巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

ウーシア、エネルゲイア、ペルソナ(essence, energies, person)

三位一体と聖伝(Tradition)(by セラフィム・ハミルトン師)

出典 Seraphim Hamilton, Trinity and Tradition, Apologia Pro Ortho Doxa (拙訳) スタニロエ神父は、超自然的な啓示の三つの源――教会、聖書、聖伝――について語っています。私はこれらを御父、御子、御霊(聖神)と関連づけたいと思います。 教会は、聖書…

フェミニズムのキリスト論(by ペリー・ロビンソン師)

出典 目次 はじめに ディアコネス(deaconesses)と女性助祭(female deacons) 「機能(function)」や「能力」に訴える議論 かしら性(headship) 「ジェンダー」と「性別」 「なぜセオトコス(聖母マリア)は男性ではあり得なかったのか」 司祭職の男性限…

「引かれるべき一線」――女性叙階問題とキリスト論、そして教会の危機(by ペリー・ロビンソン師)

(25th Anniversary of the Ordination of Women to the Priesthood - Diocese of London) 目次 女性叙階問題とキリスト論(by ペリー・ロビンソン師) 「引かれるべき一線」(by ペリー・ロビンソン師)

信仰義認について――正教、カトリック、福音主義クリスチャンそれぞれの視点(by セラフィム・ハミルトン師他)

目次 信仰義認について(by セラフィム・ハミルトン師) 一般的福音主義の義認理解 正教の義認理解 いかにして人は義とされるのだろう 「信仰」と「行ない」の関係 N・T・ライトの信仰義認見解(by セラフィム・ハミルトン師) 代償・身代わり(Substitution…

三位一体論「御父のモナルキア」教説にかんする優れたビデオ講義シリーズのご案内

「仮にズィズィウーラスの分析が正しいとするのなら、神的モナルキア*1に関する決定的重要性に関しなぜ正教がかくまで力点を置いているのかをよりよく理解できると思います。 それは、自然の必然(necessities)の上に存在する神の自由を保証し、無限にして…

聖グレゴリウス・パラマスとヘシュカスト論争(by マークス・プレステッド教授)

Marcus Plested on St Gregory Palamas and the Hesychast Controversy, 2021.(抄訳) 「結論を申し上げますと、(ポドスカルスキー見解に代表されるような)「理性の敗北」、(ロスキーらの見解に代表されるような)「アンチ・スコラ哲学的神秘神学の勝利…

トマス主義者とパラマス主義者の会話 ~春の庭園にて~

出典 The Thomist and the Palamite,, Eclectic Orthodoxy, 2014. (拙訳) パラマス主義者:「君は、神のウーシア(本質)とエネルゲイアの間に何ら区別を置いていない。そして、君は『神は有限態において被造物に対しご自身をお与えになった』と言っている…

ペテロの首位性――誰が東方正教会を代表して語ることができるのだろう?(by パンデレイモン・マヌサキス神父)

fr. John Panteleimon Manoussakis, For the Unity of All: Contributions to the Theological Dialogue between East and West (Eugene, Oregon: Cascade, 2015), 27-32. January 31, 2018(抄訳) churchlifejournal.nd.edu 目次 一つのパラドックス 司教…

神の世界内在と恩恵―トマス・アクィナス恩恵論の全体像―(桑原 直巳氏)

「哲学・思想論集」44巻158(1)-142(17) 引用元 目次 【1】 はじめに 【2】 トマスにおける「恩恵 gratia」 【3】 性向概念の枠組みにおける恩恵-霊性的倫理 (一)性向的賜物としての恩恵 (二)注賦的諸性向の理論 【4】 恩恵の結果 (一)「不敬虔な者…

カッパドキア教父たちと三位一体論

カッパドキア三教父 4世紀のキリスト教世界を混乱させたアリウス派論争の収拾に大きな役割を果たし、ニカイア信仰の確立に尽くしたギリシア教父たち。大バシレイオス、その弟ニッサのグレゴリオス、両者の友人ナジアンゾスのグレゴリオスの3人で、すべて小…

ロマニデス神学を再考する。〔その2〕(by セラフィム・ハミルトン)

質問者のコメント ハミルトン師の応答 アンチペルソナ主義(antipersonalism)――危険な教義 聖グレゴリオス・パラマスと、ロマニデスの描き出す〈パラマス像〉のギャップに驚く 東西の教父たちとギリシャ哲学 「聖書」と「教父文書」の間の区別を実質上、破…

ロマニデス神学を再考する(by セラフィム・ハミルトン)

Seraphim Hamilton, Rethinking Romanides, Apologia Pro Ortho Doxa(拙訳) 私は、イオアンネス・ロマニデスは正教神学に非常にネガティブな影響を及ぼしていると考えています。(少なくとも一般信徒レベルにおいて)。善意の人々がこれらの諸思想を吸収し…

時――永遠をあらわすイコン(by セラフィム・ハミルトン)

Seraphim Hamilton, Why Orthodoxy? 4. Orthodox theology is beautiful and useful.(拙訳) 〔アンチ・カトリックではないにも拘らず〕依然としてなぜ私がローマ・カトリックでないのか、をここで説明できるように思います。聖書、教会史および哲学的神学…

キリスト論的無誤性(by セラフィム・ハミルトン)

目次 聖書論とキリスト論 神的エネルゲイアーー「ロゴイ(logoi )」 シネルギア(協働;synergy)に関する正教理解 神のエネルゲイアと終末(eschaton) 聖書の霊感 聖書の歴史的信憑性 第一番目の欠陥――神の包括的摂理に関する理解不足 第二番目の欠陥――万…

三位一体は人間の思索の根本的な成立条件であり、また終局である。(V・ロースキィ)

目次 三位一体は人間の思索の根本的な成立条件であり、また終局である。 東西の三位一体論の違い――東方は「三」から「一」へ。西方は「一」から「三」へと思索を展開する。 東方の三位一体論――「父は三位に共通な神性の源泉であって、子と霊を生む」という教…

「永遠の哲学」(Perennial philosophy)、新プラトン主義【ニューエイジ、エキュメニズム運動の思想源流】

東方正教会のデイビッド・P・ハリー氏がPerennial Philosophy vs Logos Spermatikos(永遠の哲学 vs ロゴス・スペルマティコス)という講義の中で、現代のニューエイジ、エキュメニカル運動等の思想系譜を概説しています。

ヘシュカスム論争に対するジョン・メイエンドルフの理解(アンドリュー・ラウス、ダラム大学)

聖グレゴリオス・パラマス(1296-1359) 目次 ヘシュカスム論争に対するジョン・メイエンドルフの理解(アンドリュー・ラウス、ダラム大学) 知的プラトン主義、新プラトン主義 異なる禁欲主義理解 メイエンドルフのパラマス解釈に対する諸批判 【…

東方の文脈で「scholastic...」という表現がなされる時、それは具体的に何を意味しているのだろう?【東西キリスト教と理性】

東方正教のビザンティン学者であるアンドリュー・ラウスが「アクィナスと正教の関係」について書評を書いており、大変興味深く読ませていただきました。

ビザンティン・カトリシズムは「包括的」?それとも「トリッキー」?【さあ、フィリオクェ問題に取り掛かろう!】

ふぅ~、いろいろ大変だね。 目次 はじめに 東方典礼カトリック教会とはどんな教会? Ορθοδοξίαの語用やフィリオクェ問題を通し、ビザンティン・カトリシズムの「微妙さ」を痛感! 困ったなぁ マヌエル・ニン主教の元を訪れる。 正教修道院を訪れる。

キリストの栄光あるからだとしての教会と宇宙(by オリヴィエ・クレマン、パリ聖セルギイ正教神学院)

終末論的な舟を象徴する聖堂の中央(中堂)は、ドームでおおわれている。このドームは、新たな創造、キリストによって創造主と結び付いた宇宙をあらわしている。(出典) 目次 著者について キリストの栄光あるからだーー真の再創造 正教会の宇宙論 神のエネ…

典礼ーー「神の王国」の体験(by オリヴィエ・クレマン、パリ聖セルギイ正教神学院)

出典 目次 著者について 典礼ーー「神の王国」の体験 イコン イコンのキリスト論的な意味 永遠の像 聖堂の装飾とその象徴的意味 「心のうちの修道生活」