巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

教会論

公平性・多様性・包括性は尊くも、絶対的価値ではない理由について(by ロバート・バロン司教)

Bishop Robert Barron, Why Equity, Diversity and Inclusivity are Not Absolute Values, Nov, 2021(拙訳) フランス革命後、「自由・平等・友愛」の三枚札が世俗社会の倫理的羅針盤として台頭しました。そしてそれと似たようなことが今日、「公平性(equi…

教理的シフトゆえに牧師廃業に追い込まれた ‟落伍者” に注がれている主の憐れみーージェイソン・スティールマンの霊的旅路

出典 2018年8月26日記事の再掲載です。教義や教派問題で葛藤し、あるいはなんらかの事情で教会に躓いてしまい、現在、どこにも信仰共同体や共感し合える仲間を見出すことができずにいる方々にとってこの記事が励ましとなりますように。苦しみの只中に…

三位一体と聖伝(Tradition)(by セラフィム・ハミルトン師)

出典 Seraphim Hamilton, Trinity and Tradition, Apologia Pro Ortho Doxa (拙訳) スタニロエ神父は、超自然的な啓示の三つの源――教会、聖書、聖伝――について語っています。私はこれらを御父、御子、御霊(聖神)と関連づけたいと思います。 教会は、聖書…

教会の「女司祭」?(by C・S・ルイス、1948年)

C.S. Lewis, Priestesses in the Church?(拙訳) 「舞踏会だってもっとちがった様式ならとてもいいと思うわ。」キャロライン・ビングリー嬢は言った。「舞踏会のふつうのやりかたは退屈でがまんができないほどよ。踊りのかわりに会話を主にするものならもっ…

「アングリカン主義に別れを告げなければならないと悟った日、私は号泣した。」――聖公会を愛した元聖公会神学者の回想記

米国聖公会(All Saints Episcopal Church Frederick Maryland)写真 目次 生い立ち ‟別の宗教” モルモン教徒の学友とのディスカッション どんどん「排他的」になってゆくインクルーシビティ(包括性) リベラル諸運動の特性 苦しく困難な選択

キリスト者の一致について(by C・S・ルイス)

C・S・ルイス(1898-1963) 「それぞれの宗派伝統の中心部にいる人々――自分たちの特定コミュニオンにもっとも熱烈なる忠誠心を示している人々――は案外、互いに最も共通点が多いのだ。問題は、猛烈にアンチ・エキュメニカルなそういった人々がそのこ…

「ヘブル的ルーツ運動」「メシアニック・キリスト教」に関する批判的考察(by ジョセフ・リチャードソン師)

出典 目次 「ヘブル的ルーツ運動」「メシアニック・キリスト教」に関する批判的考察(by ジョセフ・リチャードソン師) ある脱会者の告白 ユダヤ人女性ロザリンド・モス姉妹のストーリー ユダヤ女性ケイティー・ウィング姉妹のストーリー

ヘブル的ルーツ運動(HRM)の歴史観とキリスト教会史における神の憐れみ

出典 ヘブル的ルーツ運動(Hebrew Roots Movement)の教えを信奉している方々は土曜安息日(シャバット)、過越や仮庵の祭り、レビ記の食物規定の掟等を重要視し、それらを遵守しておられます。この運動に関わっておられる方がブログ記事の中で次のような説…

ふるさとの訛なつかし

元プロテスタント教会ユースパスターでカトリックに改宗されたキース・ネスター氏が、「カトリック教会に対するプロテスタント信者の誤解ベスト5」を身振り手振りを交え、真に迫って解説しておられます。

聖書正典(biblical canon)の問題に正面から取り組んだ福音神学校教師の探求記

写真 私の辿ってきた道ーーダグラス・M・ボウモント師の信仰行程【その1】南部福音神学校の教官としてより一部抜粋 南部福音神学校(SES)で教鞭を取りながら同大学の博士課程にも入っていた私は当時、神学校で受容してきた、より重要な諸教理に関し研究を…

両親が離婚した時、幼い私は父か母かどちらか一方を選ばなければならなかった。(by マイケル・ロフトン師)

Michael Lofton, When My Parents Divorced, I Had to Choose Between Them!, Reason and Theology, Sep. 2021.(拙訳) 両親が離婚した時、幼い私は父か母かどちらか一方を選ばなければなりませんでした。でもうちの家族の状態は初めからそうだったわけでは…

フィリオクゥエ条項と、東西教会の再一致に向けた具体的提案(エドワード・A・シィチェンスキー教授の個人的告白)

Edward Siecienski, ‘Unity of the Churches—An Actual Possibility: The Rahner-Fries Theses and Contemporary Catholic-Orthodox Dialogue,’ in Analogia 9, Ecclesial Dialogues : East and West I. (はしがきの部分を翻訳) はしがき(個人的所感) 『…

アンチ西洋ポレミックスを克服し、西洋世界における福音宣教の使命を全うするために(by パトリック・カールディーン神父、正教会)

西方典礼正教会(写真) 目次 はじめに ポレミックス問題の認識 ポレミックスを介した西方伝統および自己概念の不正確な描写 ビザンティン・リスト;異なる形式、異なる信仰 福音宣教に負の影響を与えているアンチ西洋的な偏見 公同性・普遍性・カソリック性…

ペテロの首位性――誰が東方正教会を代表して語ることができるのだろう?(by パンデレイモン・マヌサキス神父)

fr. John Panteleimon Manoussakis, For the Unity of All: Contributions to the Theological Dialogue between East and West (Eugene, Oregon: Cascade, 2015), 27-32. January 31, 2018(抄訳) churchlifejournal.nd.edu 目次 一つのパラドックス 司教…

荒野にて

荒野にて 「国民教会(national church)」というものについて(by 聖ジョン・ヘンリー・ニューマン) 〈ローマ〉について(G・K・チェスタトン) ロシアと普遍教会ーーロシア民衆の「真の正教」及び、アンチ・カトリック神学者たちによる「疑似正教」につ…

神の世界内在と恩恵―トマス・アクィナス恩恵論の全体像―(桑原 直巳氏)

「哲学・思想論集」44巻158(1)-142(17) 引用元 目次 【1】 はじめに 【2】 トマスにおける「恩恵 gratia」 【3】 性向概念の枠組みにおける恩恵-霊性的倫理 (一)性向的賜物としての恩恵 (二)注賦的諸性向の理論 【4】 恩恵の結果 (一)「不敬虔な者…

「教皇制」に関するイバラ師(カトリック)とパトリック神父(東方正教)の公開ディベートVTR

ローマ教皇聖クレメンス1世(出典) 下は、パトリック神父(東方正教)とエリック・イバラ師(ローマ・カトリック)のディベートVTRです。テーマは「教皇制」。司会者はマット・フラッド氏(東方典礼カトリック)です。

どの教会会議が全地公会議(Ecumenical Councils)であるのか、私たちはどのようにして知ることができるのだろう?

第七回全地公会議 目次 「どの教会会議が全地公会議であるのかを私たちはどのようにして知ることができるのか?」 指摘例1 指摘例2 指摘例3 指摘例4 所感

「ローマの首位性」に関して――カトリック教徒と正教徒の友好的話し合い

Peter Gilbert, De unione ecclesiarum(コメント欄抄訳) ヴェリタス(カトリック):カトリック教徒としてあなたにお訊きしたいことがあります。それは、ローマの首位性に関することです。 教皇ヨハネ・パウロ二世『回勅 キリスト者の一致(Ut Unum Sint)…

真摯なカトリック信徒の問い

出典 マイケル・ロフトン(ローマ・カトリック):視聴者の皆さんに投票アンケートをお願いしたく思っています。あなたは「東方正教」を巡るテーマに関したビデオにより関心がありますか。それとも、「伝統派カトリック内の諸テーマ」を取り扱ったビデオによ…

カトリック改宗か正教改宗かの最終判断はやはり一筋縄ではいかない。(その2)

さあ、どちらに向かうべきか。参ったなあ。どうしよう。(出典) Pints With Aquinas #194 | Fr. Michael O'Loughlin, 2020. (コメント欄抄訳)

東西の伝統派信者たちが取り組む必要のある諸課題と自省

出典 「他人の経験は、よしそれがいかに偉大なものであれ、何人にとっても完全に十分なものとはいえない。各人は、自分自身のために、本質的な問題、少なくとも自分にとって死活の問題の検討をし直さなければならない。私たちはそれゆえに、自分たちの真理の…

東方と西方の伝統派信者たちが共に直面している諸課題

www.youtube.com 東方正教会であれ、西方カトリック教会であれ、聖書および聖伝を遵守し、主イエス・キリストに忠実であろうとしている人々は、現在例外なく以下の諸問題に直面していると思います。

「セルフ・コミュニオン」と人間疎外

出典 一人の人間が画面に映っている。彼女は、各自が家で自在にできる「セルフ・コミュニオン」というもののハウツーを聴衆に教えている。 彼女は自分で司祭の祝祷をし、自分で聖餐のパンを裂き、自分で口に入れ、自分で葡萄酒を領している。彼女は「個」と…

女性が「司祭」であることに対する10の反論(by 元聖公会女性司祭アリス・C・リンスリー女史)

Former Female Episcopal Priest Links Women’s Ordination to LGBT Activism Alice C. Linsley, Ten Objections to Women Priests, 2019. (拙訳) 目次 女性司祭としての16年間 米国聖公会を離れる 1.教会は民主制ではありません。 2.女性叙階は同性…

共有された歴史の追憶と分裂の痛み、そして未来への希望――「宗教改革記念日」を前に

出典 目次 思索メモ1 思索メモ2 思索メモ3 思索メモ4 思索メモ5 思索メモ6

ロマニデス神学を再考する。〔その2〕(by セラフィム・ハミルトン)

質問者のコメント ハミルトン師の応答 アンチペルソナ主義(antipersonalism)――危険な教義 聖グレゴリオス・パラマスと、ロマニデスの描き出す〈パラマス像〉のギャップに驚く 東西の教父たちとギリシャ哲学 「聖書」と「教父文書」の間の区別を実質上、破…

私がヴェールを始めた理由(キャサリーンさんの証)+素敵なヴェール・ショップのご紹介

キャサリーン・タララスさんの証(聖キャサリーン教会 教区民) おすすめのヴェール・ショップ(海外篇) 礼拝中にヴェールがずれ落ちてこないようにするにはどうすればいい? 解決策その① ピンでとめる。/ あご下でゆるく結ぶ。 解決策その② ヴェール着用者…

キリスト教界の弁証家たちよ、お互いフェアプレー精神で行こう!(by マイケル・ロフトン)

Micahel Lofton, A Call to Use Equal Weights, Reason and Theology, 2019.(拙訳) 「偽りの天秤を主は厭い、十全なおもり石を喜ばれる。」箴言11章1節聖書はしばし、商いにおいて私たちが均等なおもりや測定器を使用する必要性について語っています。…

「ヘブル的視点」と東方正教の架け橋

祭壇(出典) 架け橋づくり 「ヘブル的視点」の世界分断 必須条件1)背教ナラティブ 必須条件2)‟不可視的なもの”としてのプロテスタント教会論 必須条件3)「五つのソラ」+「ディスペンセーション主義」 さらなる考察のために 「ヘブル的視点」とディス…