペテロとパウロ、そして一つの教会。(出典) 目次 目の前に立ちはだかるカトリック教会と正教会。さあ、どうするか。 ローマ典礼の新しい形態に失望、落胆。そして挫折。 私の発見した「カトリック教会」は…