巡礼者の小道(Pursuing Veritas)

聖書の真理を愛し、歌い、どこまでも探求の旅をつづけたい。

新約聖書の啓示の構造(ゲルハルダス・ヴォスの『Biblical Theology』より)

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一つの有機体、そして全体。

 

目次

  • はじめに
    • ①旧約聖書の中での表示から
    • ②イエスの教えから
    • ③パウロ及びその他の使徒たちの教えから
  • 新経綸は最終的なもの。
  • さらなる啓示は予測されるのか?

 

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どんなカテゴリー/カテゴリー体系も私たちに究極的リアリティーは提供していない(by ヴェルン・ポイスレス、ウェストミンスター神学校)

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Vern Sheridan Poythress, Symphonic Theology: The Validity of Multiple Perspectives in Theology, chap.7(抄訳)

 

どんなカテゴリー(範疇)を用いても、私たち人間は、形而上学的に究極的な「世界分析」を行なうことはできません。また、なにをもってしても、私たちが、有限なる知識と多様な視点(遠近法)を持つ被造物であるという事実を変えることはできません。

 

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引用元

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嗚呼、希望の失せしものよ!春陽の期近し。(内村鑑三の信仰詩)

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主のいつくしみは絶えることがなく、そのあわれみは尽きることがない。哀歌3:22-23

 

春の枝に花あり

夏の枝に葉あり

秋の枝に果あり

冬の枝に慰(なぐさめ)あり

 

花散りて後に

葉落ちて後に

果失せて後に

芽は枝に顕はる

 

嗚呼、憂に沈むものよ

嗚呼、不幸をかこつものよ

嗚呼、希望の失せしものよ

春陽の期近し

 

春の枝に花あり

夏の枝に葉あり

秋の枝に果あり

冬の枝に慰あり

 

「寒中の木の芽」より

原ニケア信条(325)およびニケア・コンスタンティノープル信条(381)について(by E・ケアンズ)

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コンスタンティヌス帝を描いたイコン。周囲に立っているのは第一回ニケア公会議(325)に出席した司教たち。彼らが掲げているのは、381年に定められたニケア・コンスタンティノープル信条。(出典

 

目次

  • なぜ信条(Creed)の必要性が生じたのか?
  • 三位一体における各位格の関係ーー子の父に対する関係
  • 原ニケア信条(325)
    • ギリシャ語原文
    • 各種日本語訳
  • ニケア・コンスタンティノープル信条(381)
    • ギリシャ語原文
    • ラテン語訳
    • 各種日本語訳
  • ニケア信条を歌う
    • 英語
    • ラテン語
    • コイネー・ギリシャ語
    • 教会スラブ語

 

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思ひ出

小学校3年か4年生の頃だったと思います。ある日曜の午後、私は父に「ねぇお父さん、資本主義と共産主義は、どっちがいいのけ?」と訊いてみました。

 

すると父は「う~ん、そうだねぇ、どっちがいいのか、、、う~ん」としばらく黙りこくっていましたが、ややあって「これは一概にどちらがいいとも断言しかねるむずかしい問題だけれども」と前置きした後、資本主義、共産主義それぞれの強みと弱点、それから「主義」としての政治・経済システムの限界点などを私に語ってくれました。

 

私にとって意外だったのは、父が共産主義のことを100%悪だと考えてはいないということでした。実は質問する前から私は(ソ連共産党独裁体制の破綻ぶりを熟知していた)父が、「そりゃ、資本主義の方がいいに決まっとるがね」と即答するに違いないと予測していたのです。また、父親の解説は、大人が小学生の子を相手に話すような話し方ではなく、あたかも一人の研究者が同僚の研究者に自分の見解を打ち明けるような、そのような真剣真摯なものでした。

 

このテーマに限らず、父は物事や人物を評する際、いつもどこかにある種の「含み」のようなものを持たせ、単純な○×では捉えきれない〈なにか〉がもしかしたらそこにあるかもしれないという可能性に自らをオープンにしておくというスタンスをとっているように思えました。

 

また折々、住井すゑ著『橋のない川』や島崎藤村の『破戒』等の作品の中で、明治時代の被差別部落の惨状や人々の苦しみがつづられていることなどを話してくれ、「人を、出目や教育の有無、貧富や性別、身体・精神障害の有無、国籍、宗教、人種等によって差別してはぜったいにいけない。人一人はその人が人であるがゆえに尊い。だからすべての人に敬意を持って接しなくてはいけないとお父さんは思う」と子どもの私に語ってきかせてくれました。

 

成人後、私は信仰を持ちクリスチャンになりましたが、聖書の神の属性の一つである「公正さ」を愛する心は、神のご采配の下、(未信者である)地上の父親の価値観や公明正大なその生き方を通し、幼い私の心に深く植えられていったと思います。

 

今日も人目につかない地味な場所で黙々と働いている父親に、最大の敬意を込め、この場を借りて感謝を捧げたいと思います。

永遠なるものと時間的なものーーキリスト者の歴史観と希望について

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キリストの世界において、遠方が裂け、開く。天穹が割れ、開く。

 

「キリスト教的意識は、永遠なものが時間の中にいりこむことができることを究極まで承認したことによって、歴史を、歴史の観念を与えたのであった。」と異色のロシア人哲学者ニコライ・ベルジャーエフは述べています。*1

*1:『歴史の意味』p.48

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ダニエルの預言と黙示録ーー帝国の興亡と七十週(by 水草修治師)

目次

  • 「ダニエルの七十週」
    • (1)「69週」までの預言(25節。26節。)
    • (2)メシヤ到来の年(25節)
      • メシヤ出現の年
      • 新約聖書の記述から見た、イエスが十字架にかけられた年月日
      • 「古今未曽有の大日食」についての聖書外史料
      • 一応の結論 
    • (3)預言通りキリストは断たれ、エルサレムは破壊された(26節)
    • (4)「第七十週」の預言の解釈(27節)
      • a.批評的立場
      • b.空白期挿入説=艱難期前再臨説
      • 空白期挿入説の疑問点と説明
      • c.連続的解釈説=艱難期後再臨説
      • 連続的解釈説の難点と説明
    •  (5) 特に再臨前における、残された「第七十週」または、「第七十週の後半」の成就
      • a.「第七十週」の準備的預言の成就
      • b.「第七十週」の成就 (27節)
      • c.連続的解釈説「第七十週の後半」に起こること

 

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