巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

神観・人間観・世界観・歴史観

開くのは、再びそれを閉じるためーー「オープンマインド」について(G・K・チェスタトン)

ただ単にオープンマインドであるだけでは全く意味がない。精神をオープンにするのは、ーー口を開けるのと同様ーーなにか堅固なものの上にあって再びそれを閉じるためである。そうでなければ、「オープンマインド」とは所詮、なんでもかんでもこれ一様に取り…

真理とは何か?ーーマークス・グローダイ師の探求と苦悩、そして人生の道程【その1】

目次 牧会職に就いて わが要塞の破れ いかにして知ることができるのだろう? 僕の解釈ははたして正しいのだろうか。 礼拝の形式や内容について 「主人は天国に行くのでしょうか?」ーーカルヴァン主義と予定説

十字架を見上げながら、クリスチャン・ヨガ?(by バジレア・シュリンク)

目次 まえがき ヨガとは何か? ヨガの目に見えない目的とは?

聖書批評学の変遷(聖書神学舎 津村俊夫師)

ポスト構造主義 目次 聖書批評学の変遷 1.通時論から共時論へのシフト 2.歴史的事実(史実)に対する不可知論 3.著者よりも読者にフォーカス 聖書神学舎教師会〔編〕『聖書信仰とその諸問題』聖書信仰と批評学、p.82-86.(執筆者:津村俊夫師、ウガリ…

キリスト教対等主義(Egalitarianism)の詳細分析ーーウェイン・グルーデム、フェニックス神学校【総括編】

ウェイン・グルーデム(Wayne Grudem, 1948~)過去20年間に渡り、イリノイ州にあるトリニティー神学校で教鞭を取った後、現フェニックス神学校教授。ハーバード大(B.A.)、ウェストミンスター神学校(M.Div.)、ケンブリッジ大(Ph.D.)1998-1999年…

ジェンダー包括語(gender-inclusive language)に関する文献のご案内【聖書翻訳】

「時として、ダイナミック等価翻訳は、広範囲なものを蔽う、だだっ広い傘のようになっているように思われます。ダイナミック等価翻訳の一方の端っこでは、意味の微妙な差異をできる限り駆使し再生産すべく、細かく念入りな試みがカバーされています。しかし…

聖ヨハネの神の国の幻像ーー正教会の黙示録解釈のご紹介

パトモス島にある教会(出典) 目次 ブログ管理人より親愛なる日本正教会のみなさまへ 黙示録ーー聖ヨハネの神の国の幻像 序 教会へのキリストの配慮 天上的な集い 罪深いこの世への神の裁き 神の国の到来 神に対するサタンの反抗 子羊と龍との間の霊的な戦…

智慧から認識論へーーいかにして「人間精神」と「世界」との間のつながりが絶たれていったのか?(by ジェン・ズィンマーマン、トリニティー・ウェスタン大 解釈学)

自分は、、この世界、そして他者とどのようにつながっているのだろう。。(出典) 目次 智慧から認識論へ 解釈の衝突 基礎づけ主義の誕生 教化から証明へ 精神と世界の分離 ルネ・デカルト 合理主義 伝統からの理性の独立 影響その① 影響その② 深い裂け目が…

道を求める魂とキリスト教弁証

その道を歩み、魂に安らぎを得よ。エレミヤ6:16 カトリックの弁証家であるロバート・バロン神父の講義「無神論と‟神”という語の意味」を聴きました。これは、クリストファー・ヒッチェンズやリチャード・ドーキンズ等、世俗主義ファンダメンタリスト(New…

ビザンツ正教思想における新プラトン主義(袴田玲氏、日本学術振興会特別研究員)

聖マクシモス(Μάξιμος ο Ομολογητής, 580-662)のイコン(出典) 目次 序 神化とヘシュカスム パラマスにおける神化とプロティノスにおける合一

主従関係の逆転ーー神に「命名」しようとする人間たちの尊大な試み【拡大膨張する聖公会のフェミニズム問題】

「人間として存在することーーそれは自己に命名し、世界に命名し、そして神に命名することである。」 メアリー・デイリー(フェミニスト神学者、1928-2010) christiannews.net(抄訳)

『共通祈禱(Common Prayer)』それとも筋書き通りの政治?(by カール・R・トゥルーマン、ウェストミンスター神学校歴史神学)【米国聖公会とジェンダー包括語問題】

「現時点ですでに人々は、『人間』に関するジェンダー用語を勝手に書き変える大胆不敵さを持っているのですから、今後は『神』に関するジェンダー用語さえも書き変えていくーーそういう大胆不敵さをも近い将来、発揮していくことになるのではないでしょうか…

あなたの葛藤は尊いものーー点在の世界に統一性を見い出そうとする人間の知的欣求について(by エスター・ミーク)

執筆者:エスター・L・ミーク。ペンシルベニア州ジュネーブ大学哲学科教授。ヴァン・ティル学派の前提主義、ジョン・フレームの多元遠近法(multiperspectivalism)及び、マイケル・ポランニーの暗黙知(tacit knowledge)をベースに、契約主義キリスト教認…

人間の叫びーーアルフレッド・テニソンの信仰詩

出典 目次 人間の叫び 砕けよ、砕けよ、砕けよ 「追憶の詩」へのプロローグ

キリスト教とギリシャ文化/哲学を私たちはどのように考え、どのように識別してゆけばよいのだろう?ーーA・ハルナック「ヘレニズム化説」に関する考察(by バルナバ・アスプレイ、ケンブリッジ大学)

殉教者ユスティノス著『ユダヤ人トリュフォンとの対話』(2世紀):ユスティノスとヘレニズム・ユダヤ教徒トリュフォンとが、旧約聖書の様々な箇所の解釈をめぐって交わす論争を対話篇の形で述べたもので、その序文は、プラトン主義者であったユスティノス…

用語の再定義、BOBO理論、「ヘレニズム的思考」によって汚染された正典、「ヘブライ的思考」 のレンズ。【ヘブル的ルーツ運動(HRM)検証】

目次 用語の再定義 BOBO理論の登場 「ヘレニズム思考」に汚染された西洋教父たちにより編纂された欠陥ある聖書正典!? 聖書を「ヘブライ的思考」のレンズおよびヘブライ語を通して理解することの重要性というHRMの強調点に関して

時間を感じとるための心

デジタル空間と時間(出典) 時の経過と川は同じであり、 どちらも、たゆむことなき流れと共に、旅路を急ぐ。 いかなる財宝もそれを買収することができず、 どんな祈りをもってしてもそれは留まってはくれない。

パリサイの濫觴(らんしょう)ーー三谷隆正『幸福論』より

「パリサイ人たちに非難されるキリスト」(Duccio di Buoninsegna作, 1308)出典 目次 われらの実践生活における根底的問題は、はたして知不知の問題だろうか? マカベウス一族ーー真摯熱誠なる愛国者の一派登場す 「解放的」サマリアの民と「伝統忠実なる」…

教会政治とジェンダー論ーー女性教職を認めるべきか?(ウェイン・グルーデム著『組織神学』第47章)後篇【さまざまな反論に対する応答】

困ったなぁ~。どうしよう。 目次 はじめに 反論の実例 ①「ジェンダーではなく賜物によってミニストリーは決定されるべきです。」 ②「神様が女性である私を真実に牧師に召してくださいました。」 ③「新約聖書はしもべとしてのリーダーシップを重んじています…

教会政治とジェンダー論ーー女性教職を認めるべきか?(ウェイン・グルーデム著『組織神学』第47章)前篇

ウェイン・グルーデム(1948~)過去20年間に渡り、イリノイ州にあるトリニティー神学校で教鞭を取った後、現フェニックス神学校教授。ハーバード大(B.A.)、ウェストミンスター神学校(M.Div.)、ケンブリッジ大(Ph.D.)1998-1999年にかけ、Evangel…

私たちプロテスタントの歴史観には欠陥があるのだろうか?ーー宣教学者ラルフ・D・ウィンター氏のBOBO理論に関する考察

歴史の見方をどうするか。(出典) フラー神学校の教授であり著名な宣教学者であった故ラルフ・D・ウィンター氏(1924-2009、長老派)は、多くの福音主義クリスチャンが、「使徒時代直後に〔真理の光が〕またたく間に消え(“Blinked-Out”)、その後…

パウロにおけるイエス・キリストのピスティスの意義ーーロマ 3 : 22、26 ; ガラ 2 : 16 ; 3 : 22 ; フィリ 3 : 9 の釈義的考察(原口尚彰氏論文)【「イエス・キリストの信実」/主格的属格説】

目次 はじめに I. 語学的考察 1. πίστις の語義 2. πίστις に係る属格表現 2.1 事物を表す名詞の属格 2.2 人格的存在を表す名詞の属格 2.2.1 神的存在を表す名詞の属格 2.2.2 人間を表す名詞の属格 2.2.3 イエス・キリストを表す名詞の属格 II. 釈義的考察 1…

条件性という風鈴

風鈴(出典) 頑丈だと思っていた要塞やダムがーー神学的ダムがーー過去のある時点で崩れはじめた。内部崩壊。あっけないほど悲しいほど簡単にいろいろなものが流されていく。かつて何を基にあれほどの自信と「確信」を持てていたのだろう。 ああ、無知より…

人は自分の反発している対象からどれくらい自由なのでしょうか。

出典 「ですから考察されるべきは、『ギリシャの知的思考は生来的に悪であり、ヘブライ的な倫理的行為は均一的に善なのか?』という問いです。ですがもちろん、ギリシャ的合理性に対して反駁することは困難です。と言いますのも、『ギリシャ的合理性』を反証…

ゲルハルト・テルステーゲン信仰詩・書簡集

目次 なんと芳(かぐわ)しいことだろう ああ、わが心が静黙のうちにとどまり続けるなら 垂れ幕の内で すべてが ふさわしい場に 失い、忘れていくこと 神の隠れし愛 見よ、神はここに! おさなご 隠遁者の庵(いおり) 今という静けさの中で 理知的なクリス…

かしらの聖域

アトス山、シモノペトラ修道院、13世紀創設(出典) 目次 アトス山修道院群 ウラノポリにて 男のかしらはキリスト、女のかしらは男、そしてキリストのかしらは神 天的/地上的かしらの聖域 おわりにーー全てはつながっている

人と人を近づける翻訳、人と人を遠ざける翻訳

ボクも混ざっていいかな?(出典) 「丸山:ともかく想像以上に、翻訳文化の到来というのは早くて、その影響も大きかった。このあいだ、ひさしぶりに安岡章太郎君に会ってだべったら、福沢諭吉と、彼の思想的弟子の植木枝盛(1857-92)とのちがいは、…

聖なるコイノニアーー聖餐の神秘

「ネヴィンとシャフは、ユーカリスト(聖餐)におけるキリストの実在を是認していましたが、彼らはこの実在が意味する、より深遠なる教会論的重要性を把握することができずにいたと思います。教会というのは根源的に言って、ユーカリスト的共同体です。

東と西ーー福音主義プロテスタントと東方正教会の対話を聞いて思ったこと。

目次 はじめに 4人それぞれの道のり 大文字の伝統(Tradition)と小文字の伝統(traditions)を区別することの大切さ 西洋版の〈正教〉と、ギリシャ版の〈正教〉 〈伝統〉は皆、持っている。 おわりに

たとい、地は変わり山々が海のまなかに移ろうとも。ーー変動と危機の中の信仰

「神はわれらの避け所。また力。苦しむとき、そこにある助け。それゆえ、われらは恐れない。たとい、地は変わり山々が海のまなかに移ろうとも。たとい、その水が立ち騒ぎ、あわだっても、その水かさが増して山々が揺れ動いても。」(詩篇46:1-3節) ど…